第27話 自分殺し
ーさくら、さま
少女は愛焦がれる人の名前を叫んだ。
ーあやめちゃん、だめ
ーでも、さくらさま…
ーだめなの
ーさくらさまの、とこに、いきたい、よ…
ーだめだめだめだめだめ
ーわかってるよ。そんなの、わかってる
ーわかってるならなんでそんなことするの?
ーそっちこそ、なんで勝手に、女皇宣言、する、の…?
ーどっちにしろなるんだったら…
ーそんなの、ウン百回、いやウン千回聞いたっ
ーなら、なんでわかんないの
ーそれでもっ、私は、さくらさ、まの従者だからっ…
ーごめんねごめんね、私がこんな世界に産まれてごめんね、あやめちゃんをこんな世界に生んでごめんね
ーちがうのちがうのちがうの。
ーちがくないの。ちがくない、私がお兄様を信じたから、こうなってるの
ーちがうちがう、それはちがう
否定のし合いが始まる。
嗚呼まただ。
ーごめんねごめんね、本当にごめんね
ーさくらさまに、会えれば、それで、いい…の
「あの子」が叫んでる。
ーごめんね、あやめちゃん。この世界に私と貴方の行き場は他にないの
ーでも、やだ。まだしんじてたい
「あの子」を制裁しなければ。
ーごめんねごめんね
ーさくらさまも、きっと、待ってくれてる、の、だから、あきらめたく…ない
この世界は美しい故に悲しい。
ーごめんねごめんね
ーあきらめる、のは、まだ、はやい…よ
それでも、前を向いて歩きたい。
だから、「あの方」のことは忘れれば、幸せになる。
ーもう、おそい…よ
「あの子」が覚えている限り、「私」も覚えてる。
ーおそくても、まだ、戦機はきてない、の
だから、幸せになるために忘れようよ。
ー戦機は…すぎたの
幸せになるために。
ーそれって、忘れることって、それで、幸せになれるの?
ー……
ー幸せになれないなら…当たって砕けても違う方向に行こうよ
ー…ごめんね、本当にごめん
ー…?
ーごめんね、私なりの幸せを壊さないでほしいの
足掻いていた「あの子」は死んだ。
ーごめんね、ごめんね
ずっと清らかな心でいれたらよかったのに。
ーごめん、ね…
でも、「あの子」を殺したら楽になれるの
ーごめん、ごめんね
戦機はもう来ない。
ーごめんねごめんねごめん
なら、自分を殺した方が辛くない。
ーごめんねごめんごめんね
自分殺しは罪に問われるかな。
ー本当にごめんね
私って馬鹿だね。
ーごめん、ね
幸せを掴むために自分を殺したの。
ほら、馬鹿でしょ?
ー私が馬鹿でごめんね
誰かに響くわけもなく、心の中でこだました。




