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季節はめぐる  作者: 明月莉婭
春と夏の協奏曲
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19/46

第12話 あやめの正体

「あさひさん、おひさしぶりです」


 春の神・花舞櫻(はなまいさくら)は夏の神・陽虫朝日(ひむしあさひ)のもとを訪れていた。


「久しぶりー櫻ちゃん」

「櫻様、こちらにおかけください」

「ありがとうございます」

「それで、今日はどーしたの?」

「あやめ様がいないようですが…」


「そうなんです。あやめちゃんが…ゆうかいされちゃったんです…」


「誘拐!?」

「はい」

「あやめさんって恨み買うような子だっけ?」

「違うと思いますね」

「うらみ…じゃないとおもいます。あやめちゃん、じぶんからなんかいってました。あと、じぶんのこと『星華(セイカ)』って…」

「セ…星華っ!?」


 朝日が思わず立ち上がる。

 従者・蛍丘(ほたるおか)ひまもびっくりしていた。


「さくら、あまりわかんなくって…それであさひさんとひまさんのとこにきました」

「ひま、」

「うん…」


 夏主従は目と目で話し合っていた。


「なにかわかること、ありますか?」

「分かることっていうか…これはただの推測なんだけど…」

「それでもいいのでおしえてください」

「星華さんなんだよね?」

「はい」

「星華さんってさ、この国の皇女なんだよ」

「こうじょ…っ!?」

「そう。皇女。それでね、皇女様には兄がいてそれが皇子様なんだけど…14年前、皇子様と皇女様、2人ともお城からいなくなったらしいの…」

「14ねんまえ…。さくら、あやめちゃんとあったの…3ねんまえ、だけど…13ねんまえだ…」

「ちょうど一致してる…」

「もしかしたら、あやめ様は星華様なのではありませんか?」

「わかんない…けど…けいい、はらわなかったよ…」

「あたしも…」

「私も友達のように接してしまいました…」


 少し間が空いてから、朝日が口を開いた。


「というかさ、金髪金眼って皇家だけの特徴だよね。何で気づかなかったんだろ」

「あの性格ですから…なんで染めなかったんでしょうか」

「それはね、神話に書いてあった。神様の呪いみたいになってて、それで染められないんだって」

「のろい…。あやめちゃん、のろい?」

「本当は呪いじゃないけど、神様の呪いって呼ばれてる。それだけ強固なものだから」

「…っ!ごちょうおにいさまもきんいろだ…」

「五朝(ごちょう)さんって春の従者よね?」

「うん」

「五朝さんが…あやめさんのお兄さん…?」

「そうなりますよね」

「あー、もう何が何だかわかんなくなってきたー!」


 頭を抱えてソファに持たれる朝日。


「あさひさんとひまさんは…あやめちゃんがだれにゆうかいされたとおもいますか?」

「あたしは秋だと思うな」

「天皇様、だと思います」

「えー、だってこの国の頂点だよ!」

「息子と娘がいなくなれば後継はいないじゃないですか」

「た、たしかに…でも、実の父親だよ!?」

「父親だからこそですよ」

「え…あやめちゃん、おとうさんにさらわれちゃった…?」

「かもしれない」

「心配しないでください、櫻様。可能性がある、というだけなので」

「かのうせい、あるんでしょ?しんぱいしちゃうよ」

「……」

「……」

「おとうさんがさらったなんて、やだよ…!あやめちゃんだって、さくらだってみとめたくないよ…」


 櫻とあやめ、2人だけで戦っても何も起こらないだろう。しかし、それでも2人は戦うのだ。勝ち目がなくても自由のために。


(櫻ちゃんとあやめさんは戦うんだ…)


 朝日とひまは今まで周りに合わせてばかりだった。抜け出そうなんて考えたことはなかった。ずっと耐えてきた。


(もう、いいんだ…我慢しなくても)


 櫻とあやめは戦うことを決めたのだ。


(ずっと、自分は不幸だって思ってた。でも、幸せだったんだ…)


 櫻とあやめには味方はいない。

 朝日とひまにはある程度味方はいる。


「ひま、あたし、櫻ちゃんを手伝う!あたしもあやめさんを探す!どこに行ったのかさえわかんなくてもあたしも手伝いたい」

「お偉方を敵に回したら…」

「ねえ、ひま。あたし、我儘だよね。本当にごめんね。でも、これだけは手伝って欲しい」

「お偉方を敵に回したらあんたが殺されちゃう!!」

「それでもいいのっ!あたし、誰かのたまに生きてみたい」

「朝日…。殺される、可能性が高くなっちゃう…私の気持ちもわかってよ…」

「……」


(そんなの、わかってるよ。わかってるからこそやりたいの。ここだけは絶対に譲れない)


「ひま、ごめん。あたしはそれでも突き進みたい」

「朝日…」

「だから、お願い。あたし、誰かの"特別"になってみたい」

「朝日…あんたはもう、私の"特別"だよ」

「ひま……」

「朝日、いいよ」

「え…?」

「私が、守ってあげるから。お偉方が味方じゃなくても私はいつまでも味方だから」

「ひま…ひまのことも、あたしが守る!だから、お願いします」

「うん、いい、よ」


 2人の顔には笑みが浮かんでいた。

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