第三話 春の国 菜草五朝
【前回のあらすじ】
ドアを挟んで会話する春の神の妹・花舞櫻と夏の神・陽虫朝日。
従者会話をする櫻の従者・菜草あやめと朝日の従者・蛍丘ゆり。
そんななか、近くの八丁堀火山が噴火してしまいー…!?
注釈 校正園とは大きい植物ハウス的なところをイメージしております
「風吹様!!」
「なんだ?騒々しい」
花舞櫻の兄・花舞風吹は従者である菜草五朝が珍しく声を荒げていることに気づき、聞く姿勢をとった。
「八丁堀火山が噴火し、櫻とあやめが巻き込まれた模様です」
「それで?」
「夏の神訪問中だったようで、従者の蛍丘殿が緊急本部を派遣して欲しいとのこと!派遣いたしますか?」
「いらん。あっちはあっちでうまくやるだろ」
「しかし、櫻は風吹様の妹で…」
「そんなことはいい。彼奴は俺から力を奪った極悪人だ」
「しかし…」
「煩い。主人の言葉もまともに聞けないのか。それとも妹がいるからか?」
菜草五朝と櫻の従者・菜草あやめは兄妹だ。
「そんなに妹が大事か?」
「いえ、そんなことは!」
「そういえばそうだったな」
「……」
「そんなに彼奴が好きか?」
「……」
「だんまりか。まあいい。お前らの関係性には興味ない。夕飯はいらん。外に出る」
「今は雨が…」
「どうでもいい。出かけると言ったら出かけるんだ。校正園にいくぞ。すぐさま準備しろ」
「はっ」
五朝は小走りで部屋を後にした。
(風吹様は変わられてしまった)
はじめにそう感じたのは13年前。
あやめがあんなに泣く子だったというのを知ったのも13年前。
櫻の想いを知ったのも、あやめの忠誠心を知ったのも全部全部13年前。
『⬛︎⬛︎⬛︎。お前は今日から⬜︎⬜︎⬜︎だ』
『違います!私は⬛︎⬛︎⬛︎です!⬜︎⬜︎⬜︎じゃありません!あやめちゃんを返してください!お願いだからもう冬を撃たないで!』
その時、初めて知った。
人っていうのはこんなにも白にも黒にもなれたんだ。
まだ5歳の女の子だ。まだ5歳の女の子がここまで大人にものを言えるなんて。
「本部。応答せよ」
〈はっ〉
「今から校正園へ参る」
〈神は一緒か?〉
「一緒だ。…お前らは櫻の援護に迎え」
〈了解した〉
「もう切る」
〈はっ〉
ツーツー
(俺もそろそろ行く準備をするか)
* * *
『なぜここがわかった?菜草あやめ』
『わからなかったので侵入しては探しました。⬛︎様をお返しください!』
『⬛︎とは誰だ?』
『⬛︎様は⬛︎⬛︎⬛︎様のことです!攫ったのはあなただって知ってます!』
『⬛︎⬛︎⬛︎なんて奴はここにいない。いるのは⬜︎⬜︎⬜︎だけだ』
『違うんです。⬜︎⬜︎⬜︎じゃないんです。⬛︎⬛︎⬛︎なんです!』
『お前、五朝の娘だったか?』
『妹です!』
『五朝に免じて許してやる。騒ぐな。次、それで訴えたら命はないものと思え』
『私は⬛︎様を守って死ねるなら本望です』
『⬛︎はもういない。いるのは⬜︎だけだ。死にたいのか?』
『⬜︎様…いえ、⬛︎様を守れるならいいんです!』
『お前が死んだら⬜︎は反逆者として牢に入れる』
『なんで反逆者になるんですか!?』
『彼奴は俺から力を奪った』
『それって…』
『そうだ。俺から春の力を奪った。だから、彼奴は一生俺から卑下される』
『そんな…!』
『』のところはおおかた過去の話です
深そうな展開になってきて作者自身も驚いてます




