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悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ  作者: 壱弐参
第六章 ~聖戦士編・前編~

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177 様子見

「ブライト様、討伐じゃなくて様子見ですよ。様子見」


 俺の言葉を思い出すようにしてハッとしたブライト少年は、照れ隠しに頬をカリカリとかいた。

 爺さんに見事と言われはしたが、実際問題大してレベルは上がらなかった。


 ――――――――――――――――――――

 アズリー

 LV:168

 HP:17225

 MP:130634

 EXP:163194500

 特殊:攻撃魔法《特》・補助魔法《特》・回復魔法《特》・精製《特》・剛力・剛体・疾風・軽身・剛心

 称号:悠久の愚者・偏りし者・仙人候補・大魔法士・特級錬金術師・杖聖・六法士(仮)・恩師・ランクS・首席・パパ・腑抜け・SS殺し・守護魔法兵(仮)・剛の者・(はや)き者・使い魔以下・古代種殺し・魔王(仮)・マッド・禁忌を犯せし者・千の魔を知る者(サウザンドマジシャン)・聖戦士(仮)

 ――――――――――――――――――――

 ポチ

 LV:169

 HP:32831

 MP:13702

 EXP:176022409

 特殊:ブレス《極》・エアクロウ・巨大化・神速・剛力・浮身・軽身・剛体・攻撃魔法《中》・補助魔法《中》・回復魔法《中》・吸魔・剛心

 称号:最上級使い魔・極めし者・番鳥・中級魔法士・要耳栓・名付け親・菓子好き・愚者を育てし者・風神・剛の者・古代種殺し・お菓子(仮)・紫死鳥・聖戦士の使い魔(仮)

 ――――――――――――――――――――


 俺の予想では軽くジョルノたちに追いつけるだろうと思っていたが、そんな事はなかった。

 あの二人の総経験値量は四億を超えていた。確かレベルも二百と二百一。

 ここからレベルを上げるとなると、相当な数のモンスターを討伐しなくちゃならないだろう。

 上がりにくくなるレベル帯に突入したという事だろう。

 俺とポチのレベルの差が一になったのが何よりの証拠だ。

 だが悪い事ばかりじゃない。優秀な称号が付いたんだ。

 俺は二つ、ポチは一つだ。

 ようやく歯車が回り始めたと言ったところか。別に回らなくてもいいのに。

 いつまでも止まっていてくれれば、俺もポチものんびり暮らせるんだがな。


「ほい、レオール。行くぞー」

「あーぅ?」

「そうそう、お出掛けだ」


 肩から腹部に回したベビーキャリアにレオンを入れる。

 ポチの体毛を中綿に使った贅沢仕様である。

 二人で針作業をする日がくるとは思っていなかったが、夜なべして仕上がった時は感動して抱き合ったものだ。


「はーいチャッピー、おうちに入ってくださーい」


 ポチの頭の上に付けられた小さな鳥小屋にチャッピーが入る。

 当然中にはポチの体毛を利用して作った敷物が敷いてある。

 巨大化してから切り離された体毛が元の大きさに戻らないと判明したのは大発見だと思った。

 俺たちの準備に目を丸くさせているブライト少年。

 何をそんなに驚いているのだろうか?


「どうしたんですか、ブライト様」

「もしかして……レオールとチャッピーを連れて行くのですか?」

「それはまぁ……なぁ?」

「置いてなんかいったら謝罪に一日、あやすのに一日、機嫌を直してもらうのに一日かかりますからね!」


 チャッピーはともかく、本当はポルコにレオンを任せたいんだ。

 だがレオンは、ポルコはおろか、屋敷の誰にも懐かなかったのだ。

 俺とポチを除いてな。

 何故だか理由はわからないが、俺たちの近くでのみ、レオンは落ち着いた顔をする。

 赤ん坊ってのは、ホントわからないもんだな。

 あれ以来、「レオンの面倒を少しだけみる」というポルコとの約束はなくなり、完全に俺たちで面倒みる事になってしまった。

 こんな事をして現聖帝に怒られるんじゃないか? どこかのアダムス家の当主は。


 外に出て巨大化したポチに跨ると、ブライト少年が俺の後ろに乗る。

 二人乗り禁止が、いつの間にか四人乗りになってるが、ポチはもう気にしていない様子だ。

 いや、やはり慣れてない人間に対してはダメなんだろうけどな。

 フェリス嬢も行きたがったが、当然ポルコがこれを止めた。

 ブライト少年が炎龍の山へ行く事が出来る理由は簡単だった。


「さぁ行くぞ、ポーア殿」


 腰に携えている剣の柄に手を置き、背中越しにそう言ったジュン。

 そう、保護者の同伴だ。

 ジュンはあの翌日再びアダムス家に現れ、驚いたポルコに謝罪と経緯の説明をした。

 ポルコに聞かれた空間転移魔法の秘密。当然断ったが、珍しく興奮していたポルコには驚いた。

 確かにこの時代にあの魔法があれば相当な利益や対抗策になる。

 ポルコにならば協力してもいいのだが、時代の事を考えてしまうとそれが正解なのかがわからない。

 ふむ……俺だけが使い、各町と繋ぐというのも一つの手か。

 絶望の使徒に反応しない魔法式にすればおそらく。

 ……そっち方面からならば……今度ポルコに相談してみるか。


「えぇ、行きましょうジュン様。ブライト様、魔力で防護しますがしっかりと摑まっててくださいね」

「はい、先生!」


 俺の腰に手を回し、力を込めるブライト少年。

 ……お、結構腕力もついてきたな。そろそろ愛の筋トレ劇場にご招待か?

 あぁ、いや。先にアイリーンが使ってる魔力循環の法を教えないとダメか。

 俺なりに改良して体形は維持しながらもちゃんと成長出来るようになってるしな。

 流石にこんな穏やかで整った顔立ちしているのに、トゥースみたいな怪物になったらジュンは失神してしまうだろうからな。


「よしシロ、しっかり頼むぞ!」

「アオーンッ!」

「あーぅうううっ!」

「ぴよっ!」


 何なんだこのパーティーは?


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 流石ジュン。

 ポチの脚力に合わせ、並走しながら火口まで付いて来た。

 魔力で覆った三人もポチの速度を楽しんでいるようだった。

 調子に乗ったポチは宙返りなんてし始めたしな。

 まぁ途中でジュンはポチに張り合うようにしていた。

 華麗な跳び技を見せ、ブライト少年に褒めてもらうためだったようだが、気付かれずにとても残念そうにしていた。


「見えるか? ポーア殿」


 火口を見下ろすようにジュンが言う。


「いえ、煙で……しかしやはり底の方で強力な魔力を感じますっ」

「確かに。ポーア殿の言った通りだったな」

「それで先生、この後どうするのですか?」


 ポチから降りたブライト少年が見上げるように言う。


「ですから様子見だと言ったでしょう? 何もしませんよ。下手に火口に手を出すと、噴火しかねませんからね」

「そうだブライト。あくまで見学だという事を忘れてはいけない」


 そもそも見学じゃなく討伐だとしたらジュンが同行を許すはずがないからな。


「まぁそれでも、罠くらいは張らせてもらいますけど」

「君が言っていた策というのはその事だったのか」

「ほいのほいのほい! 聖十結界!」


 魔力で現れた魔術式を拡大させ、火口全体に網を張るようにかぶせる。

 ……よし。

 これで獄龍が生まれた瞬間、時間を稼ぐ事が出来るだろう。

 これを俺が知覚できるようにすれば――っ!?

 次の魔法に入ろうと思った時、上空から強い魔力を感じた。

 だが、誰よりも早く気づいたのはポチだった。


「上空より炎龍が接近してます!」

「生き残りって事か!」


 小石程の大きさの影が二つ見える。

 という事は二頭いるという事。風音と共に徐々に影を大きくしてゆく。

 しかし次の瞬間、片方から感じた魔力が途絶えた。


「……ふぅ」


 その理由は、ジュンにあった。

 ジュンが一息吐く前に、片方の炎龍の首を……何かしらの攻撃で消し飛ばした。

 澄ました顔でとんでもないな、この人。


「そういえば君が戦うところは初めて見るな?」


 ジュンが俺を見て言った。

 そう言われてみると確かにそうだな。

 魔法指導をしてるところを見られたりはしたが、ジュンの前で戦うのは初めてだな。

 炎龍とのアレも戦闘後だったしな。

 唯一の仲間が瞬時に命を絶たれた事に気付いた残る一頭は、一瞬宙で止まった。

 地に落ちていく仲間を見送るように見た後、最後の炎龍は、慟哭のような鳴き声を響かせる。

 そしてそれが怒りに変わるのも時間の問題だった。

 こうなっては自分の命可愛さに逃げる……という選択肢は、あの炎龍には最早ないだろう。

 ポチはと言うと、俺の懐から勝手に取り出したでんでん太鼓を、頭の上にいるチャッピーに向かって鳴らしている。

 ジュンの戦闘力を肌で感じて自分に危険がないと判断したのか。何てお気楽なヤツだ。

 さて、とりあえずこの魔術陣が起動した時の知覚が可能な魔法式を早いとこ設置したいし……ちゃっちゃと片付けるか。


「あの!」


 そう思った矢先だった。


「先生! 僕にやらせてはもらえませんかっ!」


 聖戦士(仮)の生徒が炎龍退治に名乗りを上げたのは。

炎龍の経験値=平均12500

※ランクAの経験値=5000~10000ですが、炎龍はアズリーが言ってた例外種のうちの一種です。


12500×100倍経験値×約100頭(ポチと分けるので予め割ってます)=1億2500万


今回二人には、1億2500万+@=1億3000万を割り振ってます。

※経験値のばらつき等を考慮、作者自身わかりやすくするため。


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