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移動商人の私が、嫌われ者のお姫様に転生してしまった件  作者: なずな
レグラント王国:市井編

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第25話 解決への第一歩

テオドールと一緒に再び市場を訪れたレティシア。

前回も話を聞いた少女、アリスに再び話を聞くことにした。

レティシア達はアリスの露店の前まで移動した。

相変わらず彼女の出している品物は少なく、鮮度も悪いようだった。


「特に何も出せないし、立ち話ですけど大丈夫です?」


アリスは机の上を片付けながら言った。


「気にすんなって!大丈夫だぜ」


何故かテオドールがにこにこ笑顔で答える。


クリスタは横目でじろりとテオドールを見ながらため息をつく。


「なぁアリス、これは噂話なんだけど、この市場で海産物以外を売って欲しいってお偉いさんから言われたら、ここのみんなはどうする?」


クリスタの質問にアリスは少し渋い顔をした。


「私は市場がまたにぎわうなら致し方ないとは思うけど、漁師のおっちゃんたちはあまりよく思わないだろうね」


アリスは机に片手をついて顎を乗せながら答えた。


「だよなぁ」


クリスタも想像していた返答に困り顔になる。


「クリスタちゃん、ちなみにだけどその噂ってけっこう確定情報?」


アリスの質問に気まずそうにクリスタは笑って視線をそらした。


「そっかー、まあしょうがないよねぇ」


アリスは大きなため息をついた。


「皆ね、誇りをもってこの市場を守ってきたんだよ。何でも売ってる露店街とは違って、海産物を買うならここって…」


レティシアはアリスの言葉を聞いて心がチクリと痛んだ。

商人としての誇り。

以前の賑わっていたこの市場を知っている元商人(ミーナ)としては、痛いほど共感できる。


―動物問題と市場の盛り上げはやっぱり別で解決すべきなのかな…


動物問題が解決できれば、ただでさえ漁獲量が減っている市場の品物の減りが、少しは抑えられるようになるだろう。

仕事を得た人々がまた買いに来てくれるかもしれない。


―でもお客が戻っても、品物が良くなければ売れない…


やはり漁場の問題は早急に解決するべきである。

そして動物問題も並行して進めるべきだ。


だが、漁場に出向くとなると、一日そこらで戻ってこれる距離ではないし、行った先で誰かしら漁師の協力が必要になってくる。


確かアリスの父親は漁師のはずだ。

だがレティシアが身分を明かせない以上、どうやって協力を求めれば良いか。


レティシアはふと、隣で恥ずかしそうにアリスを見つめるテオドールの姿が目に入った。


―この二人ってどういう関係かな、もしテオドールがアリスの父親とも会話したことある仲なら…


レティシアはすかさずクリスタの袖を引っ張り引き寄せると耳打ちをした。


「そういや、アリスとこいつって知り合いなの?」


クリスタは親指でびしっとテオドールを指さしながら言った。


「テオくん?よくうちの魚買いに来てくれるんだよ~」


そう言うとアリスはクリスタを手招きした。

口元を手で隠しながらクリスタの耳にこそっと呟く。


「バカだけど、けっこう可愛い」


二人は顔を見合わせて大声で笑い始めた。


「え?なに?なんで笑ってんの?」


テオドールだけが恥ずかしそうに慌てている。


一通り笑うと、クリスタはレティシアの方を振り返り、にやりと笑って親指を立てた。




無事にアリスから話を聞けたレティシア達は、市場を出てアルキオネ宮に戻る帰路についていた。


テオドールはというと、一度離れたところまで一緒に来たが、


「オレはもうちょっとぶらついて帰るから、お前らは先に帰ってろよ」


と言って、クロードを連れて市場の方角に戻って行った。


分かりやすくて可愛らしい王子だ。


「姫様、ロストフォロ買って帰りますか?この間のリベンジにっ!」


クリスタは八重歯を見せて笑いながら、レティシアの方を向いた。


「でも、人が大勢いる所は危ないんじゃ…」


「大丈夫です!姫様とあたしだけなら、最悪あたしが姫様を抱えて走ります!逃げ足だけは誰にも負けたことないんですよ~」


クリスタは不敵な笑みを浮かべながら答えた。


レティシアはそれを聞いて満面の笑みになる。


―食べ損ねたロストフォロっ!!想像しただけでよだれが出ちゃいそう


「マリアンヌには秘密にしようね」


「承知しましたぁん♪」


レティシアとクリスタはお互い下種な顔で笑い合いながら、上機嫌でステップを踏んで歩いて行った。


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