前へ目次 次へ 82/88 第79話:永遠の序曲 ふたりの時計の針だけがふっつりと止まったかのよう。 その姿は、大切な思い出を閉じ込めた琥珀のように、永遠の輝きを宿した。 移ろいゆく季節の外側で、ふたりだけはあの日と変わらぬまま、彼女の目覚めを待ち続けていた。 かつて彼らの行く末を案じ、慈しんだ王も、誇り高き兄も、とうの昔に時の砂へと埋もれていった。 共に笑い、語り合った者たちの名残は、今や苔むした墓碑銘に微かな影を留めるのみ。 ―ある日、ふたりは静かに彼女の手を取った。 「おはよう、僕らのお姫様。」