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平日はは広告代理店に勤めている。
そこでもやっぱり元天才子役の名前がついて回る。
「鏑木くん。ちょっといいかな?」
上司の山川さんはクールビューティーとして密かに崇められている存在だ。
そんな山川さんに呼び出されて、悪い気がしない。
「今度うちの若い子たちを連れて合コンしようと思うんだけど、鏑木くんも来ない?」
「僕のことはお飾りなんでしょう?」
「さすが、わかってるわね。できれば芸能人とか呼んでもらえりともっとたすかるんだけど?」
「さすがにそれは無理です。僕、もう一般人なので」
そう、山川さんだけじゃなく、有名芸能人とお知り合いになりたい人は大勢いる。
「でも、電話番号とかメアドとか知ってる人いない?」
「いませんね。生意気なクソガキにそんなことを教えてくれる人はいませんでしたから」
今はめっきり大人しいふりしてるんで。
「それは残念。でも、鏑木くんは来てくれるんでしょう?」
「約束はできませんよ? 僕、こう見えてもいそがしいんで」
仕事が終わったら一刻も早く女装したい。そのための努力も欠かせない。
「そっか。なら無理言わないわ。ごめんね、変なことたのんで」
「山川さんは、そういうこと言う人じゃないって思っていたから、軽くショック受けてます」
「あはっ。ごめんね、見かけ倒しで」
でも、人間は完璧じゃない。山川さんのそんな一面を見れただけでもありがたかった。
「いいんです。新鮮でしたし。なので、僕のアドレスでよければ交換しませんか?」
山川さんがどんな化粧品を使っているのか興味があるな。
「え? いいの? じゃ、っと。これでいい?」
「はい」
おたがいの電話にかけて、連絡先を交換した。
できた。
「アドレス交換なんて、はじめてしましたよ」
「嘘ぉ? 鏑木くん、かっこいいのに」
「僕も見かけ倒しなんですよ」
こうして、無事にアドレス交換がすんだ。
さて、午後からも仕事がんばろっと。
つづく




