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The Judge~after story~  作者: PeDaLu
3/6

最高の夏休みの定番、海。水着。作者すら羨ましい展開。お楽しみください

===3===


「海!夏といえば海!」


「なに言ってるんだよ。この陸の孤島で。諏訪湖でも泳いでろよ」


「なーんーでーよー。海いきたーい!いこーよー!」


霜月に執拗に誘われる。俺の最高の夏休みを邪魔するなよ……。でも霜月が来るってことはちーちゃんと珠里ちゃんが来る可能性は高い。それを条件にしてみるか。


「珠里ちゃんとちーちゃんが来るならいいぜ?俺は新道とマロしか誘うやつ居ないけど」


一瞬、霜月は気まずそうな顔をしたが、それでいい、と了承した。ちーちゃんとマロもどうなるのかな。


「というわけで海に行きます。メンバーはここにいる三人と霜月、珠里ちゃん、ちーちゃんです」


いつもの図書館で新道とマロにそう告げる。気まずくなってこの計画が倒れてしまっては困る。ここは少し強引にでも乗ってもらう。


「おまえなぁ。俺が夏祭りでどうなったのか知ってるだろ?霜月にどんな顔で会えばいいんだよ。しかも海とか。ここから海とか完全に泊まりじゃねぇか。気まずくて溺れちまうよ。なぁ、ウタマロ」


「俺はいいよ。構わない。水着、さいっこう」


「聞いた俺がバカだったよ……」


「なぁ、新道。霜月ってああ見えて結構人見知りなんだ。あまり互いによく知らないうちに告白しても絶対に上手くいかない。この旅行で距離を縮めてだな。そのなんだ。諦めるのはまだ早いってやつだ」


「分かった。分かったよ。この前は協力してもらったしな。今回は付き合うよ。で、鏑木は珠里ちゃんとちーちゃん、どっちなんだよ」


「あー、ちーちゃんのケツは俺のものなんで」


「お前は黙ってろ」

「お前は引っ込んでろ」


「今のところは珠里ちゃんかなぁ……でもちーちゃんちゃんも捨てがたい」


ちーちゃんのくりくりした感じ……でも珠里ちゃんの着物の上からでも分かる胸……。決められないな。今回の旅行で見極めるとしましょうか。相変わらず成功する前提で考えている鏑木。


「うーみー!ねぇ海だよ海!」


「うっせーな。見りゃ分かるよ」


くっそ。なんで俺が海のレジャー道具を持つ羽目になってるんだ。霜月にホームセンターに連れて行かれたと思ったら浮き輪だのシャチだの買って当日は持ってきてね!とかいって押し付けやがって。おかげでここまで来るだけで疲れちまった。霜月はパラソルまで買おうとしてたけど、そんなもんは現地で借りるべきだ!と言って断固断って正解だったな。これに荷物が追加されたら大変なことになっていた。俺がレジャーシートを広げてる間に新道とマロがパラソルとビーチチェアを借りて持ってきてくれた。女の子達はまだ着替えている。マロは準備万端という顔でレジャーシートに体育座りしている。完璧な目線の高さだ。


「おまたせー」


女の子達が水着に着替えてやってきた。霜月はワンピース、ちーちゃんと珠里ちゃんはビキニだ。珠里ちゃんは水着の上にパーカーを着ている。着ているのに分かるそのボリューム……。


「どうよ。なんか言うことあるんじゃないの?」


霜月が俺に顎を斜め上にあげてドヤ顔で言ってくる。


「そうだな。成長してないな。ちゃんと寝てるか?」


叩かれた。背中に絶対跡が付いてるだろこれ。それを見てちーちゃんが「ホント、息がぴったりですね」と言いながら笑っている。珠里ちゃんは俺の目線に気がついたのか少し怪訝な顔でパーカーの上から胸を腕で隠していた。新道は……なんか触れないほうが良さそうだ。そしてマロは……言うまでもなかった。

漫画ではよくある日焼け止めを塗ってあげる、という一大イベントは珠里ちゃんがちーちゃんに「私が塗ってあげる」の一言で夢に砕け、男同士で塗り合うという残念な結果に終わったわけだが。マロの肌がやらたとすべすべしてたのがムカついた。

しかし!この後はみんなで海に入る!珠里ちゃんはパーカーを脱ぎ捨てる!勝利!圧倒的勝利!と思ったのに「私は荷物番をしてるからみんなで遊んできて」と珠里ちゃんが言うが否や霜月が海に走り出して、それにつられて一緒に走って行ってしまった。新道は積極的に霜月に話しかけている。それを逃げるように霜月は俺に話しかけてくる。マロはちーちゃんと楽しそうに遊んでいる。マロは本当に鋼のメンタルだな。


「おーい。このままにしていくのかよー!」


俺は砂に埋められて身動きが取れない状態で放置されて強制荷物番にされてしまった。折角、珠里ちゃんがパーカーを脱ぎ捨てて泳ぎに行ったってのに。結局、珠里ちゃんの水着フルバージョンは見ることなく一日が終わった。

予約したペンションはそこそこ綺麗だ。広いウッドデッキもあって、デッキチェアと白いパラソルが並んでいる。ウッドデッキから夕陽が眺められるというのが売りなだけに、力の入れようが見て取れる。夕飯もフランス料理みたいに小分けで皿が運ばれてくるスタイルでどのフォークとナイフを使い始めれば良いのか迷っていたら霜月にまたしてもドヤ顔で「私が教えてあげようか?」なんて言われて、ちーちゃんにまた笑われてしまった。新道~!お前、なんとかしろ!と目配せをしたが、半ばあきらめ顔でため息をつかれてしまった。


その夜、新道にウッドデッキに誘われて行ってみると


「鏑木。ダメだやっぱり。霜月はお前しか見えてねぇよ。もういいや。諦めた……っと!」


伸びをしながらそう言われた。どういうことだ?霜月は俺しか見てない?


「どういうことだよ」


「いや、気づけよバカ。どう考えたって霜月はお前に惚れてるだろ。察してやれよ。今日だってずっとお前に話しかけてただろ」


そんなことがあるか?あの霜月が?俺を?いつも邪魔ばかりしてくるのに?新道にそう言われて戸惑ってしまった。ちょっと頭を冷やしてくるか。


一人浜辺に出て海風に当たって気持ちを落ち着ける。


「霜月がなぁ……」


「私がなんだって?」


声がして後ろを振り向くと後ろ手を組んで霜月が立っていた。

次回、姉妹、お楽しみに

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