↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
移動商人の私が、嫌われ者のお姫様に転生してしまった件  作者: なずな
はじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/61

第8話 ライ(23歳)移動商人

僕の名前はライ、23歳。しがない移動商人だ。


9歳年下の妹(ミーナ)と一緒に、いろんな国を旅しながら暮らしている。


今日はレグラント王国を出て、次の商売場所であるフェルディナンド公国に向かう予定だ。


あいにく天気は悪天候。

雨も風も次第にひどくなってきている。


でも、今日出発しないと次の市に間に合わない。


傍らで空を眺める妹(ミーナ)は、悪天候の中出発することに不満げだ。


「一日くらい休んだって…兄さんは商売馬鹿だね」


口を突き出しながらすねるミーナ。僕は作業していた手を止めて、笑いながら妹を見た。


「売れなきゃ生きていけないだろ、ミーナ。そんな顔すると可愛い顔が台無しだ」


すねているミーナに近寄り、雨に濡れて光り輝く彼女のブロンドの髪をそっと撫でた。


「しょうがないなぁ、美少女の私がいないと兄さんはほんとダメだね」


ミーナは得意げな顔ですっと立ち上がり、荷物を抱えて荷馬車に乗り込んだ。


「ありがとう、ミーナ。公国に着いたら、誕生日に美味しいもの食べに行こう」


そう言いながら僕は馬の手綱を握る。

ちょうど公国に着くころには、ミーナの14回目の誕生日だ。


「やったー!私お肉が食べたいなー!それにレモンケーキも!」


ミーナはとても食いしん坊で、好物の話をするとすぐに機嫌が直る。

美味しい料理を思い浮かべながらはしゃぐミーナを横目で見ながら、僕は荷馬車を出発させた。




1時間ほど進んだ頃、ますます雨と風が強くなった。


―さすがにこの先を進むのは厳しいだろうか


この先には、レグラント王国からフェルディナンド公国に入る前の、国境沿いの厳しい山岳地帯が続く。少しでも道を間違えると、荷馬車ごと崖の下だ。


僕は眠っている妹(ミーナ)の方を振り返ってちらりと見た。


―寝すぎじゃないか、良くこんな状況で眠れるなぁ


すーすーと寝息を立てる妹(ミーナ)を愛おしいと思いながら、荷馬車を止めようとした時、


自分の視界がぼやけていることに気が付いた。


―おかしい、この急激な眠気…


そう思った時にはもう遅く、荷馬車は一気に傾いた。




朦朧とする意識の中、僕は妹(ミーナ)の姿を探していた。


荷馬車はあのまま崖下へ転落。


―ミーナは、無事なのか、、?


体の半分から下の感覚があまりない。

降り注ぐ雨と肌を切るように吹く風のせいで、視界は悪くとても暗い。

思うように動かない体を必死に起こしながら、辺りを見回した。


「ミー、、ナッ」


視界の数メートル先で、眠るように倒れている妹(ミーナ)。

幸い大きな怪我はみられない。


「死んだかしら?」


ミーナのことしか視界に入れていなかったからか、僕たち以外の人間がいることに気が付かなかった。

ミーナのすぐ横にしゃがみ込み、彼女の顔を覗いている人物。


―誰だ…?!


黒くて長いローブをまとい、顔は深く被ったフードに隠れて見えない。


フードから少しはみ出した雨に濡れた長い漆黒の髪が、月明かりに照らされてギラギラとうねっている。


「あれ?、あなたはまだ息があるのね」


女がこちらの様子に気づいて立ち上がり、ゆっくりと歩いてきた。


「おやすみなさい」


そう言われた次の瞬間、胸のあたりに鋭い痛みが走った。


女の不気味に笑う口元が見え、僕の意識はそこで途切れた。




目が覚めるとそこは、煌びやかな部屋。


―ミーナは、どこだ?


すぐに起き上がろうとするが、体が思うように動かない。


―なんだこれは?!


自分の手を見て僕は驚きを隠せなかった。


まるで赤子のように小さな手。


必死に辺りを見回し、状況を確認しようとする。


ふと近くにあった鏡で、自分の姿を確認した時、僕は驚きのあまり言葉を失った。


―赤子だ…


そこに映る自分の姿は、まばらに生えた銀髪の髪に、エメラルドの瞳を持った赤子だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。