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悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ 作者:壱弐参

第三章 ~成長編~

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066 ライアンの窮地?

「アズリー! な、なっ? 速いぞ! ばか速いぞ! もう少し、もう少しゆっくり走る事を――あ、グリーンベリーの樹だぞ! 野生であそこまで見事な型は中々ないぞ! う、美しいなアズリー! な、なっ?」
「マスター、ララちゃん植物を見かける度に目がハート型になってますよ?」
「知ってる。が、いちいち気にしてたら身が持たんだろう?」
「この速度、辛い辛いと言いながらもちゃっかり付いて来るのは本当見事ですね」

 あぁ、その才能が憎い。
 俺とポチは、リナたちに魔王復活の話をした後、ベイラネーアを出た。
 向かう先はそう、約四年前、ダンジョン暮らしから脱却し、初めて訪れた町。二年前、リナと一緒に旅立ちを決意した町……フォールタウン。
 昨日、久しぶりにライアンへ念話連絡の魔術を使ってみたが、反応がなかった。寝ているのかとも思ったが、色んな時間帯に連絡をしてもやはり連絡がつかない。
 こういった状況で考えられる事態は二つ。
 空間干渉の魔法の中にいるか、念話が障害になる程ライアンが弱っているかだ。
 前者の場合、フォールタウンが戦いの中にある可能性が高い。
 後者の場合、フォールタウンの一大事だ。あれ程のカリスマ性が失われるとフォールの統率はリードたちには困難だろう。
 いや、どちらの場合も一大事なんだがな。
 ベイラネーアに戻った時、元々フォールタウンには訪れる予定だったし、リードを念話で驚かせても……と思い、こうしてポチと一緒にフォールタウンへ走り始めたのだが……ツァルがな。

「「ほれララ、脚は一定の高さまで上げ、それを維持する事。ブラせばブラす程身体に負荷を与え筋肉の付き方も変わってくるぞ」」
「はい、お師匠様っ!」
「「ポチ殿の走り姿を参考にしなさい。野生特有のシャープなスライド。動物特有の悪路への対応。そして先を見つめるその視線。どれをとっても歴戦の勇士と言えよう」」
「はい、お師匠様っ! ばか可愛いです!」
「マスター! そろそろ私の事をマスターポチと呼んでも構わないんですよっ!?」

 後方のツァルの褒め言葉が聞こえたか、マスターポチは目を輝かせて尻尾をふりふりとしている。大したマスター様だ。
 ツァルはツァルで、今までララの胴に巻き付いて、ララの頭から左右に二つの顔を覗かせていたが、ベイラネーアで買ったのか、ララの背負うリュックから顔を覗かせるようになった。
 ツァルの言葉に、ララは二つ返事。ララの「可愛い」発言に、ポチは被り気味の反応。
 まったく、面白いパーティになったもんだ。

「む、前方八十! カッチンスライムの群れです! 数は……十! マスター、分裂発動型の限界数ギリギリです!」

 高経験値を持つ硬度モンスターか。もしかしたらこれで追い込みが完了するかもな。
 素早い動きをするモンスターだが、今の俺たちなら……!

「ほほい、スピードダウン・カウント10&リモートコントロール!」
「ほほーい! いんびじぶるいりゅうじょん!」
「わ、わ!? マスター! ララさんが消えちゃいましたよっ!?」
「凄いな、気象型魔法を操れるのかっ。水と風と雷を上手く利用した複合魔法だ。それに、カッチンスライムとの戦闘には確かに便利……なら俺もっ! ほほい、インビジブルイリュージョン!」
「「ほぉ、アズリー殿はこの魔法が使えるのか。素晴らしいな」」
「ポチ、姿が見えてるのを利用して側面から奴等を誘導してくれ!」
「アウッ!」

 カッチンスライムたちがポチを視認すると、器用な事に正面を向きながら後方へ逃げ始めた。
 ポチの追い込みにカッチンスライムたちは右へ左へと誘導され、一周回って姿を隠した俺たちの方へと向かって来た。

「あーすくらっち!」
「ファイアースタンプ・カウント5!」

 へぇ、土の囲いか。戦闘法は本当によく仕込まれているな。
 ララが放ったアースクラッチが、カッチンスライムたちを包み込む。
 そして俺の放った五つのファイアースタンプが、その囲いを砕きながらカッチンスライムたちに降り注いでいった。どうやら仕留めたようだな。
 と同時に、俺の脳内に長らく聞いていなかったファンファーレの音が響いた。
 よし!
 戦闘終了を確認すると、俺は鑑定眼鏡を発動させた。

 ――――――――――――――――――――
 アズリー
 LV:100
 HP:2900
 MP:34091
 EXP:9999999
 特殊:攻撃魔法《特》・補助魔法《特》・回復魔法《特》・精製《上》・剛力・剛体・疾風
 称号:悠久の愚者・偏りし者・仙人候補・大魔法士・錬金術師・杖豪・六法士(仮)・恩師・ランクA・首席・パパ・腑抜け・SS殺し・守護魔法兵(仮)・剛の者
 ――――――――――――――――――――

 よーしよし。
 ようやくレベルが100になった。いや、まだ(、、)レベルが100って事だよな。
 この壁を乗り越えなくちゃいけないんだが、これは現状出来る事じゃない。
 俺たちはもっと強くならなくちゃいけない。
 そう、あの筋肉賢者のように。

「おー、アズリーはばか強いなー!」
「ま、今回は俺だったけどな。次モンスターが出たらララだからな」
「おう、任せろー!」
「「アズリー殿、もっとこき使ってやって構わないぞ」」
「アズリー君、もっと私を甘やかしても構いませんよ!」
「何がアズリー君じゃ! それではしばらく(とど)めはララに任せても良いですか? 俺はどうやらレベル100になったみたいなので」
「「ほぉ、それはめでたい。ではララ、お言葉に甘えるとしよう」」
「たっくさん狩るどー! おー!」

 ハイペースで南下しているため、戦闘はほぼほぼ走りながら。
 モンスターの収集品も目立った物以外は放置という中々にタフな旅路だ。
 しかし、それを苦にしないパーティというのはありがたい。
 もう間もなく、六勇士のドラガンとその弟子エッグと出会ったイベリアルタウンだ。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「着いたどー!」
「「これララ、ベッドの上で跳ねるんじゃない」」
「着きましたー!」
「こら馬鹿犬! 足を拭かないうちにベッドに飛び込むんじゃない!」
「寝るどー!」
「「これララ、歯を磨かないと虫歯になるぞ」」
「お休みなさいマス――タ……ぐぅ」
「おい、はえーよ! おい、こらポチ! ……ったく、寝ちまったよ」
「「ふむ、こちらもだ。ではアズリー殿、好きな女子(おなご)の話しでもしようじゃないか」」

 ……何故そうなった?

「さぁ、明日も早いですからね。出来れば明後日にはフォールタウンに着きたいですから」
「「あのリナという娘、気立てが良くしっかりした子じゃないか? アズリー殿はどうお考えか?」」
「……ぐぅ」
「「この私に狸寝入りが通じると思っているのかね?」」

 まったく、大人なのか子供なのかわからない人だな、この人は。

「リナ……ですか。そうですねぇ。確かに仰る通りですけど、まだわからないですよね。二年ぶりに会ったのにあまり話せてませんし」
「「二年前から仲睦まじかったとベティー殿から伺ってるが?」」

 ベティーめ、余計なまねを。

「だからこそですよ。離れてしまった分、時間が経ってしまった分、人はわからなくなる。だからこうして――」
「「だからこうして距離を置いていると?」」
「……近づき過ぎないようにしてるだけです」
「「ふむ、アズリー殿の事が少しわかった気がするぞ。なに、リナという娘がダメだった場合はララをくれてやる。しっかりと励みたまえ」」
「どうしてそうなったか聞きませんが、ララを軽く扱っちゃダメだと思いますよ?」
「「む、それもそうだな。いや失礼した。忘れてくれ」」
「忘れます。では、おやすみなさい」
「「おやすみ」」
宣伝失礼します。
別作ではございますが、2015年11月14日(土)に、【転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士】第三巻の発売となります。
手にとって頂けたら幸いです。
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