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 週末はいつもの女装パブ『マドモアゼル』で女装して接客する。


「シュウちゃん、今日もカワイイよ」

「ありがとう。ボトルあけてくれたらもっとうれしいな」


 軽い感覚で言ったのに、お客さんは満面の笑顔でボトルをあけてくれた。ラッキー。


「え〜? シュウちゃんだけズルい〜。シマもかわいいでしょう?」


 僕とおなじく、週末だけバイトのシマは、本名が島江(しまえ) 長(なが)という変わった名前の持ち主で、僕にライバル意識を持っているけど、ガタイが良すぎて全然シマエナガ感がない。


 名前はカワイイのになぁ。


「シマちゃんだってカワイイよ? でも、やっぱりシュウちゃんが一番だなぁ。ごめんね、シマちゃん」

「むぅ〜。ひどいや」


 そう言って横を向くシマさんは、そり残しのヒゲが伸びてて痛々しい。


「なんでそんなにシュウちゃんが好きなの? たしかにボクなんかよりカワイイのは認めるけど」


 スキンケアとか、筋トレとかのせいじゃないかなぁ? 


 今日みたいにばっちりメイクした日は、ちゃんと寝る前にパックするんだもん。


「いやぁ、そこを突かれると困るんだけど。気がついたら好きになっちゃったんだよねぇ」

「なんだぁ。つまんなぁ〜いっ」


 シマさんはご立腹だ。


 元天才子役としても、この場を盛りたてる勇気は出ない。


「あとは、なんか健気なんだよな、シュウちゃんは」


 はいっ?


 健気?


 そんなことははじめて言われたよ。きっと、元子役でびゃんびゃん泣いてた頃があったから、勘違いしてるのかも。


「だってさぁ、シュウちゃんよく泣くんだよ? ほら、親戚んちの子供が泣いてるみたいで気が気じゃないんだよね」

「だから、それは昔のお芝居ですから。今、それを持ち出されると、恥ずかしさしかないんですよん」


 僕の照れ隠しにお客さんのハートを射抜いてしまったようだ。


「ね、こういうところがあざといんだよ、シュウちゃんは。お客さんたちもこのあざとさを見抜かなくちゃダメっ!」


 ちっ、あざとさがバレたか。まぁいいや。


 あざとくたって、カワイイって言われるのが一番うれしいんだもんねぇ〜だ。


     つづく

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