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──綺麗に折り畳まれた羊皮紙。
貴方がこれを読んでいる頃には、ヴォイドが再び私たちを見守っている事を願っています。
新たな与えし者として、立派に信徒を導いて欲しいと願います。
既に守りし者などの古株の者から聞いているかもしれませんが、例の鉱山で見つかった遺物は非常に危険な物です。
信頼できる者以外は決して近付かせさせない事を推奨します。
今後もヴォイドを称え、我らにヴォイドの恩恵があらんことを。
ロクスソルスの与えし者。ホープ。
下部に遺物の場所についての地図の走り書きがされていた。
──
── Ⅴ章『烙印』──
無知ほど愚かな事はない。『死の淵』より。著:ジードルフォニー:マスターアサシン。
「デュラハン」デュラハンが入ってくる「その盾とその槍だ」
全体が赤黒く、1つの閉じた目が刻印された盾。全体に細かな刻印が刻まれた銀の槍を各々装備するデュラハン。
「お~、4つも武器を持つなんて欲張りね~。でも大丈夫なわけ?」
「使い分けは大変だな」
「それで鎧は?」
「デュラハンは既に鎧を着けてる。鎧の上に鎧を着るなんてなぁ」
「からかったのね」
眉をひそめるマーラ。
突然、外から凄まじい破裂音が聞こえてきた。
「デュラハン、先導しろ」
「御意」
デュラハンが盾を構え出口へ向かう。
「罠の音?」
「恐らく敵だ」
短剣を抜くマーラ。
「最高ね」
生者感知を放ち、デュラハンに続く。
妙だな。気配がない。くたばったか。
向かう傍ら、魔法を放つ音が聞こえてくるがすぐに止んだ。
通路へ出るとモートが待機しており、ここへ来た道は蜘蛛が糸の壁で塞いでいた。
モートを待機させ、角の先へ向かう。
角を曲がると、イエナらがおり、先から魔物の弱りきった声が聞こえてきた。
「デュラハン、前方を警戒しろ」
デュラハンが走り、奥へ向かう。
「イエナ! 大丈夫?」
マーラがイエナに駆け寄り、短剣を構えたまま周囲を警戒する。
「私は平気」
イエナは座り込み、傷を負ったアリゲーターとバジリスクを毒で手当てしている。
「何があったの?」
「急に何かが襲ってきて、でも一体はやっつけた」
「やるじゃない」
壁や床など、一面にミートの膓や肉片が飛び散っている。地面に転がる死体を観察する。
ヘルウォーカーが4体。ミートの爆殺自爆で即死したようだな。
アガレスの手下…いや、にしては鎧がやけに古びているな。
装備は酷く損傷して役に立たないな。
この一体だけ鎧のデザインが異なるな。
オフィサーか。
鎧が異なるヘルウォーカーを探り、所持していた黒い硬貨と羊皮紙を取る。
地面に広がるイエナの毒液を避け、警戒しながらこちらへ来るマーラ。
「敵は?」
「全員無力化している」
短剣をしまい死体を見つめるマーラ。
「ヘルウォーカーね」
「知っているのか」
「まあね。でもどうしてヘルウォーカーがこんなところに?」
ヘルウォーカーから回収した羊皮紙を開く。
マーラが覗き込んでくる。
──熱を帯びたヘルの鉄紙。
遺物を手に入れるまで戻るな。
──
「地下のどこかに遺物が隠されていたってこと?」
「いいや。だが心当たりがある」
「うそ」
顔を少し遠ざけるマーラ。
「金庫にあった羊皮紙に遺物の事が書いてあったんだ」
「でも随分前の事でしょ? ヘルウォーカー達はまだ探してたってこと?」
「恐らくな。さ迷うゴーストみたいなものだ。出られなくなった後も、命令を遂行するまで永遠とここで探し続けていたんだろう」
「気付いたとしても、結局タクトがなければ入れなかった」
「そうだ。それと恐らく、連中はお前の生命力に引き寄せられたんだろう」
「私のせいで一体失っちゃったわけね…。ごめん」
「ああ」
「それで、このヘルウォーカーをアンデッドにするの?」
「いいや」
「どうして?」
「年月が経っていて、あまり役には立たんだろう。それにどうやら最後の力をミートに使ってしまったようだからな。デュラハン」
前方を警戒していたデュラハンを呼び戻し、デュラハンにミートを含めた死霊魔力を吸収し回収させる。
イエナの元へ向かう。
「ミートを失っちゃったね」
「そうだな」
「あんまり気にしてないのね。別に嫌味とかじゃないよ」
「少し気が晴れる事を言うなら、アリゲーターとバジリスクの負傷はミートの巻き添えだな」
「さっきの破裂音って、そういう事?」
「ああ、爆殺自爆だ。この狭い場所で、しかも近距離だ」
強張った表情で側に来るイエナ。
「もしミートが昇格していたらもっとヤバかったのね」
「イエナ、どうだ?」
二匹の治療を終え、地面に置いた杖を突き立ち上がるイエナ。
「アリゲーターとバジリスク、どちらも大丈夫です。マーラ、毒に気を付けてね」
足元に広がる毒を指差す。
「気付かなかった」
「モート、デュラハン、宝物庫にある残りの装備を回収してこい」
「ここを拠点にしないの?」
「思ったより脆くてな。俺達がいじり回したせいで余計に。多少は大丈夫だろうが、リスクが大きい」
「そういうのはもっと早く言ってよね。こんな所で死ぬなんてごめんよ」俺とイエナの間からヘルウォーカーの亡骸に手を振るマーラ「悪気はないのよ~」
「マーラ、遺骨は?」
「…持っていく」
「早くしろよ」
「はいはい」
「私も手伝うよマーラ」




