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ヴォイドの呼び声Ⅰ虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


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「様になってるじゃないか」

「そ、そうでしょうか」少し照れくさそうに笑顔を見せるイエナ「これはどの様な杖なんでしょうか?」

「そうだな。恐らくはドルイドの魔法に起由した杖だろう。自然に関連した類いを呼び出す杖なら、毒を主に扱うお前と相性が良い思ってな」

「ありがとうございます」

「ここには装備が沢山残されている。昇格で補えない部分は装備補填する」

「ここは武器庫なのですか?」

「そうだろう。浮かないようだな。どうした?」

「その…」イエナは言い辛そうにしながら口を開いた「マーラの事で少し…」

「マーラがどうしたのか?」

「ここへ来る途中、マーラが落ち込んだ様子で椅子に座っていたので、その…声を掛けたんですが、考え事をしたいからって見向きもしてくれなくて。私、なにかマーラに悪い事をしたのかなと思って」

「お前のせいじゃない。マーラには少し、1人で考える時間が必要なだけだ」

「そう? ですか」

「本当にお前とは関係ない」

「それを聞いて少し安心しました」

「ふむ。装備の件に戻るぞ。杖の二刀流も悪くはないんだが、お前にはまだ荷が重いだろう。というわけで防具」

「何か好みの色でもあるか?」

「そうですね…」

相性の良さそうな装備を探す。

真剣に考えている様子のイエナ。

「今のは冗談だ」

「あぁ…すみません」

「今は選り好みできる状況ではないからな。いずれは余裕を持たせる。ふむ、これはいいぞ」

全体に金の宝飾が施された赤いローブを手に取る。

「それは?」

「恐らく付与は炎を無効化するローブだ。他にもいくつか付与を感じるが、まあ地獄の炎や光輝の炎までは防げんだろうな。ただお前の弱点を補えるのは確かだ。着てみろ」

「はい」

ローブを着終えるイエナ。

「どうですか?」杖を持つ反対の手でローブの裾を持ち、笑顔で左右に体を揺らすイエナ。

「ああ、いいぞ。ただのマミーではないな。ブーツとグローブも忘れずに着けておけ。今度はこの仮面だ」

グローブとブーツを身につけるイエナ

「仮面ですか?」

「まだ世情が分からんからな。心配ないだろうが、念の為だ」

「色々な仮面がありますね」

「ああ、だが儀式様が殆んどだな。有用なのは限られている」棚に均等に掛け並べられ仮面の1つを手に取る「これは着用者の魔力を吸い取るだけの代物だ」

「そんな物、何に使うんでしょう?」

「一種の飾りだろう。用途を見出すのなら、拷問などそういった類いだろ」

静かに頷くイエナ。

手に持った仮面を戻し、別の仮面を手に取る。

「ふむ、これはお前に丁度良いだろう」

銀色の目を瞑った無表情な仮面を取り、イエナに渡す。

「着け心地はどうだ?」

「少し、視界が狭く感じます」

「そうか。だがそれは盲目を防ぐ。いつでもお前の毒で味方を回復させれる様にするには有用になるだろう」

「仲間を助けるのは好きです」

「そいつは良かった。サポートは重要だからな。頼むぞ」

「任せて下さい」

「言うまでも無いだろうがマーラに毒を当てるなよ。最後にこれだ」

「指輪ですか?」

「ああ、変性の一種だろう。いま試せ。今の所はこの程度の装備で我慢してくれ」

イエナが指輪を嵌める。

イエナが指輪の力を使い、指輪が光ると、イエナの背中から灰色の翼が生えてた。


「随分と2人で楽しそうじゃない?」

開いたドアに肩を預け、足を軽く交差させ腕を組み眺めているマーラ。

「楽しんでいるのは俺だけだ」

有翼の魔法を解くイエナ。

「マーラ…もう大丈夫?」

「大丈夫って?」

「今度はお前の番だマーラ。それと、終わったらイエナが話したいそうだ」

マーラが姿勢を戻す「分かった」一度頷くマーラ。

「イエナ、外で警戒してろ」

「はい…」

去り際にマーラを少し見るイエナ。

マーラは無言だったが、目が合ったイエナに笑顔を送っている。それを見てイエナも笑顔を送り返す。

マーラが側まで来る

「平気か?」

「大丈夫だって、グリーフケアなんて必要ない。まあでも温かく見守って」

「俺もお前も、イエナも他のアンデッドも。とてもじゃないが戦いに赴くような装備とは言えない」

「サーカスが良いとこよね。でもさっきのイエナ見た? キマッてた」片目を閉じ、拳を握り親指を立て振るマーラ。

「後で褒めてやれ。次はお前がキメるんだ」

「オッケ~。おお~! めちゃくちゃあるじゃん! こういうのって、見てるだけで楽しくなっちゃうのよね~。ねえこういう気持ちって分かる?」興奮した様子で両手を腰の後ろで組み、棚置かれた装備を見て行くマーラ。

「ああ、不思議と否定はできんな。魔道具の知識はある程度持っているのか?」

「無くはないけど…。貴方が期待する様なものは、無いかな。弓は無いのね」振り向くマーラ「一緒に考えてくれる?」

「最初のアドバイスだ。見た目で選ぶなよ」

「ンフフ、それは気づかなかった。う〜ん、私はローブ系はいいかな〜」

「その体じゃ、重い鎧は難しいだろう?」

「そうよね~。防具は魔法抵抗、物理は変性で補うようにしたいかな」

「ほお。それだと攻撃する際の魔法は少し制限されるな」

「確かに。でも全てを補うなんて無理よね」

「まあ魔力を鍛えれば、多少は理想に近付ける」

「ふ〜ん、あっ! これ見て」

左の一番奥の棚から黒い革の鎧を取り出す。

「胸の所に変わった紋章があるな」凡俗的な種族の手形と共に、人差し指のみが細部まで綺麗に彫られている。

「これはね~、ブラックハンドの紋章なの」

「ほぉ~、俺より詳しそうだ」

「これでも一応末裔だからね〜」

服を脱ぎ、黒い革の鎧を着ていくマーラ。

「遮った方が良いか?」

「別に。それにもうお風呂覗かれちゃったし」

そして下、腕、ブーツと次々身に着けていくマーラ。

「着心地はどうだ?」

「思ってたより……」露骨に不満そうな表情を浮かべるマーラ。だがすぐに満面の笑みを浮かべる「めちゃくちゃいい!」両腕を動かし、上半身を軽く捻り、足を後ろに曲げつま先を地面につけ、ブーツの底を見るマーラ「かなり動きやすいし、思ったより状態も良い。誰かのお古かと思ってたんだけど、新品みたい」

「貯め込んでいたんだろうな」

「どういうエンチャントか分かる?」

「おおよそはな。だが全ては無理だ。複数のエンチャントだったりした場合は特に難しい」マーラの着ている装備を凝視する「マーラ、あまり動くなよ」マーラが更に動く「マーラ」

「ンフフ」

動くのをやめるマーラ。

「何のダンスだ?」

「シェパードダンスよ」

「ふむ。闇と光輝魔法に強い抵抗があるな」

「闇と死霊っていつもこんがらがるのよね」

「簡単だ。闇は死霊と違い、代償は信仰でなく血だ。それに吸血鬼が主に使う魔法だ」

「えっ、血が必要なの?」

「知らなかったのか?」

「吸血鬼じゃないもん」

「ハン、そうだな」

少し横を向き、目を細め俺を見るマーラ。

「貴方に闇魔法って効くの?」

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