7 冬から春へ、そして結ばれる物語
父の容体は劇的に回復し、家には再び日常が戻ってきた。けれど、その日常は以前とはまったく違う色を帯びていた。
「弥生ちゃん、今日はお父さんの退院祝いに、みんなで手巻き寿司にしましょうか」
キッチンから由依さんが声をかける。弥生はもう、その声にビクつくことはなかった。
「いいですね、由依さん。私、お刺身の買い出し手伝います」
自然に返せる言葉。以前は喉に刺さる棘のようだった由依さんの優しさが、今は冷えた心を温める毛布のように心地よい。
お母さんという存在を上書きするのではなく、新しい「大切な人」が隣に増えたのだと、弥生はやっと自分を許すことができた。
(……如月弥生。冬のようなお前の心にも、ようやく春が来たな)
頭の中に響くホーシの声に、弥生はふっと微笑んだ。けれどその声は、どこか遠く、透き通るような響きを帯びていた。
夕暮れの河原。あの日、二人が出会った場所で、本来の少年の姿になったホーシは銀色の飛行船の前に立っていた。
「帰っちゃうんだね、ホーシ」
弥生は、胸の奥がちりりと痛むのを感じた。孤独だった自分を救い、由依さんと向き合う勇気をくれたのは、間違いなくこの不器用な星の王子様だった。
「魔法は解けた。俺は自分の星に戻って、伝えるべきことがあるんだ。……『違い』を恐れる必要はない、心を開けば世界はこんなに温かいんだってことをな」
ホーシは弥生の前に歩み寄り、彼女の手に小さなラピスラズリのレンズを握らせた。
「これはお前に持っていてほしい。お前が自分を信じられなくなったとき、これを覗け。そこには、修行を乗り越えて輝き始めた、お前自身の魂が映るはずだ」
弥生はレンズをぎゅっと握りしめた。溢れそうになる涙を堪え、前を向く。
「ありがとう、ホーシ。あなたに会えて、私、自分のことが少しだけ好きになれたよ」
ホーシは一瞬、照れたように視線を逸らしたが、すぐに真っ直ぐ弥生を見つめ返した。
「当たり前だ。俺がドキッとした女の子なんだからな。自信を持て」
飛行船が天の川の彼方へと消えていく。その光を見送りながら、弥生は大きく深呼吸をした。
家に戻ると、玄関の明かりが温かく漏れていた。ドアを開ければ、そこには父がいて、由依さんがいる。
「ただいま!」
その声は、夜の空気に凛と響いた。
弥生は、ホーシがいた制服のポケットにそっと手を触れる。そこにはもう、小さな体はない。けれど、彼と一緒に過ごした記憶が、そして彼が残してくれた勇気が、確かな温かさとなって弥生の歩みを支えていた。
如月弥生、冬から春へ。
彼女の物語は、ここから新しく、光に満ちたページを刻み始める。
読んでいただきありがとうございます。
草稿を入力してAIが書きました。
弥生のわだかまりが解け、継母の由依との関係が良くなりました。そして、ホーシは打ち出の小槌で身体が大きくなって、弥生の元を去りましたが。
この物語をどう思いましたか?




