17、不安
ククーとウロタも眠りにつき、ノールは一人で焚き火を見つめていた。
(未来のことを、考えても仕方ない……。でも……)
ノールは、ククーが言った言葉を思い出し、首を振る。
「ノール……」
いつの間にか、ヘルがノールの側にいた。
「あっ、いつの間に……。休めた?」
「ええ」
ヘルはノールの横に座る。
(何だろ……。ヘルと久しぶりだから? 変な再会をしたから? 何だか落ち着かない……)
ノールは少し緊張感を覚える。
「まさか、ずっとあの獣といたなんてね」
「ヘルを助けるために、行動を共にするのが良いと思ってね。それに、ククーは良い奴だよ」
ノールが微笑むと、ヘルは険しい顔をした。
「ノール、今からでも遅くない。ファイキャトスと手を切ろう?」
「えっ?」
「だって、あなたがいつもファイキャトスのことを話してくれたじゃない! ホウエン国・文明を滅ぼした妖獣。滅ぼす……つまり、国の人々を殺し尽くしたってことでしょ……!? このままじゃ、ノールは、大漁虐殺する妖獣の肩を押すみたいになっちゃうよ? 考えたことある? ノールは人にも妖獣にも優しいけど……、人か妖獣か選べるの!?」
寝たフリをしていたククーは、歯を食い縛った。
「ヘル……」
ノールは言葉を詰まらせる。
「ノール、今なら間に合う! 抵抗せず、ホウエン国にファイキャトスを渡すのよ!」
「ヘル?」
ノールははっきりと違和感を感じた。
その時、ククーの耳がビクッと動いた。
「ノール、不味いわ! 人の気配が近づいてる!!」
ククーが飛び起き、ノールに叫んだ。
「一人や二人じゃない! 数十はいる!! 機械音もする……。間違いなく、ホウエンからの追手よ!!」
「不味い! ウロタさん、起きて!」
ノールは慌ててウロタを起こす。
「ノール!!」
ヘルが非難するような声をあげる。しかし、ノールはそれを無視し、ククーの方を見る。
「このまま、銀の砂漠に逃げても大丈夫だと思う!?」
「妖獣は、人が嫌いだからね。間違いなく、砂漠の妖獣は奴らと戦ってくれるわ!」
「無関係なのに、巻き込むのか?」
「使えるものは、使わなきゃ! それに、あたし達も砂漠の妖獣に襲われる危険があるからね」
ノール達は、砂漠に向かって走り出した。




