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異世界ランキング王~総合1位だけが王になれる世界〜  作者: れいじ


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第4話 バトルランキング

第4話です。


異世界での生活を始めた大河は、自分の身体を確かめるために訓練を始めます。


そして、ランキング世界のもう一つの大きな柱であるバトル系ランキングへ目を向けることになります。

借りたばかりの部屋に、朝の光が細く差し込んでいた。薄い窓硝子を通った陽射しは、床板の傷を淡く照らし、壁際に置いたわずかな荷物の影を長く伸ばしている。大河は寝台の上で目を開け、しばらく見慣れない天井を眺めていた。木の梁には小さな節がいくつもあり、その間を細い蜘蛛の糸が銀色に光っている。地球の部屋ではない。昨日の夜まで借りた宿でもない。ここが、この異世界で最初に手に入れた自分の拠点だった。


 部屋は狭い。寝台と小さな机、それに椅子が一脚あるだけで、歩ける場所は多くなかった。けれど窓を開ければ、朝の街の匂いが入ってくる。焼きたてのパンの香り、馬車の車輪が石畳をこする音、遠くで誰かが桶に水を流す音。そのすべてが、今日もこの世界が動き始めていることを大河に教えていた。


 枕元では、ポルポルが丸くなって眠っていた。ピンクに近い紫色の毛が朝日を浴び、ふわふわと柔らかく光っている。小さな腹が呼吸に合わせて上下し、長い尻尾は寝台の端から垂れていた。昨日、魚料理をあれだけ食べたというのに、寝顔は妙に満足げだ。


「起きろ、ポルポル」


 大河が声をかけると、ポルポルは耳だけをぴくりと動かした。しばらくして、片目をうっすら開ける。


「朝ごはんなのです?」


「まずは練習だ」


 その一言で、ポルポルの目が完全に開いた。彼女は寝台の上で身体を起こすと、頬を膨らませながら大河を見上げる。


「朝ごはんの前に練習は、少しだけ厳しい世界なのです」


「ランキング世界は甘くないんだろ」


 大河が昨日の言葉を返すと、ポルポルは小さく呻き、反論を飲み込んだ。悔しそうに尻尾を揺らしているが、言っていることは分かっているらしい。


 二人は街の外れにある広場へ向かった。まだ朝早い時間だったが、通りにはすでに多くの人がいた。荷物を担いだ職人、露店の準備をする商人、協会へ向かうランカーらしき者たち。腰に剣を下げた男が通り過ぎるたび、金属の鞘が微かに鳴った。大河はその音を耳にしながら、最初のランキングで走った五十メートル走の記録を思い返していた。


 五秒九三。七十八位。二十三ポイント。


 悪い結果ではない。だが、ポルポルの言う通り、それは安定した足場ではなかった。基礎体力部門は挑戦者が多い。百位を下回れば、得たはずのポイントが一転してマイナスになる。そう考えると、あの数字は勝利というより、崖の縁に立ったまま手にした小さな旗のようなものだった。


 広場には、朝の冷えた空気が残っていた。石畳ではなく、踏み固められた土の地面が広がり、端には木製のベンチと水場がある。大河は軽く身体をほぐし、まずはゆっくり走り出した。地球でしていたように、呼吸を整え、腕を振り、足裏の接地を確かめる。五十メートル走で初めて全力を出した時に感じた異世界仕様の身体の軽さは、今も確かにあった。地面を蹴ると、思った以上に身体が前へ出る。だが、その分だけ動きが雑になりやすい。


「速いのです。でも、少し跳ねてるのです」


 横を飛ぶポルポルが、真剣な顔で言った。朝食前の不満はどこへ行ったのか、観察する目だけは鋭い。


「自分でも分かる。力が上に逃げてる」


 大河はペースを落とし、足の運びを修正した。地球で鍛えた感覚と、今の身体能力がまだ噛み合っていない。思ったより強く蹴れる。思ったより速く動く。けれど、その力に意識が追いつかない。腕を振るたび、肩に余計な力が入る。足を出すたび、接地の位置がほんの少しずれる。


 何本か短いダッシュを繰り返した後、大河は広場の端で息を吐いた。額には汗が浮かび、首筋を伝ってシャツの中へ流れていく。異世界の朝風は冷たいのに、身体の奥は熱を持っていた。


「身体能力は上がってる。でも、まだ自分の身体じゃないみたいだ」


 大河はそう言いながら、拳を軽く握った。指先まで力が通る感覚はある。だが、それを思い通りの形にするには時間が必要だった。


 ポルポルは空中で腕を組むような仕草をした。小さな身体で偉そうにしているので、どうにも迫力には欠ける。


「神様からもらった身体は、素材としてはかなりいいのです。でも、大河さんの動きに馴染ませる訓練が必要なのです。速く走れる身体と、速く走る技術は別なのです」


「その通りだな」


 大河は苦笑した。小さな相棒の言葉は可愛らしい声に乗っているが、内容は的確だった。


 ランニングの後は、軽い筋力トレーニングに移った。スクワット、腕立て、体幹。地球で慣れた動きを一つずつ確認する。身体はよく動くが、回数を重ねると細かな違和感が出てくる。疲労そのものは地球にいた頃より少ない。けれど、使う筋肉の感覚が微妙に違い、力の抜き方を間違えると動きが硬くなる。


 最後に大河は、広場の隅でシャドーを始めた。拳を構え、足を開き、重心を落とす。朝の空気が肌に触れる。拳を突き出すたび、袖が風を切った。武道を嗜んでいた頃の感覚が、走る時とは違う場所から戻ってくる。相手との距離、重心の移動、踏み込み、引き手。誰もいない空間に向けて拳を出しているのに、頭の中には道場の畳の匂いが蘇った。


 ポルポルは少し離れた場所で、大河の動きをじっと見ていた。いつものように茶化すこともなく、紫色の尻尾だけがゆっくり揺れている。


「どうだ?」


 大河が汗を拭いながら尋ねると、ポルポルは少し考えてから頷いた。


「武道の動きは、ちゃんと身体に残ってるのです。走る時より、力の流れが自然なのです」


「自分でもそう感じた」


「なら、次は見るのです」


「見る?」


 ポルポルは街の中心にある協会の方角を指した。朝日を受けた尖塔が、屋根の向こうで白く光っている。


「バトルランキングなのです。説明だけ聞くより、見た方が早いのです」


 ランキング協会の中は、朝から熱を帯びていた。受付ホールには昨日よりもさらに多くのランカーが集まり、壁の掲示板には無数の文字と数字が浮かんでいる。剣を背負った者、杖を持つ者、手甲を巻いた者、軽装の格闘家らしき者。彼らの間を、係員が忙しそうに行き交っていた。


 ポルポルは大河をホール奥の観戦通路へ案内した。そこには複数の扉が並び、それぞれの上に「魔法系」「剣系」「格闘系」「スキル系」と表示されている。扉の向こうからは、歓声や衝撃音が微かに漏れていた。大河が足を止めると、ポルポルが声を少し落として説明した。


「バトルランキングには、いろいろ種類があるのです。魔法だけで戦うもの、剣だけで戦うもの、剣と魔法を使うもの、スキルありのもの、全部ありのもの。細かく分けるとかなり多いのです」


「全部覚える必要はなさそうだな」


「今の大河さんには、特にそうなのです。大河さんはまだ魔法が使えない。スキルも使えない。剣もこの世界の技術はまだありません」


 ポルポルはそこで一度言葉を切り、格闘系と書かれた扉を前足で示した。


「だから、今見るべきなのは格闘バトル。中でも、素手限定。魔法なし、スキルなしの部門なのです」


 大河はその扉を見つめた。木製の扉なのに、向こう側から伝わってくる空気は重い。歓声に混じって、肉体同士がぶつかる鈍い音が響いている。走る競技場とは違う熱が、扉越しにも伝わってきた。


 観戦席へ入ると、そこには円形の闘技場が広がっていた。中央には砂を敷いたリングがあり、その周囲を石造りの観客席が囲んでいる。ローランカー同士の試合らしく、席は満員ではなかったが、それでも百人以上の観客が集まっていた。酒を片手に歓声を上げる者、カードを覗き込んで数字を確認する者、静かに腕を組んで戦いを見つめる者。戦いそのものだけでなく、そこに乗るポイントと金が、観客たちの目を熱くしていた。


 リングの上では、二人の男が向かい合っていた。どちらも武器は持っていない。片方は背の高い痩せた男で、腕が長く、足運びが軽い。もう片方は低く構えたがっしりした男で、肩から首にかけて岩のような厚みがある。


 審判が手を上げると、観客席のざわめきが一瞬だけ静まった。


「格闘バトル、素手限定ローランカー戦。挑戦者、ランキング外。対戦相手、ローランカー八百十二位」


 大河はその言葉に反応した。ランキング外。つまり、自分と同じ立場の者が、ローランカー枠へ挑戦しているのだ。


「相手は選べないんだったな」


 大河が小声で確認すると、ポルポルは頷いた。


「そうなのです。個人を指名することはできません。挑戦できるのはランク帯の枠だけなのです。ランキング外の人なら、ローランカー枠へ挑戦申請。ローランカーの誰かが承認して、最初に承認した人が相手になるのです」


 リングでは試合が始まった。痩せた挑戦者が軽く跳ねるように距離を取り、長い腕で牽制の拳を出す。八百十二位の男はそれを肩で受けるようにして前へ出た。砂が蹴られ、二人の足元で舞い上がる。観客席から歓声が上がった。


「ランキングに入った後も同じなのか?」


「同じなのです。誰か個人を狙うのではなく、枠へ挑戦するのです。ただし、自分のランクによって挑戦できる枠が変わるのです。ローランカーなら上の枠にも挑めます。無謀ですけど、ゴールド枠に申請することもできます。でも相手が承認しなければ戦えないのです」


「なるほど。上に行くほど、誰と戦えるかも難しくなるわけか」


 大河はリングから目を離さずに言った。痩せた挑戦者の拳が、八百十二位の男の頬をかすめる。だが次の瞬間、八百十二位の男が一気に踏み込み、相手の腹に重い拳を叩き込んだ。鈍い音が響き、挑戦者の身体が折れる。観客の声が一段大きくなった。


 大河の眉がわずかに動いた。速い。派手な技ではない。だが距離の詰め方と重心の乗せ方がうまい。ローランカーといっても、決して素人ではなかった。


「ミドルランカーになれば、ローランカーは指名できなくなります。ハイランカーになればミドル以下は指名できません。シルバーならシルバー以上、ゴールドならシルバーとゴールド。基本は上か同格と戦うための仕組みなのです」


「格下狩りを防ぐためか」


「そうなのです。ただし、下位側から挑戦申請があって、上位側が先に承認すれば戦えます。だから、弱そうな相手を見つけてボーナスポイントを狙う人もいるのです」


 リングの上で、挑戦者が必死に立て直そうとしていた。腕を伸ばして距離を作るが、八百十二位の男は逃がさない。足を止めさせ、身体を寄せ、短い拳を何度も打ち込む。最後は挑戦者の膝が砂に落ちた。審判が間に入り、試合終了を告げる。


「勝者、八百十二位。防衛成功。ボーナスポイント十」


 観客席の一部から拍手が起こった。勝った男は大きく息を吐き、拳を掲げる。負けた挑戦者は悔しそうに砂を握りしめていたが、すぐに係員に肩を貸されてリングを降りていった。


 大河は黙ってその姿を見ていた。負ければ十ポイントのマイナス。昨日走って得た二十三ポイントの半分近くが消える。勝てば順位を得られるが、負ければ生活の土台が削られる。単純な殴り合いではない。拳の一発ごとに、明日の飯と宿が乗っている。


「どう見えたのです?」


 ポルポルが尋ねる。大河は腕を組み、リングの砂に残った足跡を見つめた。


「強い。でも、勝てないとは思わない」


 その言葉に、ポルポルの耳がぴくりと動いた。


「本気なのです?」


「今の八百十二位は、前へ出る力が強い。だけど大振りになる瞬間がある。距離を合わせられたら厄介だけど、正面から受けなければ崩せるかもしれない」


 大河はそう言いながら、自分の拳を見た。リングの熱に触れたせいか、指先がわずかに疼いている。道場で相手と向き合った時の感覚が、胸の奥で静かに起き上がっていた。


 ポルポルはしばらく大河の顔を見ていたが、やがて小さく息を吐いた。


「では、次は実際に試すのです。協会の練習場へ行くのです」


 練習場は協会の地下にあった。石階段を降りると、外の歓声は遠ざかり、代わりに木剣がぶつかる音や、砂袋を叩く乾いた音が響いてきた。広い空間にはいくつもの区画があり、剣の練習をする者、魔法の制御を試す者、素手で人形を相手にする者がいた。空気は汗と革と木屑の匂いが混ざり、地球のジムや道場に似た熱を帯びている。


 ポルポルは受付で手続きを済ませ、大河を格闘用の模擬区画へ連れていった。そこには人の形をした木製の訓練人形と、動く練習用ゴーレムが置かれていた。ゴーレムは大河より少し背が低く、表面は柔らかい革のような素材で覆われている。関節部分には金属の輪があり、目に当たる場所で淡い光が瞬いていた。


「これは初級用の模擬ゴーレムなのです。素手限定バトルの練習相手として使われるのです。攻撃力は抑えられていますが、当たると普通に痛いのです」


「痛いのは嫌だな」


「本番はもっと痛いのです」


 ポルポルが真顔で言うので、大河は肩を回しながら苦笑した。緊張はある。だが、それ以上に試したい気持ちが勝っていた。


 係員がゴーレムを起動すると、低い音とともにその身体が動き出した。ゆっくりと構えを取り、拳を上げる。大河も向かい合って構えた。足幅を取り、重心を落とす。呼吸を整える。目の前の相手は人間ではないが、距離と角度は本物だ。


 最初に動いたのはゴーレムだった。短く踏み込み、真っ直ぐ拳を出してくる。大河は横へ半歩ずれようとして、思ったより身体が大きく動いてしまった。足が流れ、バランスが崩れる。そこへ二発目が飛んできた。腕で受けた瞬間、鈍い衝撃が骨に響く。


「くっ」


 痛みが走った。攻撃力は抑えられていると言っていたが、十分に痛い。大河は歯を噛み、距離を取り直した。今の身体は反応が速い。だが速すぎる。小さく避けたいのに、大きく動いてしまう。力が余っているせいで、技術が乱れる。


「大河さん、動きすぎなのです!」


「分かってる!」


 ゴーレムが再び踏み込む。今度は逃げすぎず、拳の軌道を見た。肩の動き、腰の回り方、足の出方。人間とは違うが、攻撃の起こりはある。大河は腕を外側へ流し、相手の力をずらした。そのまま一歩入り、胴体へ短く拳を打つ。鈍い音が鳴り、ゴーレムの身体がわずかに揺れた。


 手応えがあった。


 大河の中で、走っている時とは違う集中が生まれた。相手が動く。こちらが見る。避ける。入る。打つ。単純なやり取りの中に、無数の選択肢がある。力だけではない。速さだけでもない。相手の重心を読むこと、次の動きを誘うこと、ほんの半歩の位置で勝負が変わること。武道で学んだ感覚が、異世界の身体に少しずつ馴染んでいく。


 ゴーレムの拳が頬をかすめた。風圧が肌を撫でる。大河は身体を沈め、相手の懐へ入った。足を踏み替え、腰を回し、掌底を胴へ叩き込む。ゴーレムの身体が後ろへ下がった。その隙に、大河はさらに一歩詰めて足を払う。完全には倒せなかったが、ゴーレムの姿勢が崩れた。すかさず肩口を押し込み、相手の軸を外す。


 ゴーレムが片膝をついた。


 係員が手を上げ、模擬戦終了を告げた。大河は息を吐き、拳を下ろした。腕には打撃を受けた痛みが残り、汗が背中に張りついている。だが不思議と悪い疲労ではなかった。


「勝った……でいいのか?」


 大河が振り返ると、ポルポルは空中で目を丸くしていた。尻尾が小刻みに揺れている。


「初級用とはいえ、初めてで倒すのは普通じゃないのです」


「こっちは結構必死だったけどな」


「それでもなのです。大河さん、格闘の素質はあります」


 ポルポルの声には、隠しきれない驚きが混じっていた。大河は拳を開き、掌に残る感触を確かめる。痛みもある。怖さもある。だが、それ以上に、戦えるかもしれないという手応えがあった。


 もちろん、模擬ゴーレムと実戦は違う。さっき観戦したローランカーの男は、もっと重く、もっと狡猾で、もっと生々しい攻撃をしていた。リングの上では、相手の息遣いも、痛みも、観客の視線も、すべてが判断を乱すだろう。それでも、大河の心はすでに次の一歩へ向いていた。


 練習場を出る頃には、午後の光が協会の窓から斜めに差し込んでいた。ホールでは相変わらず多くのランカーが行き交い、掲示板の数字は絶えず更新されている。大河は格闘バトル素手限定の掲示板の前で足を止めた。そこには一位から千位までの名前が並び、ローランカーの欄には見知らぬ名が無数に連なっている。


 五百一位以下。ローランカー。


 ここが、今の大河が挑める最初の戦場だった。


 大河はカードを取り出し、表示された自分の総合ポイントを見た。二十三。昨日から変わらない小さな数字だ。だが、もし格闘バトルでローランカーに勝てば、一気に数百ポイントを得られる可能性がある。もちろん、負ければ十ポイントを失う。たった十とはいえ、今の大河には軽い数字ではない。


「本当にやるのです?」


 ポルポルが隣で尋ねた。いつもの明るい声ではない。心配を隠しきれない声だった。彼女は小さな前足を胸の前で握り、掲示板と大河の顔を交互に見ている。


 大河はしばらく答えなかった。掲示板に並ぶ名前の一つ一つが、誰かの生活であり、努力であり、戦って得た順位なのだと思うと、軽々しく踏み込める場所ではないと分かる。だが、王を目指すなら、いつか必ず戦うことになる。基礎体力だけで五九五七ポイントへ届くとは思えない。魔法もスキルも使えない今、自分に残されている武器は、走ることと、身体で覚えた武道の感覚だけだ。


 ならば、今見えている道から逃げる理由はなかった。


「やる」


 大河はカードを握りしめた。金属の温かさが掌に伝わる。


「明日、格闘バトル素手限定。ローランカー枠へ挑戦申請する」


 ポルポルは小さく息を呑んだ。それから、覚悟を決めたように頷く。紫色の尻尾がゆっくりと持ち上がった。


「分かったのです。なら、ポルポルも全力でサポートするのです」


 協会の鐘が、夕方を告げるように低く響いた。掲示板の数字が淡く揺れ、その光が大河の瞳に映る。誰が承認するのかは分からない。弱い相手かもしれない。手に負えない相手かもしれない。相手を選べないということは、運命の扉を自分で叩きながら、向こうから誰が現れるかを待つようなものだった。


 それでも、大河はその扉の前に立つことを決めた。


 ゼロではなくなった生活の次に必要なのは、戦う覚悟だった。

第4話を読んでいただき、ありがとうございました。


大河は基礎体力だけではなく、格闘バトルにも可能性を見出しました。


けれど、バトル系ランキングは走る競技とは違い、相手がいる勝負です。

勝てば大きな一歩になりますが、負ければポイントを失う危険もあります。


次回、大河はついにローランカー枠へ挑戦します。


誰が相手になるのか。

そして、大河の武道経験は異世界のバトルで通用するのか。


続きを楽しんでいただけると嬉しいです。

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