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ヴォイドの呼び声Ⅰ虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


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左側の種族型アイスエレメンタルと対峙するデュラハンだが、種族型アイスエレメンタルがアイスシャードを次々とデュラハンに被弾していく。

「フン!」力を込め、デュラハンの死角を取っている2体の種族型アイスエレメンタルを念動で掴む。こちらに気付いた種族型アイスエレメンタルがアイスシャードを次々放ってくる。アイスシャードが魔法障壁に衝突し消滅していく「ヌアァァ!」力を強め、拳を握りしめ、2体の種族型アイスエレメンタルを握り潰す「ハァ、ハァ」


デュラハンが前方のアイスシャードを盾で受け止めていき、デュラハンが構えていた盾に刻印されていた瞳が開き、盾が赤く輝いた。

デュラハンは盾に貯まったエネルギーを放出し、デュラハンの前方に赤い濁流が筒状に突き抜けていった。盾のエネルギー放出を受けた種族型アイスエレメンタルは跡形もなく融解していった。


左右の座席どちらからも、再び種族型アイスエレメンタルが形成されていき、次々と戦いに加わってきていた。

キリがないな。


バジリスクの体についた炎は消え、代わりに小型のアイスシャードがいくつも突き刺さっていた。

バジリスクが大きな口を開け、種族型アイスエレメンタルをバリバリと音を立て噛み砕き食していっていた。

アリゲーターもバジリスクと同様にアイスシャードが体のあちこちに突き刺さったまま戦っていた。

攻撃を受けているが怯んでいる様子はない。

アリゲーターは種族型アイスエレメンタルを両手で各々掴み、体を回転させ、周囲の種族型アイスエレメンタルに衝突させ怯ませ、掴んでいた種族型アイスエレメンタルを遠くの壁へと勢いよく放り投げていく。

放り投げられた種族型アイスエレメンタルは上部の壁にめり込み、突き刺さっていく。


死の炎に包まれたデュラハンがオーバーヒートを放ち、残りの種族型アイスエレメンタルを死の業火で焼き溶かしていく。同時にバジリスク、アリゲーターの体に刺さったアイスシャードも溶けていった。

「デュラハン、奴をやれ」

デュラハンのサイドから迫る新たな種族型アイスエレメンタルにイエナと共に小型のネクロファイアを次々放つ。

デュラハンがオーバーヒートの勢いに乗じ、ハイエルフの男へ突撃していく。駆け抜けるデュラハンの足元に多数の飛翔したアイスシャードが突き刺さっていく。


種族型アイスエレメンタルの出現が躊躇に鈍化した。

ハイエルフの男が血の流れる手を抑え、悶えながら治癒魔法を自身に必死に放っていた。ハイエルフの男が嵌めていたであろう指輪の破片が地面に転がっていた。


アイスゴーレムは体を激しく揺さぶり、滑り落ちたキメラを両手を使い踏み潰していた。

踏み潰されたキメラは原型なく周囲へと飛び散っていた。液状の血肉が辺りの地面にべっとりと残っている。

多数のキメラに魔力吸収で力を奪われたアイスゴーレムが立つ力を失い倒れるように地面に横たわった。

アイスゴーレムは横たわった後もキメラに抵抗を続けているが、キメラが倒れたアイスゴーレムに次々覆い被さっていく。


「イエナついて来い」

「はい」

イエナがネクロファイアを放つのをやめる。

数体の種族型アイスエレメンタルを残し、遠ざかるデュラハンへ血のオーラ付与を含め、イエナと共に最初にハイエルフの男が立っていた位置へと翼で移動する。

範囲内に入った。

魔力が枯渇し、伝達障壁が脆弱になったアイスゴーレム目掛け死の侵食を放つ。

ハイエルフの男が嵌めている指輪へアイスゴーレムを介し接触し、指輪を腐食させ溶かしていく。

損傷した指輪の影響で2体のアイスゴーレムが一挙に姿を消した。

イエナがハイエルフの男に腐敗の凝視を放つ。

ハイエルフの男の体が腐敗し変色し始めた。

ハイエルフの男は指輪から治癒の魔法を放つ。

「イエナ、毒でデュラハンを援護しろ」

「はい」

イエナが毒噴射を放つ。

ハイエルフの男は素早く避け、陽動を察知したのか鋼のベールを放つ。

ハイエルフの男に突撃していったデュラハンが階段を勢い良く駆け上がり、上部まで着くと高く飛び上がり、ハイエルフの男に剣を振り下ろした。

ハイエルフの男がデュラハンに念動を放つ。更に血塗れの手に嵌めている指輪からもアイスウォールを放った。ようだが、血のオーラの影響とオーバーヒート状態に晒され強化されたデュラハンにはハイエルフの男の念動は規模不足で効かず、デュラハンは出現し立ち塞がったアイスウォールを素早く両断しすると、そのままハイエルフの男を真っ2つに切り裂いた。

「穢多なリッヂ如きに……こんな結末認めん……認めんぞ」

癒着していた頭部部分の肉が左右に剥がれる。


ハイエルフの男が壮絶な表情を浮かべたまま、真っ2つに分かれて倒れ地面に黒い血溜まりが広がっていっていた。

左右に分かれたハイエルフの男の目は地面に横たわったまま、こちらに虚ろな視線を向け続けている。

イエナが視線を逸らす。

残りの種族型アイスエレメンタルの気配が消滅したのを感じる。


ハイエルフの男の元へ向かう。

ハイエルフの男の内蔵を眺める。ハイエルフの死体は黒く泡立ち溶け、液状化し始めていた。

泡立つハイエルフの死体を探る。

いくつか手に入れた後、妙な気配を感じ周囲を見渡すが、特に変わった物は見当たらなかった。

ハイエルフの男が持っていた杖を突き立ち上がる。

「何かありましたか?」

「ああ、書物と…色々だ」

「イエナ、杖を」

「はい」

イエナが杖を受け取る。

「お前が使え」

「あ、ありがとうございます!」


損傷した書物を開く。


──血塗りの付いた古びたページ。

くだらない。

ヴォイドは我々を見捨てたんだ。

何故それを早く受け入れないのか。理解に苦しむ。

早く受け入れればいいものを、なんと愚かな連中か。

でも私は違う。私だけは違う。

──


──血塗りの付いた古びたページ5。

師弟子気取りの間抜けを消すチャンスがようやく訪れた。

この俺を日頃からコケにしていた報いだ。宝物庫でじわじわと苦しみながら死んでいくといい。

連中の報復など今更怖くはない。ブラックハンドなど疾うに廃れているのだから。

俺はもうヴォイドのような廃れた神に追いすがったりはしない。


数日前の経緯通り新たな神を見つけ出した。

土産に宝物庫の指輪を適当に頂いたが、見事に残念な出来の指輪ばかりだった。この偉大な私に見合う指輪はない。

いくつか其なりの指輪があったので良しとしておく。他は捨てるしかなかった。

──


──血塗りの付いた古いページ7。

俺は神に認められた。そう神の使者となった。

烙印を押されずとも神の声が聞こえる。

ついに俺を認める者、それも神が直接。なんということか。

俺は神の為に全てを捧げる覚悟だ。

神から不老の恩恵を授かってからというもの、かなり気分が良い。だが恩恵の影響かとても眠い。体がまだ変化について行けていないのだろう。その内収まるさ。

暫く仮眠を取ることにする。

──


─血塗りの付いたページ1。

どれだけ時が過ぎたのか、今の所定かではない。だが不思議と心は落ち着いている。

この場所は随分と荒れ果ててしまったようだ。

今はブラックハンドや殉教騎士団の気配は、幸い感じられない。

──


─血塗りの付いたページ3。

目覚めた後も神の声が時折聞こえてくる。

どうやら神は不浄な者達に烙印を刻み始めているようだ。

だがそんな事は一度も耳にしていなかった。しかし神の成す事に疑問を持っては駄目だ。

俺は新たな世界の始まりを目にしているのかもしれない。

今から神の使者としての振る舞いを決めておいた方がいいのだろうか。

神への謁見はまだ許されてはいないが、神は私にこの場所を守るよう命じられた。

神の加護があれば何も怖いものなどない。

──

他のページは状態が悪く読めない。



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