↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ  作者: 壱弐参
第八章 ~聖戦士編・後編~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

274/497

271 魔の王

2017/12/20 本日一話目の投稿です。昨日更新出来なかったので、本日もう一話更新予定です。

 遠隔化した攻撃ではあるが、これを受けても尚あの闇の球体がそのままなら、かなり厄介な相手だ。さて……どうだ?

 リーリアの魔断ち一閃。

 ジョルノのブレイブレイド。

 ポチの極(きわみ)ブレス。

 そして俺の――――


「――――ちょっと! ポチ・パッド・レーザーって何ですかマスター!?」

「一点集中型の水魔法だよ!」

「私の極(きわみ)レーザーのアイディア盗んだんでしょう!?」

「参考にしたんだよ!」


 まったく、何故ポチはこんな時でも俺に突っかかってこられるのだろう?

 飼い主の顔が見てみたいものだ。

 ジョルノとリーリアの警戒は解かれる事はない。

 勿論、俺だって、ポチだってそうだ。いや、ポチはわからないか?

 いやいや、相手は魔王。警戒を解く方がおかしい。

 直後、俺たちは闇の球体の方から硝子が割れるような音を聞いた。

 砂が霧散し、やがて姿を現わす闇の球体。


「駄目か……」


 リーリアが下唇を噛む。


「いや〜? それとなーく効果はあったみたいだよ?」


 くいくいと人差し指を球体に向けるジョルノ。

 その指先を目で追ってみる。


「っ! 罅(ひび)が入ってます!?」


 ポチがそう叫ぶや否や、ジョルノが行動を起こした。


「はぁああああっ!」


 ブレイブレイドの連射。

 微調整の難しい勇者専用ともいえる特殊技能を三、四、五連射か。ただでさえ縦横無尽に放たれる十二の連撃だ。ともなると、あの球体には六十にも及ぶ斬撃が飛ばされているはずだ。しかもそれを一箇所に集中させている。

 驚異的な練度だ。

 俺とリーリア、そしてポチは、ジョルノの気迫に呑まれ、次の行動が遅れてしまった。


「っ! ポチ・パッド・ボム!」

「ンキャアアアアアアアアアアアアッ!」


 ポチも極(きわみ)レーザーを放ち、リーリアは…………走った!?

 直接攻撃を叩き込む気か!

 相変わらず強引だな!

 俺たちは、闇の球体に向かうリーリアの身体に遠隔攻撃が当たるのを避けるように散開し、第二陣の攻撃の止(とど)めを待った。


「はぁっ! 大地割り!」


 耳を劈(つんざ)くような高く、しかし鈍い音。

 本来であれば、文字通り大地すら割る程の威力。

 集約した攻撃があれだけ強固な存在に当たるとなれば、この重厚な音も納得だ。


「よし!」


 最初に気付いたのは直接攻撃を放ったリーリアだった。


「あっ!」


 二番目は俺。

 球体の上部に大きな罅(ひび)。いや、割れた!


「はぁあああああっ!」


 中には深淵しか広がっていないような気味の悪い空間が見える。

 しかし、リーリアは構う事なく、直接攻撃を叩きつけていた。

 反対側からもジョルノが飛びかかっていた。

 流石勇者。リーリアの動きに合わせて――――


「「――――ぐっ!? は…………」」


 俺の目が捉えたのは、ジョルノとリーリアの背中に一つずつ、何かが生えてるような…………っ!

 直後、視界に広がる血液。

 あれは――腕!?


「「……っ! だぁ!」」


 ジョルノとリーリアは一瞬見合って互いに互いの蹴り足を蹴ったのだ。

 魔王の腕が抜ける。

 蹴った反動によって、二人の身体は宙を舞った。


「くそっ! シロ! ジョルノを頼む!」

「お任せを!」


 この時俺とポチは、死地に飛び込む覚悟だった。

 ジョルノとリーリアが、防御すら出来ずに致命傷を負ったんだ。魔王の戦力は計り知れない。

 だが、俺とポチは動かない訳にはいかなかった。

 早くしないと…………二人の命が消える!

 そう思ったからこそ俺の行動は早かった。

 大地に落ちる前にリーリアを抱え、同時に究極限界(アルティリミット)発動。


「ハイキュアーアジャスト! リーリア! リーリア! 頑張れ! 死ぬな!」

「マスター!」

「ハイキュアーアジャスト! ジョルノ! くそっ! 息をしろ!」


 しかし、ジョルノの口からは息が抜けるような音しか聞こえてこない。


「聖生結界!」


 究極限界(アルティリミット)状態だからこそ宙図(ちゅうず)は必要ないが、これだけ迅速に回復対処をしても間に合うかどうか……!


「ッ! ガァアアアアアアアッ!!」


 俺の隣でポチが巨大化し、奴に向かって極(きわみ)ブレスを放射していた。


「ふ……ドリニウム……鉱の、鎧も…………形無しだな…………かっふっ!」

「馬鹿野郎! 喋るなリーリア!」


 リーリアは何とか回復しそうだが…………ジョルノ!

 そうだ! ジョルノの腹部の穴を魔力で騙せば……どうだ!?


「ぐふっ……すー…………」

「よし! 呼吸は戻った!」


 俺は二人を抱え、時間を稼いでるポチを横目に安全な場所へ移動しようとした。

 だが、まるで耳元で囁かれたかのような声が届く。


「ほぉ、人の身でそこまで魔に通ずる者も珍しい……」

「っっっ!?!?」


 思わず跳び退いた俺だったが、ポチは未だ極(きわみ)ブレスを吐き続けていた。

 このままじゃポチが危険っ!


「シロ! 離れるんだ!」

「ンガァアアアアアアアアアッ!!」


 だが、ポチは攻撃をやめなかった。

 馬鹿、何をしてるんだ!

 俺は二人を下ろし、聖生結界を張った。そしてすぐにポチの下へ一足飛びした。


「っ!?」


 ポチがブレスを吐きながら後退している。

 まるで、見えない圧力に押されているようだ。


「この者も、獣にしては芳醇な魔を宿している……」


 次の瞬間、闇の球体は禍々しい漆黒のオーラを発しながら、静かに縦に大きく罅(ひび)割れた。

 やがて、ポチのブレスが止む。自発的に止めた?

 いや、ポチのあの様子……疲労感? っ、違う!


「離れろポチ(、、)! 吸魔だ!」


 だが、ポチは全く動かなかった。蛇に睨まれた蛙……そんな印象を受けた。


「それは困るのだよ……」


 深く、透き通った声。悪魔とは思えないような……しかし、悪寒を感じずにはいられない。

 そして、闇の球体が、崩れるように二つに割れ落ちる。


「くそっ!」


 俺はポチの尻尾を掴み、強引に振り飛ばした。


「ぎゃん!?」

「謝らないからな!」


 ポチはジョルノたちの方へやった……が、ここにいると危険。と、また跳び退こうとしたら、後方から強い魔力を感じた。

 っ! これは!? 俺が以前紫死鳥に使った魔力の意識誘導!? だが、俺よりずっと強力だ……っ――――


「――――ぬぅううううおおおおおおおっ!!」


 強引に跳び退き、そのプレッシャーを回避すると、球体があった方から、小さな笑い声が……ほんの一瞬だけ聞こえた。

 割れた球体からは闇のオーラで纏われた歪んだ存在が現れた。


「なるほど、そなたが唯一この場に立てる者か。部下に欲しいくらいだ……」


 やはりこれが魔王……!


「ふむ、もはやこれは不要だな……っ!」


 魔王のその声を聞いた後、闇のオーラは一瞬にして消え去った。

 そして現れたのが……――――


「――――余はルシファー。全ての魔を統べる存在である」


 これで…………、


「余を前に尚も動ける事、称賛に値する。褒美だ。そなたの名を聞こう?」


 これで……、


「ん? 余の声が届いてない訳ではあるまい?」


 これで、完全じゃないのか!?


「ポ、ポーアだ!」

「ん~? んーんー…………ふむ? 違うな。余はそなたの真名(まな)を聞いているのだ。わかるな?」


 気付いている。……偽名である事を。

 未来から来たという事は気付かれてはいないと思うが……バディンも言っていた。悪魔は皆特殊な目を持っていると……!


「……アズリーだ」


 俺が名乗ると、ルシファーは不気味な笑みを浮かべた。

 筋肉質な黒い身体は他の悪魔と変わらない。だが、瞳は青白く、短いながらも金の髪を靡かせている。

 あれ…………この雰囲気どこかで……?


「アズリー……なるほど、そなたがあの神の犬か」

「犬ならそっちの方でノビてるよ」

「あれはそなたの使い魔か。ふむ、あれも色濃い血を持っている。これは……そなたの力か?」


 天獣への種族改変についてもわかるのか。

 だが、それにしても…………!


「類稀なるその魔力。そなた本当に人か? いや、ふむ、おそらく人なのだろう」


 こんな魔力……立っているのがやっとだぞ!?


「部下たちの仇、などとは言わぬ。その力、余に見せてみよ……!」


 ハハハハ……俺、今日死ぬかもしれないな。

「悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ」ノベルの1~7巻・コミックス1巻発売中。


『がけっぷち冒険者の魔王体験』、宜しくお願い致します。

⇒https://ncode.syosetu.com/n7920ei/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。