第三話
宮坂と二人で昼食を食べながら話をする。
ホッケの香ばしい匂いと、唐揚げのいい油の匂いが食欲を誘う。
「AIアンドロイド結愛って知ってる?」
朝のメールの話を宮坂に切り出す。
若いし、こいつの方が何か知ってるかもしれないと思ったからだ。
「ぁー、知ってますよ。SNSでちょいちょい話題に上がってるんで」
唐揚げを一口で頬張りながら、熱そうにしている宮坂。
教えてもらっていいか?と言うと、唐揚げを飲み込み続ける。
「ほら、これですよ」
SNSの動画を見せてくる宮坂。
そこにはYUA PROJECTというプロジェクト名が書いてあり。
ユーザー名はYUA SYNC《ユアシンク》と書いてあり、実際に結愛を動かしている動画があった。
「これ、テスターって一人だけ募集してるんですよね。次世代型って言うのもあって、二十万人くらい応募来てませんでしたっけ?」
ホッケの骨を箸で取りながら、凄く言いにくかったが続ける。
「当たったんだよな……」
「えぇー!?」
店中に宮坂の声が響く。
店員さんに睨まれて、宮坂は店員に必死に頭を下げていた。
「凄いじゃないですか、それでどうするんですか?」
俺はその言葉に対して、少しの間を置いて答える。
「正直断ろうと思ってるよ。酔った勢いだったしな」
宮坂はえー、もったいないと返してくる。
「僕が貰いましょうか?と言ってもそんな事出来ないですしね」
「まぁ、お前にあげる気はないけどな。でも一番引っかかるのは真理なんだよな……」
「ぁー、彼女さんですよね。というか結婚するんでしたっけ?」
「まぁ、まだ日取りは決めてないけどな」
お味噌汁を飲みながら答える。
味噌の塩気と油揚げが美味しい。
「じゃあ我が課のマドンナさんに聞いたらどうです?」
俺はそう言われて一気に気分が落ち込む。
「そんな嫌そうな顔しないでくださいよ。でもそれが一番じゃないですか?ほら、思い立ったが吉日です」
宮坂ははやし立てる様に俺にスマホを出させる。
そしてSNSの連絡先の名前は白河真理。
我が社の俺が所属している課の課長である。
年齢は俺の四個上で三十二歳だが、見た目は全くそうは見えず、20代半ばくらいに見える。
「じゃあ連絡してくださいよ」
宮坂は俺が固まっているのを見ると「こういう時は本当に新入社員みたいですね」そう言いながら通話ボタンを押したのだった。




