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第76話:社交の余韻、戦慄の予兆

華やかなパーティーの翌日。

重厚な扉に閉ざされた城内の一室では、招待を受けていた各国の王たちが一堂に会し、昨夜の社交場の熱気とは正反対の張り詰めた空気が漂っていた。


議題は、最近各地で報告されている魔族のものと思われる不穏な騒動について。


各地から、小規模ながらも無視できない報告が相次いでいた。


国境付近で発生した家畜の大量変死。

魔力の乱れによる小規模な天変地異。

街道に現れる、これまでの魔物とは一線を画す知性を持った個体。


「しかしまだ実害は限定的だ。野良の魔族が気まぐれに動いているだけなのではないか?」


そんな楽観的な意見を述べる王もいる中、ロイエンタール王だけは、険しい表情で手元の資料を見つめている。

彼の脳裏に焼き付いているのは、先日のレイを襲った大魔族マリオットによる騒動について。


「単なる気まぐれなどではない。」


ロイエンタールは断言する。


「これらは奴らのデモンストレーションだ。いつでも我々の懐に飛び込み、我々の命を奪えるのだと……

今各地で起きている小競り合いは、我々の反応を試すための軽い挨拶に過ぎん。」


彼の厳しい言葉に、他の王たちの顔から余裕が消えた。



ロイエンタールは、会場で楽しげに過ごしていた聖女たちの姿を思い浮かべた。


「だからこそ、聖女たちによる支援は必須となる。彼女たちの力は、来るべき嵐に対する唯一の盾となるだろう。」


一見、春のような穏やかさを見せる帝国。しかしその裏側では、世界を飲み込もうとする怪しく巨大な影が、着実にその鎌首をもたげ始めていたのだった…





〜第三章へ続く〜

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