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ヴォイドの呼び声Ⅰ虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


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周囲を眺めているマーラの元へ向かう。

「買い物は終わった?」

「ああ」

「おい! そこのお2人さん。ちょっと見てくれ」

マーラと目を合わせた後、呼ぶ男の元に立ち寄る。

紫のフード、ローブを着た人間の男と赤いローブを着た兎の獣人の女。そして青いローブを身に着け、茶色い髭を生やしたドワーフの男。

各々杖と短剣を装備している。

ドワーフの男が人間の男を指差す「こいつの魔法を見てどう思う?」

「上手く変性魔法を扱えていると思うが」

「ほら言っただろ~! 上達したんだよ」

「マジかよ。てっきり錬金しか才能がないと思ってたのに」

「凄いじゃない!」

「まっ、実力だな♪」

人差し指で鼻を横に掻く人間の男。

「ここのアークメイジに会うにはどうすればいい?」

ドワーフが上を見上げる。

「塔のてっぺんさ。あんたももしかして、例の件でネロに会いに来たのか?」

「そんなところだ」

「だったらその格好はやめた方がいいな。アンデッドならモンデッド払いさ。ハッハー! 行くんならその変性を解いた方がいい。最も、会えるかどうかは微妙なとこだが」

「感謝する」

3人の元を去る。

「ドゥール。今の奴は変性魔法なんて使っていなかったぞ」

「またかよ。少し魔法が上達したからって、調子に乗んな」

「また誰かに聞かなくちゃね」

「あいつなんてどうだ?」

「向こうの方がいいんじゃない?」

「2人とも少しは信用してくれよ」


ショーケース内に飾られている多くの杖を眺めているイエナの元へマーラと向かう。

「イエナ、行くぞ」

「はい。上へ行くんですか?」

「ああ」

イエナ、マーラと共に大きく緩やかな螺旋階段を上がる。

「新しい杖が欲しいかったのか?」

「いえ。どんなエンチャントが付与されているか気になっていたんです」

「分かるのか?」

「少しだけですが。エスティナに教わって、練習中です」

上階で待っていたジャスミンの元へ向かう。

「吸血鬼の気配はする?」

「ふむ。今のところしないな。だが闇の気配が強いのを感じる」

「良くない兆候よね」

「ああ」

奥の螺旋階段前の精霊ドワーフ2体がこちらの様子を伺っている。

「三階へは関係者以外行けないみたい。私が頑張ってみてもいいけど」

「いや、一緒にやろう」

「ok」

精霊ドワーフの前へジャスミンと共に行く。

「ねえ、私が誰か分かるでしょ? 通してくれない?」

精霊ドワーフ達は顔を合わせるが道を開けるつもりはないようだ。

「ネロが探していた物を見つけてきた。このまま帰ってもいいのか?」

精霊が道を開ける。

振り向き2人に合図を送る。

先へ進む。

「私いらなかったじゃん」

「いや、信憑性が増したさ」


三階には上階への階段がなく、代わりに外壁に沿うようにいくつものドアがあり、各々ドアの前には青い精霊が一体ずつドアを守るように塞いでいた。

「どのドアだと思う?」

「さあな、手前から二番目が、魔力が強い気がする」

「魔法陣の罠があるだけかも」

「かもな。逆の発想で行ってみるか?」

「良い案ね」


手前から四番目のドアへ向かう。

精霊の両目が青く光る。

「用件は?」

「アークメイジの依頼に関する、報告だ」

「……どうぞ」

精霊がドアの前から消える。

念動でドアを開けると、ドアの先には階段があるのみだった。階段を上がっていく。半分ほど上がり終え、折り返し反対の階段を上がる。

階段上のドアを開け、無事に四階へ着いた。

「正解だったみたいね」


塔全体は吹き抜けだが、四階は下層からの音が聞こえずとても静かだった

精巧な作りで拵えられたローブを着た者達が荘厳な緑の椅子に座り、静かに魔術書を読んでいた。

こちらに気付いた者達が驚いた様子で見てくる。

マーラが吹き抜けの上階を見上げ、溜め息をつく。

「飛んだ方が早いんじゃない?」

「壁に埋め込まれた白い球体が見えるか?」

見渡すマーラ。

「そんなの見えないけど」

「私は見えるわよ」

「そうなの?」

「あれは恐らく変性魔法を吸収する物だ」

「なにそれ怖。壊せないの?」

「高度な魔法だ。そう簡単には壊せないだろう。それに、今は騒ぎを起こしたくない」

消えぬ灯火同様、フェイの魔法か。ドワーフ達が簡単に扱える代物ではない筈だ。だが今のところ、フェイは見ていない。

「サプライズは好き♪」

「驚かせに行こう。あれだ」

向かう。

「転移装置?」

「恐らくは」

床上に円状に刻印された大きな文字が複数白く発光している。

「読めないわね。マーラは読める?」

「ンフフ、読めるわけないじゃん……でも遺跡で見た事のある字に似てる」

「これはフェイの文字だ」

「読めても驚かないけど、何て書いてあるの?」

「意味不明だ。おそらく何かの仕掛けだろう」

「教えて」

「中央は日。右は海。左は底。下部中央は森。右は穴。左は本」

「ホント意味不明ね」

「さてどうなるか」

魔法陣へ向かう。

「待って。1人ずつ乗るの?」

「別にここで待っていても構わない。それか、好きな奴に乗ってもいい」

「各々どこへ繋がっているの?」

「それは分からん。だがこれも冒険の醍醐味だろう?」

「忘れてるかもしれないから言っといてあげる。私とジャスミンはまだ死んでないの」

「好きにしろ」


底の転移装置を踏むと、円の周囲から半透明の白い光が出現し装置の周囲を包み込んでいく。

白い光が目の前から消えると、場所が変わっていた。

転移装置から降り、塔の最上部フロアから下を眺める。


フロアの正面ドアへ向かう。

転移装置が光りイエナが転移してくる。

「この転移は少し…気分が悪くなりますね」

「…………」

「このドアの先ですか?」

「恐らくな」

「2人を待ちます?」

「いいや、それより気を付けろよイエナ」

杖を構え両手で握り締めるイエナ「勿論です」


杖を取り出し触手をドアへ放つ。

障壁の破裂音と共に多重障壁らしき装置が腐り崩れ落ちる。

念動でドアを蹴破り中へ入る。


エンチャント台に向かって作業していた人物が驚いた様子で振り向き身構える。

エルフのように長身。だがドワーフのような顔立ちをした男「アンデッド!?」

「吸血鬼は何処だ(威圧)」

「ここへ来るべきじゃなかったなリッヂ」

男の手からサンダーボルトが放たれ、強烈な電撃が飛来する。側にいたイエナは転移の杖ですぐさま回避。

正面へ骨壁を放ち飛来するサンダーボルトを防ぐ。

「ギュゥゥゥゥ!!」

メトゥスが形成した骨壁を避け、高音の叫びと共にカースストリームを放ち、魔術師の男へ突進していく。

中央奥にある卓上の水晶へ杖の触手を放ち砕き潰す。

「ヤーヌスよ、導きたまえ!」

メトゥスのカースストリームに動じない魔術師の男は雷の檻を放ち、こちらとメトゥスの周囲に青い魔法陣が形成され始める。魔術師の男は立て続けに無数のラインが刻まれた双三角錐の体に回転するリングをまとった雷の精霊3体を呼び出し、呼び出された雷の精霊は分散しこちらへ猛進してくる。魔術師の男が転移を放ち後方へ下がると、青い半透明の蛇精霊を呼び出し始めた。

魔法陣が完全に結合する前に死の抱擁を放ち、魔法陣を吹き飛ばす。透かさず有翼を放ち後方へ退避。退避と共に魔術師の男へ骨の揺り籠を放ち魔術師の男を閉じ込める。

メトゥスは分子の再構成を放ち、体を縮ませ、魔法陣の隙間から抜け、再度元のサイズへ体を戻した。


転移後、守護の布陣、分身エレメンタルを放ち終えたイエナがアイスイエナに攻撃命令を出す。透かさず杖からディアーナの怒りを放ち、杖から放たれた緑の球体が地面に接触すると同時に、大きな植物の口と共に本体の口から蔓を触手のように伸ばすデススポアが姿を現す。


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