番外編 お花見
「櫻様が咲かせた春です」
「はる…。さくら、おはなみはじめて」
「そうですよね」
春の神・花舞櫻と春の神護衛官・菜草あやめだ。
2人は今日、庭で花見をしていた。全国を春にした後は一年ほど暇があったからだ。
これは櫻が13歳、あやめが18歳の時のお話。
この日はちょうどいいくらいの気温だった。
「あやめちゃん、あそこにおんなのこがいるよ」
「ぼっちですね」
「そういうこといわないの」
「はい…」
わかりやすくあやめはしょげた。
主人に怒られるとはあやめにとって不名誉だからだ。
「でも、あのこいじめられてる?」
「ぽいですね」
「あやめちゃん。あのこ、たすけられる?」
「あやめは櫻様のために体力を温存したいです」
「だめだよ、あやめちゃん」
「なんでそんなにあっちの肩を持つんですか?」
あからさまに気に食わなそうな顔をして言うあやめ。
「だって…いまにも、しんじゃいそう」
死んじゃいそう。
それは昔の櫻とあやめを連想させた。
主人は、少女と自身の過去を重ねてみているのだ。
「わかりました。このあやめ、櫻様のお気持ちにお答えいたします」
「ことわっても、いんだよ…?さくらのこと、きらいだったら…」
「櫻様が嫌いなわけありますか!?」
「じゃあ、あやめちゃん。たすけてあげよう」
「はい」
あの子を助けるということは過去の櫻とあやめを助け出すことだ。
「そこの小娘」
「だいじょぶ?」
孤独な少女が春主従に救われる瞬間だった。




