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ヴォイドの呼び声Ⅰ虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


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生者達が閉じ込められている牢へ向かう。

大きな鋼鉄の牢獄が等間隔に区切られ、檻の鋼鉄からは強力な魔法を感じる。

一番近い手前の牢へ着く。

ロクスソルス衛兵と同様の格好をした者達が多く閉じ込められていた。

牢の奥で数人で話し合っている者達。座り込み壁にもたれかかっている者達。腕枕をし地面に寝ている者達。

「おいあんた。俺だ!ソルスだ! 助けてくれ!」

牢の入り口でこちらに向かって叫ぶノームの男。

「名前は知らんが、見覚えのある顔だな。ふむ。猫と散歩している時、会ったあの門番の兄弟か」

「そ、そうだ! 良かった」

「弟はどうした?」

「弟は…ああ! んなことより頼む。早くここから出してくれ」

「少し落ち着け。見張りは一応片付けた」

「そ、そうなのか。ふ~」

ソルスは少し落ち着きを取り戻したようだ。

「まず質問に答えろ。なぜここにいる?」

「ああ…それは……。まあ、あんたの話を聞いて、仲間を助けようと思って来たんだが……ここへ来ると酷い頭痛に襲われてしまって。気が付いたら牢の中だったってわけだ」

「英雄願望か。悪魔が喜びそうだな」

ソルスは真剣な顔つきになり徐に顔を迫る。

「違う! あっ、ただ助けたかっただけだ」

「お前を含め、ここの連中はなぜ烙印を押されなかった?」

「たぶん押されそうになったさ。変な話、気を失っている間、こう…夢の中で無理矢理押さえ付けられてな。でも結果的に烙印は刻まれなかったんだ。その前に目が覚めたから」

「それでここに入れられたのか」

「ああ。ここにいる仲間も俺と同じだ。たぶん他の牢の連中も。きっと神々の加護があったからだろう。ディアーナに感謝だな。なあもうお喋りはいいだろう。早く出してくれないか?」

「分かった。そこで待っていろ」

牢から少し離れる。

「助けないんですか?」

「他にいる奴の話も聞いてからだ」

隣の牢へ向かう。

見慣れた装備を着けた連中が檻に閉じ込められている。

仲間に叫び、こちらに何か話し、手を振ってくる人間の男。

「なっ? 俺の言った通りだったろ。 モークが送ってきたんだ。なあ、あんたこっちだ」

牢の入り口へ向かう

「呼んだか?」

「俺のこと覚えてるだろ? ゲイグだ」

「いいや」

「おいおい冗談言ってる場合か。ここいたらクソみたいな烙印奴隷にされちまって、イカれた宗教入りだ。早く出してくれ!」

「あ~あ。俺の腹にダガーをプレゼントしてくれた奴か。嬉しくて覚えてるぞ」

「そ、それは……」

「まあいい。ここに来た経緯を教えろ」

「どきなっ!」ゲイグを押し退け、ドワーフの女が前に出てくる「こいつの事はどうでもいいんだ。あんたモークの使いだろ? なら早くここを開けな」

「そう簡単に開けれる代物ではない」

「だったら突っ立ってないでさっさと開け方を探しなっ!!」

「お、おい。よせよ。こいつは…」

「腰抜けは黙ってな」

「…………」

「静かに待ってろ。そしたら出してやる」

「ああー!」うなだれ、背を向けながら両手を上げ離れていく女ドワーフ「この役立たずのクソッタレめ!」

牢の入り口から離れる。

「それで、どうしますか?」

「お前ならどうする?」

「私ですか!? そ、そうですね…」

「手を差し伸べる? 差し伸べない? もちろん今すぐ助けたいだろう。だがそれは得策じゃない。こいつらは今はこのままだ」

何度も瞬きし顔を少し遠ざけるイエナ。

「は、はい…」

イエナが急いで振り返り杖を構える。

赤い髪をした女が立っていた。

マンティコアの兜を外し脇に挟む女。

「顔を見せなくても分かったかしら?」

「ここで何をしている?」

「ンフフ、会った時と同じね。じゃあこっちも、ここで何をしているの?」

「…………」

目を細める。

「敵じゃないわ。どうせ知ってるだろうけど、烙印は魅了魔法の類いかと思って吸血鬼を探しに来ただけよ」

「静かなのが好みなんだな」

「まあ1人だし。私が興味あるのは吸血鬼だけだから。貴方達は血肉が好きなようだけど」腰に手を当て、片手を上げ肩を竦めるルビー。

「否定はできないが、意味もなく殺している訳でもない」

「生きる為に血を吸うのは仕方ない。みたいな。仕方ないわよね〜」

「何のようだ」

「吸血鬼がここにいるのは確かだった。ここの連中と悪巧みしている可能性もあるかなって。その、私は吸血鬼が専門だから、ここはお互い手を組むってのはどうかなって?」

「嬉しい申し出だな。だが断る」

「そっちのマミーちゃんは分かっていないようだけど、貴方はこの先にとてつもない化け物が待ってるのは分かっているでしょ? お互いが生き残る為よ」

ルビーが笑顔を見せる。

「同じ事を二度言わせるな」

「じゃあこういうのはどう。上の扉の先に待っている連中を殺す時、お互い干渉しない、ってのは」

「邪魔をしないなら、お前が何をしようとどうでもいい。イエナ、戻るぞ」

「は、はい」

女を警戒し、身構え後ろ向きに歩くイエナ。

あの女、何か妙だな。

変性は感じないが、どこか不快な胸騒ぎがする。


「ふ~ん」

「なあ姉ちゃん!俺達を出してくれ! 金ならボスが払ってくれる」

「考えとく。上で待ってる奴を片付けたら、戻ってきて助けてあげる」


イエナ、デュラハン、おまけのルビーと共に上階フロアに戻る。

「デュラハンね~。間近で見るのは初めてね。なかなか強そうじゃない」

ルビーがデュラハンの周囲をゆっくりと回り、観察する。

イエナはどうも居心地が悪そうだ。戦いのどさくさに紛れ、ルビーに毒を浴びせるかもしれないな。


「浮かないな。あいつが気になるか?」

「いえ…。何だか、さっきの人達を見捨てた感じがしてしまって」

「保留にしただけだ」

「はい。分かっているのですが…気持ちが落ち着かなくて」

「ふむ。ここを調べ終わっていないのに、解放した連中に彷徨かれ、詮索されるリスクは避けたいからな。それに片や衛兵、片や徒党。解放した後の事は容易に想像がつく。どうだ? 少しは気が紛れたか?」

「はい」

少し安堵の表情を浮かべるイエナ。

「さあ、お待ちかねだ」


デュラハンに合図を出し、デュラハンが両手で左扉を開けていく。

ルビーも多少、念動で手伝っているようだ。

扉が音を立て、ゆっくりと開いていく。


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