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季節はめぐる  作者: りあ
冬の国
2/4

第一話 春の国 花舞櫻

「櫻様、次は帝州です。一度、夏の御屋敷で休ませてもらいましょう」

「そうだねあやめちゃん」

「こちらですよ、櫻様」

「あやめちゃん、きょうもありがとう」


 まだ地面が銀色に埋め尽くされている中に2人の少女たちがぽつんといた。


 1人は花舞櫻。現在の春の神の妹。

 もう1人は菜草あやめ。櫻の従者。


「いえいえ、私は櫻様のためにいるのですから」

「ねーえー、あやめちゃん」

「どうされました?」

「ごちょうにいさまはけっこんしないの?」

「あんなの、性格的に無理じゃないですかね」

「さくら、ごちょうにいさまが…」

「彼奴は我々を見捨てたんですよ」






『五朝兄上!助けて…』

まだ7歳の少女は兄を見上げた。

『………』

『ねえ!兄上!⬛︎様が…⬛︎様がぁ……』

思い出したくもないのに我々を見張るように側についている記憶。永遠に途切れることのない記憶だった。






 そこへ品のいい女性が話しかけた。


「ようこそいらっしゃいました」

「夏の神様の従者の蛍丘ゆり様ですね」

「その通りです。お話中申し訳ございませんが、お部屋の準備が整いましたので、案内しますね」

「お、おねがいします、ゆりさん!!」

「ふふっ。素直ですね。うちの上司はわがままですよ」

「夏の神様……陽虫朝日様でしたよね?」

「はい。覚えていただけるなんて光栄です」


 ゆりさんは口に弧を描いた。


「夏の神様なんですから当たり前です」

「とりあえず、お部屋を案内します。ついてきてくださいね」


「あの、こちらのお部屋は?」

「朝日様のお部屋です」

「ゆりさん。あさひさん、そのうち、あえる?」

「わかりません。あの子の気分が乗れば………」

「さくら、かみさまじゃないけど、いいの?」

「櫻様。貴方はほとんど春の神と化しています。神様は貴方様のことが大切だったのでし

     ・・・・・・・・・・・・・・

ょう。現に風吹から力を奪っていますから」

「そうですよ、櫻姫様。貴方が春を呼んでいることには変わりないのですから」

「さくら、わるいひと。それでも…」

「櫻様は悪い人なんかじゃ、ありません」

「ゆりー誰の声ー?」


 面倒くさそうな声が聞こえてきた。


「朝日!出てきなさい!春の神様の妹さんよ」


 「あなたが春の神の妹さん?」

「はいっ!」


 櫻は名前を呼ばれたことが嬉しくて元気に返事をした。


「はなまい、さくら、です」

「花舞家の櫻さんですか…よろしく」

「よろしくお願いします」

「あ、そうか。私は陽虫朝日」

「夏の神様ですね!」


 陽虫朝日。いつも面倒臭そうな人。新緑の香りが目印。


「んじゃ、ゆり、あとは頼んだ」


(ええええええええええええ!!!)


 櫻は驚いて目を丸くした。

2026/06/19頃更新予定

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