12、森の秘密
ノール達は、ウロタの案内でリトナ大森林にすぐ辿り着いた。木々が生い茂り、昼間なのにとても暗い。
「それにしても、ククーはウロタさんには警戒しないんだね?」
ククーが威嚇もせず、ウロタに道案内をさせることを決めたことに、ノールは気になっていた。
「だって、あんたが、あたし達のために寄越したんでしょ?」
「うーん、そうらしいね。未来の僕らしいけど……」
「あんたが信頼してる奴なら、大丈夫よ」
ククーはつまらなさそうにサラリと言い、ノールは少し困った顔をした。
「そうだ! 道中長いですから、このウロタとノールさんの出会いを話しましょう!」
ウロタがいきなり振り返り、そう言い出した。
「いや、いいよ……」
「別に興味ないわ」
ノールとククーは、聞くと面倒臭いことになると思い、即座に断った。ウロタは少しショックを受けた顔をする。
「何で、そんなこと言うんッスか!? 話したいのに!」
「僕が、未来に起こることを知っているのは、マズイですよ。下手したら、僕とウロタさんが会うという事実がなくなってしまうかもしれません」
「そっ、それは困ります」
ウロタは残念そうだが頷いていた。
(まあ、気にはなるけどな……。一体、どうしたらここまで好かれたのか……)
「それより、青の森は時移動の獣と関係があるって聞いたのよ。何か知らない?」
「ああ! それで、これから向かうんッスね! でも、彼はいないと思うッスよ」
「……えっ」
ククーは立ち止まるが、ウロタは気にする様子はない。
「時移動の妖獣、トキスというんですが、トキスの出身が青の森というだけなんッス。遥か昔に、誰かを追って森を出たんッス」
「じゃあ、いないじゃないの! そもそも、この時代にいるかもわからないし……」
「トキスは、どの時にも、どの場所にもいるって言われてるッス」
「よくわからないわ」
「つまり、その時々必ずどこかに、未来や過去を行き来しているトキスはいるってことですね?」
「さすが、ノールさんは理解が早い!」
「いや、だからわかんないって」
ククーは不満そうに、尻尾で地面をバシバシ叩く。ノールは困った顔をした。
「とにかく、青の森にいないってわかってるのなら、これから向かうのなんて、無意味じゃない!」
「俺に言われても……。あんたが理由を言わずに、俺に青の森まで案内させたんだから……」
「ノール、戻りましょ?」
ククーはノールに同意を求めたが、ノールは何やら考え込んでいる。
「……ウロタさん。本当に、青の森には人が住んでるんですね?」
「はい」
「人と妖獣が共存してるんですね……」
「まあ、青の森の住人は、ただの人じゃありませんから……」
「ただの人じゃない?」
ノールの問いに、ウロタは一瞬躊躇うが、意を決した。
「……森の住人は、妖獣と同じく妖術を使えます」
「人が!?」
ノールとククーは目を見開く。
「それで大昔、妖獣と同じ扱いを受けて、森で暮らすようになった。今じゃ……あなた達の未来では、ほとんどの者が、森を出てしまったんッスけど……」
「人にも妖術が……。じゃあ、ウロタさんも?」
「……はい」
「へえ、面白そうじゃない! 見せてみてよ!」
ククーが面白そうに言うが、ウロタは険しい顔をして首を振った。
「駄目だ。人として生きていくことを決めた我々は、無闇に力を使わないことを決めたんだ」
その言葉を聞き、ククーの耳がピクリと動く。
「人として……ね。あたしには、考えられないわ」
ウロタは、森の奥を指差す。すると、指差す先が青く光り出した。
「この先に進めば、青の森に入ります。やめますか?」
「僕は、妖獣と共存している人に会ってみたい」
ノールは真っ直ぐ先を見つめる。ククーはため息をついた。
「あんたが行きたいならいいわよ」
ノール達は青の森に踏み入れた。




