270 決戦! 古代魔王との対峙
ポチ・パッド・ブレスで出来た大穴を横切り、俺たち四人は魔力が溢れる中枢へと向かった。
皆の精神的疲弊も気になるが、それは完全復活していない魔王にも言える事だ。
「ほほい! ストアルーム!」
俺がストアルームの中から取り出したのは、ポルコから貰った覚醒石。
「それは……賢者の石か!」
リーリアが驚いた様子で俺を見た。やはりエルフがこの呼び方をするようだ。だからトゥースもそう言ってたんだな。
俺はリーリアに向かってこくりと頷いてから設置型魔術陣を描き始めた。
「ほいのほい! 限界突破っ!」
限界突破の魔術陣中央に覚醒石を置くと、魔術起動の発光が始まった。
……よし、これで問題ないはずだ。
「皆さん。乗ってください。あれだけの戦場の後です。少なからずレベルの向上が見られるはずです」
三人は頷き、魔術陣に近付いた。
光が皆の周囲を回り、レベルアップが成されていく。
当然、俺にも……。
さて、最終確認だな。まずはジョルノから……どれどれ?
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ジョルノ
LV:255
HP:82791
MP:50710
EXP:651339032
特殊:補助魔法《上》・回復魔法《上》・剛力・剛体・金剛心・神速・浮身・高周波ブレイド・大地割り・一閃突き・ブレイブレイド
称号:鉄芯・風神・剛の者・剣神・竜殺し・聖戦士・国の英雄・使徒殺し・ソドムの星
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この二年、どれだけのモンスターを倒したかがひと目でわかるな。
最初会った時はジョルノもリーリアも総経験値が四億程だったはずだ。生まれてからそれまでの間で得た経験値。その半分を二年で得たと考えるならば、かなりの血を見ているはず。
それを顔に出さない所がジョルノらしいけどな。
国の英雄……か。これはおそらくあのバディンを倒した戦争の時に得たものだな。
ソドムの星は街のリーダーだったからだろうな。
それで……リーリアはどうなってるんだ?
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リーリア
LV:256
HP:92886
MP:30993
EXP:660921703
特殊:補助魔法《特》・金剛力・金剛体・金剛心・疾風・軽身・大地割り・スマッシュスラッシュ・エアリアルダンサー・魔断ち一閃
称号:鉄芯・疾き者・金剛の身体・剣神・竜殺し・聖戦士・天獣を従えし者・国の英雄・使徒殺し・凶鬼
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基本的にはジョルノと変わらないが、その性格からかジョルノよりレベルが高くなっている。
凶鬼ってのは一体…………いや、あれだけ血を被ればそうなってしまうのかもしれないな。
ふむ? 前から薄々気付いてはいたが、剛力、剛体の特殊技能を覚えると「剛の者」が称号に現れ、疾風と軽身を覚えると「疾き者」が称号に現れるようだな。
それを超えた金剛力、金剛体を覚えれば、金剛の身体の称号が付くのか。
ジョルノの場合は神速と浮身を覚えて風神が出現している。
やはり、特殊技能から得られる称号もあるんだな。
ふむ、確かポチも風神の称号があったはずだが……はて?
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ポチ
LV:252
HP:72091
MP:28044
EXP:595028921
特殊:ブレス《極》・エアクロウ・巨大化・神速・剛力・浮身・剛体・攻撃魔法《上》・補助魔法《上》・回復魔法《上》・吸魔・剛心
称号:最上級使い魔・極めし者・大番鳥・上級魔法士・要耳栓・名付け親・菓子好き・愚者を育てし者・風神・剛の者・古代種殺し・お菓子(仮)・紫死鳥・聖戦士の使い魔・SS殺し・天獣の母・種族エラー・鉄芯・使い魔杯覇者・国の英雄(雌)・竜殺し・牛(仮)・二天に見初められし者・ポッチー仮面
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やっぱりそうだな。覚えた順番からしてこの出現の法則は間違いなさそうだ。
使い魔杯覇者は、ポチにとってかなり良称号となっている事だろう。
国の英雄の表記にポチの執念が感じられるのは気のせいか?
竜殺し……は、おそらくドリニウム鉱石を取りに行った時のヒュドラを退治した時のものだろう。
それまでに竜族モンスターは何度か倒したはずだが、それでも得られなかったところを考えると、高レベルの竜族モンスターが対象なのか、それとも、自分と竜族モンスターとのレベル差が影響しているのかもしれない。
牛……にしたのは俺だな。これはポチに黙っておこう。
二天に……って、もしかして赤帝牛と灰虎の事だろうか?
そう考えると、正義の味方、ポッチー仮面の生涯は、可哀想な運命なのかもしれないな。
さて、反射魔法を眼鏡に…………っと。
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アズリー
LV:252
HP:63121
MP:392207
EXP:582201012
特殊:攻撃魔法《極》・補助魔法《極》・回復魔法《極》・精製《特》・金剛力・金剛体・疾風・軽身・金剛心
称号:悠久の愚者・仙人候補・極大魔法士・特級錬金術師・杖神・六法士(仮)・恩師・ランクS・首席・パパ・SS殺し・守護魔法兵(仮)・疾き者・古代種殺し・魔王(仮)・千の魔を知る者・聖戦士・天獣の父・覇者の主・国の英雄・鉄芯・金剛の身体・聖帝の父(仮)・探偵・使徒殺し・空を歩きし者・竜殺し・夢を掴みし者・復讐者・三天の頂・神童の指導者・三魔の死神
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ポチと協力して、可能な限りレベルを上げたが、ようやくジョルノたちとのレベル差を気にしなくてよくなったな。
それだけ俺とポチも駆け抜けてきたって事だな。
ふむ、特殊技能については、魔法が全て極化している部分以外は特に変わってないか。
…………称号がかなり増えている気がするな? 何でこんなに?
大魔法士の称号に変化が……極大魔法士か。帰ったら皆に自慢しよう。……帰れたらな。
杖神……杖の扱いも上手くなったって事か。
覇者の主はポチの功績だな。いつか褒めてやろう。
鉄芯は金剛心からだな。ジョルノとリーリアを見てもそうだ。
金剛の身体はいいんだが、何故聖帝の父になっているんだ、俺は。レオンの感情の問題なのか? 今となっては調べる方法がないな。
探偵は……アダムス家やフルブライド家の問題を解決したからか。後半は力技だったような気もするが、まぁ悪い称号ではないだろう。
使徒殺しに関してもソドムに移ってからは何度か戦ったし、付いてもおかしくはない。まぁそんな中ポチは一回も使徒を倒してないんだよな、確か。
空を歩きし者……ね。魔力の踏み台でそこまで持ち上げられるとは思わなかったぞ?
ヒュドラの竜殺しが俺にも付いている。ポチと近いレベルだし、ここは一緒か。
ドリニウム鉱石の一件でこの夢を掴みし者……か。確かに難度の高い冒険ではあったし、そういう事なのか。
……復讐者ってもしかして時代を超えて紫死鳥に勝ったからか? いや、でも、この時期ならそれしか考えられないな。
三天の頂。ついさっきの事だが、あれは本当にきつかった。そう思うと、称号はやはり一部を除き、冒険した者に与えられるモノなのかもしれないな。
神童の指導者って弟子二人のブライトとフェリスの事だろうか? 確かにあの二人はそう呼んでも差し支えない。贔屓目無しで弟子の中では最高戦力だろうしな。
何で直前の戦闘でここまで恐ろしい称号が付くんだ? 三魔の死神とか絶対におかしい。
今度神の使いが現れたら文句を言ってやろう。確定事項だ。
「全員終わったみたいだな」
リーリアの言葉に全員が頷く。
覚醒石をしまい、魔術陣を消していると、いつの間にかポチは、俺の手元の近くにちょこんと腰を下ろしていた。
古代という時の中で、俺たちは精一杯生きて来た。
研鑽せよ……その言葉は守ったつもりだ。
今出来る事をやるしかない。その言葉通りにやってきたつもりだ。
だから今度も、今出来る事をやるしかないんだ……!
俺はポチの頭をひと撫でし、最後の準備にかかった。
「ほいのほい! オールアップ・カウント4&リモートコントロール!」
「ん、ありがとうポーアさん」
「身体を引き裂きそうな程の魔力だ。もう間もなく……か」
リーリアが緊張感を露わにしている。
それだけの魔力の中にいる事は確かだ。
「な、なんか空が歪んでるような気がするんですけど、私の見間違いですかね? ははは」
「見間違いじゃねぇよシロ。血みたいにどす黒い……恐ろしい程の魔力」
気象すら歪めてしまう魔王ルシファーってのは一体?
「あれはっ!」
ジョルノが大きな声で俺たちの視線を誘導する。
その先に見えたのは、青白く走る雷光のような光。
無数の青光が一点に集中し、そして弾けている。
周囲にあるのは、俺のポチ・パッド・ブレスを発動した後のような大きな穴。
その中心の宙に浮かび蠢く闇の渦。悪魔一人が入りそうな球体の表面を、いくつかの闇の雲が緩やかに動いている。
「この大穴は…………魔王が復活した時の影響……か」
リーリアは巨大な球体で掘り起こされたような穴を見下ろす。
斜面もそれ程急じゃないし、降りられそうだが、あの闇の球体の中身が魔王だとすれば、迂闊に降りては危険。
「だよね~」
俺の危惧を顔から察したのか、ジョルノが剣を抜いてそう呟いた。
無論、それはリーリアも同じだった。
ポチですら、巨大化したのだ。
その危険度は誰にでも平等に感じられたという事か。
おそらくアレは魔王の衣。あの中に魔王がいると見て間違いないだろう。
「「はぁっ!」」
全員が発動した自己能力上昇の特殊技能。
俺もギヴィンマジックを設置しつつ、
「ほいのほいのほい――! 皆さん! 初っ端から飛ばしますよ!」
「「当然!」」
俺の合図に全員が全身に魔力を込め始める。
「神の名の下に裁かん。我が心、我が技、我が力、そして我が命の宿命の一太刀! 魔断ち一閃!!」
「ブレイブレイド!!」
「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「まずはあの衣をはぎ取る! ポチ・パッド・レーザー!!」
顔すら見えぬ魔王への初撃。
俺たちは直後に衣が音を立てて割れる音を聞く。




