三日目 一つの刺激
テストが終わり、少し経って、一学期が始まって初めての本格的な部活が終わった。
俺は今小走りである。疲れているが、小走りだ。疲れているからこそ小走りでもある。
少しだけ小走りで走っていると校門が見える。そして、その隣に立つ陽香も。
「ごめん、遅れた。」
「大丈夫、来たばっか。」
少し息を整えてから、次はゆったりと歩き始める。
「でどうしたんだ?急に一緒に帰ろうなんて」
部活がなかったり、行きたい場所があったりするときは一緒に帰っているが、部活のあとに一緒にまっすぐ家まで帰るというのはあまりない。
「…い、いや。帰りたかったから。」
ふむ、これでも十何年来の関わりだ。嘘をついているのは当然わかっている。
「へー、まあいいや。」
別に聞きはしない。興味がないわけではないが、言わないなら無理に聞く必要もないか。
いや、こんなにキョロキョロしてると気になるわけでもうこれは俺に聞いてほしいということなのだろう。そうだ。そうに違いない!正解だ!ということで聞いてみよう。
「どうしたんだ?キョロキョロして」
「はっ!隠れて!」
「グェッ!」
ちょうどあった曲がり角に押し込まれる。否、押し潰される。
すると、陽香は少し曲がり角を出てスッと戻ってくる。
「ふーー、よかったーー」
「今日、本当にどうしたんだ?腹でも空いてるのか?」
陽香が奇行に出るのはお腹が減っているときだ。
「大食いみー………」
陽香は目を丸くして口をパクパクさせている。
「ん?どうした?」
「あ、あ…」
ホントにどうした。もうこっちが怖いんだが、
すると、後ろに指をさす。
「ん?後ろか?」
後ろを向くと、そこには大柄の男が!という訳ではない。というかその真逆だ。
小柄の女の子だった。下を向いていて顔は見えないが、俺らの学校の女子制服を着ている。
ということは高校生か。中学生くらいかと思った。というかすっごい萌え袖だな!長すぎるだろ。ん?いやこれ…見たことあるような?
すると、彼女は俺の後ろを見据えて言う。
「お久しぶりですね。陽香先輩。」
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「あーーー!燐か!」
端道 燐、ひょんなことから知り合った中学生のときの後輩だ。なんか掴みどころがない奴であり、なんか相性がよかった奴だ。
「いや~ホントに久しぶりですね。いつぶりでしょうか?」
え?無視か?無視?こちとら先輩だぞ。
「無視?おい燐、無視なのか?」
「久しぶりだね。燐ちゃん、燐ちゃんもこっちに来たんだね。」
俺を挟みながらも、俺を無視して会話をし始めた。俺、今透明人間なのか?
「お世話になった陽香先輩もいますし、何より近いですしね。」
「…………………………………………………………………ほいさ!」
少しの無言の時間を破壊するように燐の手が俺の腹の横を通り、陽香の胸に行った。
「!!!!!!!」
「ちょっ!?」
燐の方から陽香の方へ向く。
「久しぶりですね~、これ、おっぱい大きくなりました?」
揉んでいた。燐は陽香の胸を揉んでいた。
陽香の家には毎日とは言わないが、3日に1回ぐらいは行っている。
だが、漫画らしい身体を触ってしまったり、裸を見てしまったりなどのハプニングなんて起こったことがない。身持ちの固い女なのだ陽香は。
「やめっ!?」
今の俺はいやらしい気持ちで見ている訳では無い。どちらかというといやらしい以外の気持ち全てで見ていると言っても過言ではない。
「秀、見てないで、やめさせてっ!」
「了解!」
燐の腕を叩き落とす。
「いてっ、ごめんなさい。先輩、したくなっちゃって。」
「したくなっちゃってじゃないよ。」
燐はえへへと言う。
「いや、俺は!?」
なんで2人で完結してるんだ?
「もーなんですか。秀先輩」
見えてたのか。そろそろ本当に透明人間かもと思って燐の胸を揉もうとしていたぞ。
「俺になんか言うことないのか?」
「あぁ、久しぶりですねー、秀先輩、あなたの葬式ぶりでしょうか?」
透明人間から幽霊にランクアップだ。
「死んでねぇよ。」
「幽霊って自分が死んでるって思ってないらしいですよ。」
燐の頭をチョップする。
「よし、幽霊じゃないな。」
「叩く必要あります?」
燐は自分の頭をさすりながら言う。
「じゃあ、陽香先輩帰りましょうか。」
お前が話進めるのかよ。てか俺もいれろよ。
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燐と出会ったところからそこまで家まで遠くないので、話す時間は僅かであったが、濃い話ができた。というかこれから一緒の学校に通うのだ、いくらでも話す時間などできる。
「ではさようなら」「じゃあね。」
「あぁ、またな」
陽香と燐は帰り道が一緒だったらしく、十字路で別れた。
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「陽香先輩まだ付き合ってなかったんですか?」
「えっ、いやなんで!?分かるの?」
燐ははぁとため息をつく
「高校生カップルなんて胸揉み放題みたいなもんですからね。秀先輩、ガン見でしたから、童貞なんだなーと」
「えっ!?やっ童貞!?」
陽香の顔は既に真っ赤であった
「あっ、そろそろ陽香先輩の家ですよ。」
燐はふふっと笑いながら言う。
「う、うん、じゃあね!」
「ではまた。」
陽香は顔を隠しながら走って玄関に入ってしまう。
「…陽香先輩。すぐ盗っちゃいますからね。」
燐は歩きながら言った。
四日目 やっぱりあなたが




