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遺跡の入り口まで戻り、階段にあるレバーを引く。
デュラハンが盾を構え外へ出る。
従属が全て出た後、入ってきた時同様、マンホールを念動で動かし、ずらし、入り口を閉じさせる。
蜘蛛が不可視化を使い姿を消した。
目的地へ向かう。
「これからどこへ向かうのですか?」
「この先にある採石場だ」
「どうしてですか?」
「一度偵察したんだ。額に烙印のある者達の住み処になっていてな。必ず何かあるだろうし、なくとも良いベースになる」
「奪うのですか?」
不安そうな表情を浮かべるイエナ。
「そうなるだろうな。気を抜くな」
「わ、分かりました」
イエナは杖を強く握り締め、少し緊張しているようだ。
こちらは見通しが利いているが、向こうはどうだろうな。
採石場へ着き崖下を見下ろす。
生者感知オーラを放ち、従属アンデッド全てに同様の魔法を付与する。
「何か目に力が」
「生者感知を与えた」
「アンデッドでも見えない者がいるのですか?」
「変性魔法の隠匿や根源の偽装でアンデッドから姿を隠せる者達がいるかもしれん。念の為だ」
「そうなのですね。あの、私の新たな魔法は危険じゃないでしょうか? 毒は引火の危険がありますよね」
「良く知ってるな。だがそこはお前の腕次第だ。さあ夜が明ける前に片付けるぞ」
有翼を放ち翼を生やす。
「はい」
イエナも続き、指輪の力を放ち有翼で翼を生やす。
アリゲーター、デュラハンが強靭な足腰で高い段差を飛び降りていく。蜘蛛は自身が生み出した糸を伝い、バジリスクは岩を這い降りていく。
イエナと共に翼で滑空し、偵察時と同じ場所、岩の隙間に降り立つ。
従属アンデッドを集結させる。
「アリ、お前は前方。デュラハン、バジリスはサイド。イエナは中央。蜘蛛、お前はここで見張っていろ」
洞窟の入り口へ陣形を組み向かう。
洞窟に近付くほど、緑の霧が次第に立ち込め始め、死霊のにおいも漂ってくる。
入り口両サイドには、木材で建てられた見張り塔が設けられていた。
各々の塔で監視についている2体の烙印ノームがこちらをじっと見つめてくる「どうやら俺達に気が付いたようだな」
「ど、どうすれば?」
「落ち着け。イエナ、グローブに付与されている魔法を放つんだ」
イエナのグローブが白く輝き、イエナが守護の布陣を放つ。イエナは少し驚いた様子だったが、すぐに目の前の戦いへ集中しているようだった。イエナを中心に、半透明の白い障壁のドームが形成される。
手に力を集中させ、リフレクトを放ち、自身の周囲に魔法障壁を張る。半透明の白い障壁ドームが覆っていく。
烙印ノームがこちらにクロスボウを構え、上方に向けボルトを放ってきた。
放たれたボルトが曲線を描き飛翔してくるが、ボルトはイエナが放った障壁に上手く弾き返され、放った烙印ノームへ跳ね返っていった。
曲線を描き、烙印ノームの右肩へと突き刺さった。
「グアァァ!」
烙印ノームの悲鳴が聞こえてくる。
「走れ。行け、行け、行け!」
合図と共にアリが咆哮を上げ突撃していく。デュラハン、バジリスクも後に続く。
反射したボルトを受けた烙印ノームが自身の肩を抑えながら、こちらを見てくる。
同時に額の烙印が緑に光り輝やき、反対の塔にいる烙印ノーム。そして洞窟内部に潜んでいる者達の烙印も一斉に光り浮かび上がるのが見えた。
数は多いが、それほど脅威でもなさそうだ。
ロクスソルス衛兵と同様の装備を身につけている6名の烙印ドワーフが入り口で盾を構え、突撃するアリゲーターに対して一列に盾の壁を形成し身構えている。
「グオォォォォ!」 アリゲーターが突撃しながら大きく口を開けスクリームを放つ。
烙印ドワーフ達がスクリームに動じる様子はなく、盾を構えたまま身動き1つしない。
やはり魔法で操られているか。しかし妙だな。
アリゲーターが片腕で顔面を守り、そのまま自身の巨体で烙印ドワーフ達の盾壁へと衝突する。
勢いのあるアリゲーターの巨体の体当たりで、烙印ドワーフ達の盾の壁を粉砕し陣形を突破した。
陣形を崩された烙印ドワーフ達は直ぐに態勢を建て直し、盾を構えたままアリゲーターを取り囲み、剣で攻撃を開始した。
尖った杭の柵で形成された壁をデュラハンがジャンプして飛び越え、空中にいる際に、烙印ドワーフ達へと槍を投擲していく。一体の烙印ドワーフを見事串刺しにした。
頭から下半身まで槍で突き抜かれた烙印ドワーフは手足の力が抜け、持っていた剣と盾を地面に落とし、身動きしないまま無力化された。
デュラハンが着地と同時に槍を手の中へ戻し、奥で身構える敵へ向かっていった。槍の支えを失った烙印ドワーフは地面に崩れ落ちる。
1人で行ったか。
イエナと共に簡易な入り口を過ぎる。
見張り台からアリゲーターを狙っている烙印ノームに向け、イエナがトルネードを放つ。
直接的なダメージは与えられていないようだったが、突風で態勢を崩した烙印ノームはそのまま見張り台から落ちてしまった。落下した烙印ノームは下に置かれていた武器棚の槍で串刺しになった。
アリゲーターを囲っている一体の烙印ドワーフがアリゲーターの背後へと次第に位置を変え、別の烙印ドワーフに応戦していて気付いていないアリゲーターを突き刺そうと剣を振った。だが剣がアリゲーターの背を貫くよりも先に、烙印ドワーフをバジリスクの大きな口が襲った。バジリスクが音を立て、鎧ごと噛み砕いていく。
バジリスクに食われた烙印ドワーフの頭部と両足が地面へ血塗りと共に落ちる。
バジリスクが鎧を吐き出すと、別の烙印ドワーフの背後へと体をくねらせながら迫っていき再び口を大きく開き、襲い掛かっていく。
アリゲーターが振り回す尾で杭の壁が破壊され、こちらに吹き飛ばされた木の杭が飛んでくる。
「あっ!?」
念動で受け止め、重い衝撃が手を伝い腕に走る。杭を地面に捨てる。
振り向き、目の合ったイエナに小さく頷く。イエナが同様に返してくる。
イエナと共に先へ進む。
撃ち損ね、装填済みの地面に転がるクロスボウを拾い、アリゲーター達と戦う烙印ドワーフの動きに合わせ、進行方向に少しずらし放つ。一体の右胸に上手く命中した。
ボルトで一瞬怯み、足を止めた烙印ドワーフをアリゲーターがクロウでズタズタの肉片に変えた。
「お見事です」
「狩りの才能があるようだ」
クロスボウを足元に投げ捨てる。
洞窟の奥から妙な気配を感じるな。
死んだ直後の烙印ドワーフ、烙印ノームにヴォイドの囁きを放ち、アンデッドに変える。
デュラハンに串刺しにされ、横たわっていた烙印ドワーフはスケルトンとなり他の烙印ドワーフに襲い掛かっていく。
落下し、串刺しになった烙印ノームはグールとなるが、串刺し状態から抜け出せず咆哮をあげながら手足をばたつかせていた。
「奴を解放してやれ」
スケルトンをグールの元へ向かわせる。
「イエナ、向こうの見張り台を崩す。手伝え」
「はい!」
念動を見張り台に放つ。
イエナが杖の力を放ち、杖の先端にある結晶が茶色く輝き自然の報復が放たれる。
見張り台の足場の1つに棘のついた植物の蔓が巻き付いていく。
「ンンーー!」
イエナが力を込め俺と同じ方向に杖を必死に動かし引き倒そうとする。
「ヌアァァァァ!!」
力を込め、重い重量がのしかかる腕を思いっきり引き倒す。
見張り台が傾き、そのまま轟音をあげながら倒れ崩れ落ちていく。
砂煙が辺りを覆い尽くし、見張り台の破片や残骸が飛散する。




