表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/42

第三十九話:火生三昧の終焉と九州からのシグナル

 ――オ、オガァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!


 【天空】の隔離空間のなかに、この世の終わりのようなおぞましい悲鳴の音声ログが響き渡った。


 博雅の『黄金の矢』によって防衛線を完全にこじ開けられた教頭のログイン座標へ、俺が放った特大の天将・騰蛇の黒紫の業火が、一パケットの容赦もなく真っ正面から直撃しやがったんだ。


 独自の特級術式も、裏組織から与えられたドス黒い霊気のトラフィックも、その圧倒的な無色の氣を乗せた【火生三昧かしょうざんまい】の絶対火力の前に、みるみるうちに分子レベルへと強制上書き(完全消去)されていく。


「おの、れ……掃除屋の、ガキども、が……ッ!!」


 最後に醜いエラー画面のごとく引きつった教頭のハゲ頭が、漆黒の炎のなかに消えていく。

 学園のシステム中枢に深く常駐ハック(侵食)を完了させていた内通者のアカウントが、今度こそこの世界線から完全に、根こそぎタスクキルされた。


 パァンッ、と鏡が物理的に粉砕されるような冷たい電子音が鳴り響き、俺たちを隔離していた【天空】の異空間セクターが霧のようにログアウト(消滅)していく。気づけば俺たちは、ドアのブチ破られた、いつもの放課後の正常値を取り戻した職員室へとリブート(帰還)していた。


「……ふぅ。これで、本当のゲームセット、やな」


 俺は影の底へと騰蛇を静かにログアウトさせながら、ポケットから五芒星のジッポを抜き出し、カチャリと軽い金属音を響かせてタバコに火を点けた。


 だが、その安堵 the タイムラインに割り込むように、有世のタブレットが突如として、これまでにないほど激しい警告アラート(最悪な波形)を点滅させやがった。


「――晴明先輩、博雅先輩、道満先輩! 見てください、消滅しかけた教頭のプライベートサーバーの最深部、データが完全に瓦解する直前に、とんでもない裏コードの暗号パケットが弾け飛んできました!」


 有世がシャープな目のままタブレットの画面を俺たちの網膜へと突きつける。

 そこには、教頭が学園の地脈を売り渡そうとしていた、学園の外部にある巨大な裏社会組織の、真のアカウント名がレンダリングされていた。


「……九州の、睦会むつみかい……!」


 画面の暗号ログをスキャンした博雅が、その聞き慣れない、だけど圧倒的な質量を持った組織の名前を低く口にする。

 道満もその爛々とした瞳を限界まで見開き、「九州の睦会……。なんであのコレクターと一緒になって姫路に来てた巨大なフォルダ(組織)が、またうちの学園ドメインにアクセスを仕掛けてきとんねん……っ」と、背筋に走る戦慄のコードに息を呑んでいた。


 なぁ、あんたならどう思う?

 学校の怪談バグ(七不思議)を片付けて、裏切り者の教頭を力ずくで強制終了して、今度こそ一件落着だと思った途端にさ。そのサーバーの奥底から、神戸のストリートすら丸ごとオーバーレイ(上書き消去)しかねない、あの姫路での死闘の因縁を抱えた最大組織『睦会』の殺意のシグナルがオンライン(参戦)してくるんだ。


 教頭というローカルエラーはただのバックドア(入り口)にすぎなかった。俺たちの新しい新生徒会のタイムラインは、ここから西日本の裏社会全体を巻き込み、菱王会も参戦し、さらに狂暴にクロックアップしていきやがるんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ