第二話 夏の国 陽虫朝日
【前話のあらすじ】
春の神の妹・花舞櫻とその従者・菜草あやめは夏の国を訪れる。夏の神の従者である蛍丘ゆりに部屋を案内してもらっている途中、夏の神・陽虫朝日と遭遇する。しかし、すぐに部屋へ戻ってしまいー…!?
「すみません。朝日があんな感じで…」
「いえ、ゆりさんのせいではないので、責めたりしま…って、櫻様!」
櫻は朝日の行った方面に走り出していた。
「駄目です、櫻様!」
しかし、櫻はあっという間にあやめに捕まえられた。
「さくら、なつのかみさまとおはなししたい」
「…お…じゃ…か」
「?」
「そんな顔したら許しちゃうじゃないですか!!」
あやめは櫻をぎゅっと抱きしめながら言った。
「あやめちゃん、駄目?」
「だっ……いい…ですよ…」
結局、あやめは櫻に弱かった。
「あさひさん、そこにいるんですよね?」
「なんでわかるの?」
ぼそっと呟く朝日。
「なんか…あさひさんのかおりがしたから?」
「……」
(さくら、なんかへんなこといった?)
「私はあなたを呼んでない」
「…うん……」
「別に仲良くなりたいわけじゃない。ただの顔合わせ。なんできたの?」
「………」
「帰って」
今の朝日を1人にしてはいけないような気がした。
「むりです。おはなししたいことがあってきたんです」
「用件だけ簡潔に述べて」
「ようけんじゃ、ないです。さくらのじこまんぞくです」
「だったらさっさとあっち行きなさい」
「だめです。さくら、いまいっちゃだめです」
「何が分かるっていうの?」
(ことばがとげとげしてる…)
「あさひさんは、すごいひとだからできるんだよ」
「………何が」
「ぜんぶ。さくらは、はるをよべてもべつのことはできないです」
「………」
「ゆりさんにまかせちゃ…」
「もう出て行って!!アナタの顔なんかもう見たくもない!!!」
(しっぱい…しちゃった?……ううん、まだだよ、さくら)
「さくら、おいていけないんです、あさひさんのこと」
* * *
「櫻姫様、大丈夫でしょうか…あやめ様」
「櫻様は優しいです。こんな私でも受け入れてくださるのですから…」
「朝日は、会いたくないんだと思います。誰にも」
「櫻様でも…?」
「はい…」
「そ、そんなの…」
あやめは目を潤ませた。
「意味わからないです!!素敵な櫻様に会いたくないなんて…!!」
「あの方、可愛らしいですもの。桃色が似合いますよね」
「ええ」
「そのうち未婚の男たちがほっとかなくなるのでは?」
「なっ…!」
意外と衝撃を受けたらしい。
ードオン…
ーバタバタバタバタ…
「ゆり様!あやめ様!八丁堀火山が噴火しました!!!」
* * *
「さくら、おいていけないんです、あさひさんのこと」
「な…」
「みかたがいないきもち、わかります。さくらもそうだったから…。みてわかりました。ゆりさんはあさひさんのことを『わがまま』っていっていましたけど、」
「何が言いたいの!」
「きっと、ゆりさんはあさひさんのことがすきなんです」
「そんなわけないじゃない!!ありえない!」
「うそじゃ、ないです。きめつけちゃ、だめです」
ードオン…
「えっ!?な、なんのおと…?」
「多分、地震じゃなかったから…」
「ゆり!」
「櫻様…」
「あやめちゃん、さっきのは…?」
「八丁堀火山が噴火しました…!」
花舞櫻ちゃんは漢字読めない設定です。
次の公開予定日は2026/06/20です




