閑話 ~その頃の辺境伯領~
ざ、残念すぎる…
~エルフの国・辺境伯領~
「これより、亡き辺境伯領の御令嬢の奪還作戦を開始する!!」
そう言ったのは、辺境伯の騎士団を率いる若き騎士団長だった。彼女は、辺境伯と最後まで戦った前騎士団長から後を託された者である。
その瞳は怒りを帯び、闘志に燃えていた。団員たちも当てられ、似たような状態だ。
「騎士団長、少し落ち着け。」
冷静になるようにと、黄ランクパーティー、『黄土の極み』のブリガンが宥める。
彼らは、アスタイト王国イウド辺境伯領での復興に数日力を貸した後、イウド辺境伯への魔石提供の見返りとして、推薦状を手にしていた。スムーズにエルフの国に入って三日目、純血派の反乱が発生。民間人が戦地である辺境伯直轄の町から逃げるのを手助けしていた。
今は、騎士団と合流し、その戦いに参戦するつもりだ。
「すまない。いよいよとなるのが分かって、気持ちが高ぶってしまった。」
「気持ちは分かるが、指揮官が浮かれてしまうと、全体も冷静さを欠いちまう。しっかり手綱は握らないと、いざという時に浮足立っちまう。まぁ、士気が高いのは悪いことじゃねぇよ。」
「助かる。ブリガン殿。」
辺境伯領の隣の領に撤退していた辺境伯の騎士団員はおよそ千。近くの領から奪還のための援軍が揃い、数は五千となった。純血派はおよそ一万だが、特に戦闘力があるのは、三分の一の三千から四千と言われている。
向こうの大将は、トリトア・ジュンド男爵。領地を持たないが故に、純血派についたと言われている男だ。その部下として、『水』と呼ばれるパーティーを引き連れている。実力は前騎士団長と辺境伯を屠るほどで、黄ランクパーティーに近い者たちと言われていた。
騎士団長となった彼女は、ブリガンたちに当初、辺境伯たちの戦いに参加していれば、彼らは死ななかったのではないかと責め立てていた。泣きじゃくりながら、喚く彼女がどれだけ前騎士団長と親しくしていたかが、分かった。
それでも、ブリガンは叱咤した。その時の様子は後に仲間から怒られるものだったようだ。お前には似合わない理屈と、感情を並べやがって、だそうだ。それを聞いた本人と喧嘩まで発展した。
閑話休題、騎士団長は立ち直り、戦いの間近まで迫っていた。五千人が一つの塊となって戦地へと進む。
「町が戦場になる。また、復興作業しないといけねぇな。」
ブリガンは歩きながら呟いた。町が戦場になるということは、建物が崩れ、焼け、物が壊れるということだ。復興するにも時間がかかる。イウド辺境伯領の復興もあと十数年以上かかると言われている。
魔物行進戦での被害に比べれば、軽微かもしれないが、気が乗らない。
「ここから別行動になる。『黄土の極み』の皆、お嬢様を頼んだ。」
「任せておけ。そちらこそ、死ぬんじゃねぇぞ。『ディギング』」
ブリガンたちは穴を掘っていく。大体、令嬢が囚われている屋敷の近くまで、地下を通って接近するためだ。
辺境伯はあえて、直轄領を城塞化しなかった。それは、人族に警戒を持たせないためかもしれないし、こうなることを見越していたのかもしれない。
地中からの侵入で、高位の土魔法を使える『黄土の極み』はまさに適材適所だった。また、要人の救助という大役を任せられるほどの信頼を騎士団長から得られていたことを示している。
深さに注意しつつ、ブリガンたちは地中を掘り進めていくのであった。
~二時間後~
「伝令!約五千の兵がこちらに向かって進行中。ゲリラ部隊が足止めを図っている模様ですが、歯が立ちません!もう少しでこの町に到着します。」
「あ?こっちにあれが居るのに、来るとはついにあいつら、狂ったか?」
伝令の声に、抱いている女を突き飛ばして反応したのは、トリトア・ジュンド男爵だ。その目はバルコニーに向く。そこには檻の中に一人の女性がいた。彼女は両手両足を鎖に繋がれ、その顔には生気がほぼ無い。喚いた罰で、食べ物を与えなくなってから四日になる。水だけの生活は彼女を痩せこけさせていた。
男爵はそれまで抱いていた女を一瞥する。逃げ遅れた女だった。見た目は普通だが、抵抗する様子が彼を興奮させた。とは言え、人族の血が混じっていたらすぐ殺しただろう。今回は珍しく、混じっていなさそうだったので、玩具にしたのだ。
嗚咽しか漏らさなくなった女に興味はもうない。だが、捨てないでいるのは、ちらちらとこちらを見てきていた令嬢の反応が面白かったからだ。
「光魔法で、令嬢を映せ。あまり気は向かないが、純血を散らすところを映してやる。」
「はっ!!」
『色欲』が発現してから、滾る体に男爵は翻弄されていた。判断も女を抱くことが優先されてきている。快楽に溺れることに抵抗が無くなり、それ以外のことが考えられなくなる時もあった。恐怖を覚える時もあったが、快楽に溺れる衝動が勝った。
趣味ではないやせ細った女でも、初めての女だ。刺激は充分だろうと考えていた。
その欲望に塗れた想像に、水を差す女がいた。
「男爵、向こうは本気でここを落としに来る。令嬢に手を出せば、怒りを煽るだけだ。それより、勝てるように鼓舞しろ。地の利は我らにある。後は士気だけだ。」
「俺に指図するのか、派遣された存在で。お前が俺よりも強くなかったら、股をこじ開けて挿入しているところだぞ。勝てば、俺のように美味しい思いができる。それで男の士気は上がるだろ。」
「女は逆に下がるぞ。私たちはただの欲でこの反乱に参加した訳ではない。少なくとも、性欲を満たすために、動く頭の元には居たくない。自分たちの身が危ないからな。」
「要するに大義名分でも掲げろと。男はそんなものでは、盛り上がらん。」
激しく視線が衝突する。男爵は内心で舌打ちをした。この女は、反乱を起こす際に、本部からの幹部として送られてきた女傑だ。
情報を集め、成功させたのは自分であるのに、この女傑は小言を言ってくる。はっきり言って気に入らない。それでも、彼女の強さと彼女についていく部下が一定数いる以上、敵が迫ってくる中で争う訳にはいかなかった。
男爵は投げやりに言う。
「ああ、分かったよ。女のために演説してやるよ。ただし、男への報酬の話は入れさせてもらう。つまり、あの令嬢は俺たちが勝てば、俺が抱く。それと同じように凌辱しろとな。」
「……」
女傑はじっと見つめるだけで何も言わない。この男に対して、これ以上言っても聞かないだろうと、これまでのことから悟っていた。
服を着た男爵はバルコニーにでる。空中には、囚われた令嬢と男爵の姿が映る。男爵は風魔法を使い、自身の声を拡張した。
「純血派諸君、我らが悲願、エルフだけの血による繁栄を成すためにも、この一戦は負けられないものとなる!!相手を屈服させ、自身の正しさを証明しろ。そして、分からせるのだ。純血は人族の血が混じった者たちよりも、強者であり、繁栄のために必要なものであると。」
男爵の言葉に、純血派の怒号が共鳴する。その結果に、男爵は満足しながら言葉を紡いだ。
「勝てば、私は人族との共存を望みながらも、純血を保ち続けた元辺境伯の娘を犯す。貴様らも、女を捉え、選別し、犯し、増やすのだ。我ら純血の子供を!!この度の戦いに絶対に勝ち、優れた子孫を残せ!!」
さらに怒号が大きくなる。男爵は後ろを一瞥する。犯し尽くした女を介錯する女傑は男爵を睨みつけてくる。それを無視し、男爵は締めくくった。
「さぁ、戦え!!勝利を我らが手に!!」
『オオッ!!!』
この演説が終わったのと同時に床、いや地面が大きく揺れていることでパニックになる。
聞こえていたのだ、外に。そして、地下に。立っていられないほどの地震が合図となった。
「助かるぜ。戦った後の報酬として凌辱する宣言を、してくれたおかげでご令嬢が傷つかなくて済む。」
「なぁ!?」
一人の男が檻と男爵を挟むようにしていて立っていた。遅れて、その数が増え五人となる。
「黄ランクパーティー『黄土の極み』だ。ご令嬢、返してもらうぞ。」
その声は男爵が風魔法を発動していたせいで、全体へと広がる。
いきなり、頭の目の前に敵が現れて、名乗ったのだ。下では混乱が生じていた。外にいた軍がその混乱に乗じて突入してくる。戦闘が始まったのだ。
「そこで寝てろ。」
「ひぃ!」
ブリガンの仲間の上級拳闘士が男爵を殴りかかる。
突如間に入り、受け流したのは盾を持ったエルフ。その顔は無表情で何を思っているのか分からない。
拳闘士に続いて針が飛ぶ。それを躱した後、距離が空く。
「よ、よくやったぞ、『水』。私たちが逃げる時間を、か、稼げ。」
弱腰で声が震える男爵へ頷きだけを返す。五人対三人のパーティーが対峙した。
「どけ。そこの奴は屑だろ。」
「……」
ブリガンの言葉にも反応しない。どんどん男爵ともう一つの気配が離れていく。
距離の探り合いを終え、一番最初に動いたのは上級拳闘士だった。
「オラァ!」
軽いフットワークで飛んでくる針を躱し、一気に距離を詰める。その元にいた盗賊へ蹴りを打ち込むが、盾が割込み、防がれる。
ブリガンの追撃は、水魔法の高速の礫が飛んできて、中断せざる得なくなった。
数、レベル共にブリガンたちが有利で押している。だが、対する三人のエルフたちはしのぐ。
特に盾役の練度が高い。レベルは低いかもしれない。しかし、それを補う盾術のレベルと身体強化のレベルの高さだ。魔法すらエルフの種族特性のINTの高さを活かし、受け止めて見せる。何より、格上であるブリガンたちの攻撃へと、恐れずに飛び込み、庇う精神力は長年の経験から来るものだろう。
「時間がない。あれをやるぞ。」
騒ぎを聞きつけて、屋敷周辺の純血派が集まってきていた。男爵を追いかけるのは、ほぼ不可能だ。自分たちの当初の目的を完遂するため、厄介な『水』だけは倒すと、ブリガンは判断した。
「『マルチ・ロック・ブロック』」
いくつもの岩を生成していく。バルコニーがたちまち、岩だらけになり足場が最悪になる。
それは、彼ら『黄土の極み』の得意な戦場だった。
「!!」
「オラオラッ!ついて来いよ!」
速い。上級拳闘士の動きは機動性を増し、大きな岩が彼の踏み台となって、疑似的な空中機動をとれるようにしていた。彼以外の四人も似たようなものだ。錬金術士の女性でさえ、足場を使った動きをし、翻弄してくる。
超高圧の水の刃を躱された魔導士が餌食になる。女盗賊が胸を貫き、首を掻き切る。盾役は動きを阻害され、庇うことができなくなっていた。
次は、ブリガンの剣が相手の剣を弾き、その戦士の額が矢でゼロ距離から貫かれる。
続々と命を落とし、残ったのは盾役のエルフだけだった。彼の身体も切り傷が目立ち、足の骨が折れ、身体は毒に侵されている。絶命していないのは、盾役としてのLPの高さのおかげであった。黙っていた彼が呟く。
「まるで、曲芸師だな。」
「そうかもな。でも、それも極めちまえば、戦いに使える。サル型の魔物がこんな動きをしてたもんで、やってみたら、できちまってよ。それ以来、磨いている連携だな。」
自虐気味に言うブリガンの言葉に、力なく盾役は笑い、そして力尽きた。
ブリガンたちは令嬢を解放し、速やかに脱出に移るのであった。
~屋敷の傍~
「逃げれたのか。」
「どうする。上がった士気は一気にくじかれ、私たちは負ける。捕まるまで、逃避行でもするつもりか。」
「俺はそうする。お前は捕まるなり、逃げるなり自由にしろ。ここでおさらばだ。」
男爵はそう言って、女傑と別れようとした。その腕を女傑が止める。何ともないように振舞っているが、女傑の目には不安が映っていた。
その目が、その動作が男爵の色欲を刺激する。男爵はまだ戦場だというのに、女傑を押し倒してしまった。
「おい!放せ!!」
「嫌だ。興奮しちまった。抱かせろ。」
男に襲われている恐怖が女傑の抵抗力を奪い、為すがされるままになる。服は無惨に破かれ、白い肌が顕わになる。男爵の手が女傑の胸を乱暴に揉みしだく。
そんな二人に、近づく一団があった。そして、男爵が吹き飛ぶ。
「トリトア・ジュンド男爵、そこまで下種に落ちたのか。」
「痛ぇ!!邪魔をするなぁあ!!」
飛び掛かかってくる男爵を騎士団長は一太刀。上半身と下半身が別れ、その血すら、風魔法を纏った騎士団長には届かない。
「大丈夫か?……貴殿は、ムストリ女傑では?純血派の重鎮である貴方が、なぜ、襲われていたのです。」
「単純なことだ。あの男は色欲に狂った。…私は投降する。勝ち目がない戦を続けるつもりはない。」
大人しく女傑は捕まった。騎士団長は男爵の首を刎ね、忌々しそうに掴む。
光魔法で投射、風魔法を使い、宣言した。
「男爵の首は私、サフラ・ルーメがとった!!降伏したい者は直ちに降伏し、武器を握っている者は容赦なく、切る!!」
映された男爵の首を翳すサフラの言葉に、戦いを得意としない者からの降伏が相次ぐ。最後まで、武器を持ち、あるいは武器を持たず、魔法で不意打ちをかけてくる奴がいたが、問答無用で切り捨てられ、戦闘は終わった。
その夜、サフラに呼ばれ、ブリガンは令嬢が捕まっていたバルコニーに来ていた。もう既に、死体は片付けられ、岩も撤去済みである。二人で町を見渡す。
この辺境伯の町は人族の町に近い。樹海樹のほとんどが撤去され、一軒家が多かった。素材に土が主として使われていたのが功を奏して、火の手が大きく広がることもなかった。残っていた樹海樹に火が移ることも無かったのは幸いだとしか言いようがない。
それでも倒壊した建物の数はかなりの数に上り、復興に時間はかかるだろう。
サフラが口を開く。その顔は遠くを見据えていた。
「ブリガン殿には感謝しきれないな。あの言葉が無ければ、立ち直れなかっただろうし、こうやって、辺境伯を取り戻せなかったかもしれない。」
「俺じゃなく、誰かが代わりにやっただろうさ。それで、こんなところに呼び出した訳は?」
「その見てほしかったのだ。自分たちが戦った跡を。私たちは間違っていなかったのだろうか。町を破壊してまで、純血派と戦うのが正しかったのだろうか。多くの同族が散った。貴殿ら人族にも犠牲になった者がいる。戦ったのは…」
「間違っちゃいねぇ。あいつらはどちらにしろ、どこかのタイミングで仕掛けてくる。彼らの思想を抱かないエルフは邪魔者でしかねぇ。自分たちが襲い掛かるか、彼らが襲い掛かってくるかの違いはあっても、戦いは避けられなかっただろうよ。」
ブリガンの言葉に、サフラは俯く。ブリガンはそんなサフラの肩を励ますように叩いた。
しかし、サフラの後悔と迷いが混じった言葉は続く。
「男爵は仇だった。何の躊躇いもなく、切り捨てることができた。襲い掛かってくる敵も全て。だが、振り返ってみると、残るのは骸と残骸だけだ。」
「……」
「戦争は空しいな。これ以上、同族と戦いたくはない。」
「…」
「武器を持つ前に解決する方法は無かったのだろうか…」
サフラの言葉はひんやりとした風に乗り、曇った夜空へと消えていく。
肩から手を離し、頭をむしゃくしゃにかいて、ブリガンは自身の考えを述べる。
「あったかもしれないが、事実争うことを選んじちまった以上、俺たちにできたことは戦うことだけだ。もし、戦いを阻止できるとしたら、王様や大貴族の仕事だろうよ。冒険者はともかく、騎士という立場である以上、上の失敗は降りかかってくる。」
「っ…」
「…教会騎士団は別だぞ?ありゃあ、神の名の下に魔物を狩る集団だからな。阿保みたいに力を求め、魔物を排除する。戦争にでしゃばることはほぼ無い。その代わり、魔物を狩り続けることが存在意義であり、為すことで尊敬を集め、自らの意義を証明する。そんな奴らだから例外だな。」
「私は教会騎士の方が向いていたのだろうか。」
「分からん。それは、自身で決めることだ。迷っているのなら、リヒト教会に行けばいい。こっちの教会はどこかおかしい。ここの司祭の顔に狂気が見えた。あれは、魔物狩りに憑りつかれたのとは、違う感じだ。」
最初の話に衝撃を受けていたサフラだが、話題転換を図るように教会騎士団のことを触れれば、そちらに乗った。ブリガンはリヒト教会の聖女について話しながら、内心で息をつく。
彼女は若い。年齢も四十を超えないという。サフラにとって、この戦いは忘れられないものだろう。親しかった者を失い、自らの手で元凶を殺めた。
その事実についてブリガンが言えることは、ありきたりな言葉しかでない。
彼女が再び剣を振るえる。それを確認できた。それだけで十分だ。
「ブリガン殿。」
「ん、どうした?急に改まって。」
教会について知っていることを話終える頃、サフラが背筋を伸ばしてブリガンの方へと向く。
今まで雲に隠れていた月明りが、二人を照らす。
「ブリガン殿のことが好きだ。」
「気持ちは嬉しいが、すまん。」
「そうか…」
再び月は雲へと隠れた。唯一違うのは、彼女の顔。どこか吹っ切れた表情をしている。
サフラは、こう言った。
「ブリガン殿、私は決めた。復興が終わったら、休暇をとってリヒト教会のその聖女に会いに行ってみるつもりだ。」
「おう、あいつはヤバいぞ。」
「後、ブリガン殿に断られた理由が分かった。ずっと見られていたのだな、私たちは。」
サフラが部屋の方を向く。ブリガンもそれに倣った。そうすると、「バレちゃった。」という声と共に、『黄土の極み』のメンバー及び、副騎士団長がいた。
盗賊の女が、ブリガンの腕を抱く。その顔は自慢げにしている。
「ごめんね~。ブリガンは私の夫なの。かれこれ十年は一緒にいるんだから。もうそろそろ、叔母さんたちに預けている子供たちに会いに行かないといけないのよね。」
サフラと女盗賊の目線がぶつかり合う。火花が散っているのが、幻視できそうだった。
野次馬根性を発揮していた他の面子は、二人がいがみ合っているのを見て、静かに離脱する。これからの展開が予測できたからだ。
「わざわざ、丁寧にどうも。」
「ええ、どういたしまして。」
サフラの身体が震え、ぎこちない笑みを浮かべる。女盗賊はニヤリと笑って、
「私はブリガンに重婚を認めてないの。だから、どう足掻いても貴方は無理よ。」
「……」
「ごめんなさいね。運命の相手は私だったの。別のいい男を探しなさい。」
「わざとだなっ!わざとなんだよなっ!そこまで言わなくてよいではないか!!」
「おい、おい、こんなところで、キャットファイトは止めてくれ!!」
掴み合いが二人の女性の間で勃発した。一夜明けるまで、続いたその戦いを止めようとしたブリガンが満身創痍となって、力尽きたように倒れていたという。
Q:なんちゃってQ&Aを始めるよ。
A:おー。前半のシリアスさと後半との落差がかなり酷いですね。
Q:それについてはノーコメントで。
A:おいっ。それにしても、男爵もあっけない死に方してますね。
Q:そこは、筆者の力不足というところである。
A:……。(敢えてだろ…)
閑話一話目です。辺境伯領は無事に奪還できたという訳ですが…




