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ヴォイドの呼び声Ⅰ虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


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さ迷う霊魂の元へ戻る。


「エスティナ、石は見つかった?」

霊魂が石を拾うのをやめ、立ち上がってこちらを向く。

「エスティナ……。そう、私はエスティナ。思い出した。私はエスティナ、エスティナ! そうエスティナよ! あぁ……でも私は一体ここで何を……。それにあなたは誰?」


まだ自我を保っているのか。

宝石は積み上げた石の中にあるかもしれないな。

「エスティナ、この積み上げた石の中に探し物があるんじゃないか? だからどれだけ探しても見つからない」

「そう……。見つからない。見つからないのよ。どうして見つからないの? あなたは誰?」


積み上げられた石のオブジェクトを注意深く凝視し見渡す。

遠くのオブジェクトの1つに、感覚が共鳴する、緑に輝く小石が映る。

エスティナがアンデッドならば見つけられたのか。なぜアンデッドに見えるんだ。


積み上げられた石のオブジェクトへ向かう。オブジェクトの中にある輝く石を拾う。オブジェクトが形を崩し崩れ落ちた。


輝く石を凝視すると、目玉へと変化した。

エスティナの元へ戻る。

「お前が探していたのはこれだろ?」

「そう。いいえ。あぁ……分からないわ。一体あなたは誰?」

「目玉は幻惑で石に見えていた。あとはこの目玉を本に嵌め込むだけだ」

「そうなの? それであなたは誰?」

「ただのリッヂだ。元の領域は恐らく酷く時が流れている。お前の知る時代はもうないだろう」

「そうね……」

「ここから出してやる」

「別にいいわ」

だがエスティナは宙を見つめたまま静かに涙を流し、追従してくる。


メトゥス、ロレンツォの元へ向かう。

戻る道中、上を見上げると、靄は相変わらずこちらを見つめたままだった。だが静かに穴が動いている。まるでこちらの動きを追っているようだ。

メトゥスは指示通りロレンツォを覆い続けていた。

メトゥスが時折、目玉からネクロファイアを放ち、小石の生き物達を追い払っていた。

多少は魔法の影響が防げていればいいが。


「メトゥス」

「キュル!」

メトゥスが伸ばした触手を全て体に収めていく。

うつ伏せのまま微動だにしないロレンツォ。

「ロレンツォ、戻ったぞ。平気か?」

「うっ!」

手をつきすぐさま立ち上がるロレンツォ「このままここで朽ちていくかと思った」泣き声で感じていた恐怖訴えかけてくるロレンツォ。両手で服に着いた汚れを払っている「その本でこの忌々しい場所から抜けられるのか?」ロレンツォは険しい表情でこちらを見た後、上方も靄を怯えるように見つめる。

「出られる確証はないが、試す価値は高い」表に描かれた羊の右目に石を嵌め込む。すると右目が緑に光り出し、青白く輝く転移門が鏡のように宙に現れた。転移門はロレンツォの書斎を写し出している

「メトゥス、先に行け。お前達も続くんだ」ロレンツォは急ぎメトゥスより先に領域ゲートを抜けていった。エスティナは落ち着いた様子でゆっくりと転移門へ入っていく。


振り返り上方にある靄を見ると、靄の2つ穴は細くなり、まるでこちらを睨み付けているようだった。そのまま静かにじっとこちらを見つめ続けてくる。

靄から視線を離そうとした時、下部にもう1つ穴ができ、何か喋ったかのように見えた。


インキピット…。


前を向き転移門に入る。

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