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土曜日よ午前中は桃子さんと初デート。気分も高らかに服選びをする。
午後からは女性パブに行くけど、はじめてのデートで服選びを失敗したくない。
そんな感じでカットソーにカーディガンを羽織り、パンツに足を通す。
アクセサリーをじゃらじゃらつけて、気分は最高っ。
約束の時間三十分前に現場に着くと、すでに桃子さんが仕事場よりもナチュラルなスタイルで待っていてくれた。
「遅れてすみません」
「いいのっ。わたしが早く来過ぎちゃっただけだから」
ああ。なんだかとても初々しい会話だな。こういうのがいいんだよな。
「桃子さん、今日はカワイイです」
「ありがとう。秀くんもカッコいいよ」
それから手をつないで用品屋目指して歩き始めた。
「ここの服も似合いそうよね?」
「この服はカッコいいですね」
お互いがお互いに似合いそうな服を選ぶというシチュエーションも、大学生のデートみたいでおもしろい。
しかも、お互いにジェンダーレスな服を選んでいることを店員さんは知らない。
「っしゃい」
やたら背の高い店員さんは、だらけたあいさつをかけてくれた。
なるほど。この人くらい背が高くても、スレンダーだから女装しても似合いそうだな。
「じゃあ、会計お願いします」
背の高い店員さんの見立てで、会計をすませると、遊歩道に出てお互いの袋を交換した。
「さっそく今日着て店に出ようかな?」
「それ、素敵。でも、なんかほかのお客さんに悪いかも」
ほかのお客さんにバレたら、マウント取ってると思われるかも、と言った桃子さんの唇を僕の指がふさいだ。
「マウント、取っちゃってください」
「……うん。秀くん、好き」
「僕も好きです」
この年でこんなにピュアな恋愛ができるものかと不思議に思うくらいだ。
それから桃子さんとつないだ手の甲に、軽くキスした。
「もう、秀くんってば」
はずかしいよ、と言って、桃子さんが照れる。
実は僕も相当はずかしい。
ほかのお客さんには悪いけど、僕の運命の相手は桃子さんだったんだな、と確信する。
そう感じるくらいだから、女装パブはそろそろ卒業しようかな?
女装するのは楽しいけれど、恋人がいるとわかったら、お客さんの夢を壊してしまうものね。
そうだ、そうしようと思いながら、二人で女装パブ『マドモアゼル』まで手をつないで歩いた。
つづく




