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台座の破片を手に取り凝視する。
ニオスの言った通りのようだ。
「だとすれば、事態は更に複雑だな。台座の側にあった亡骸はどうだ?」
「特に変わったところはありませんでした。そのままにしております」
「そうか。何れ見に行く事にしよう」
「他の肉体に関する情報なのですが、その遺跡の近くに、入口が露出していない遺跡がいくつか。それらも有力かと」
「どうやって入る?」
「現在入口を確保させているところです。ただ現状人員に限りがありますので、師には是非優先順位を指示して頂きたいのです」
「その遺跡には俺の肉体の反応以外にあるのか?」
「はい。リーウィアと再会した際に申していた通り、4人の内の1人がいる可能性が非常に高いのです」
「どうして分かった?」
「奴が何時も必ず身に着けていた、アバンチュールの首飾りの反応が強く感じられるのです」
アバンチュールの首飾りか「確か…ウェヌスの秘宝だな。なぜそいつが持っている?」
「あぁ…それが本人は貰ったと」
「何となくだが、分かって来たぞ。お前とリーウィアの反応がな」
「お察しの通りです。奴の腕を疑う余地はありませんが、如何せん…その…ふしだらと申しますか」
「分かった。皆まで言うな。そいつと会う際は慎重に運ぶ。では埋まっている遺跡の侵入経路の確保に人員を最優先で充ててくれ」
「畏まりました。他に肉体に関する情報が入り次第、すぐにお伝え致します」
「外にいる傭兵達は信頼できるのか?」
「ある程度は。密偵がいたとしても、情報収集程度でしょう。作戦の妨害には至らないかと」
「随分と楽観的だな」
「連中を見て下さい」
「フフ、俺が最初に雇った傭兵だが、もう会ったか?」
「はい。随分と腕が立つようで」
「少し引っ掛かってな。素性は分かるか?」
「師が懸念されている通りかと。調べたところ、奴は元リベルタリアの密偵だったようです」
「思ったより根回しが早いな」
「別件でいたのでしょう。接触は今のところありません。現状は独自で動いているものと。リベルタリア側はどうも、ニザームがアンデッドを使役し始めたと疑っているようなのです」
「好都合だな。そいつは好きに泳がせておけ」
「はい。万が一の場合は?」
「始末しろ」
「畏まりました。周辺地域の警備ですが、探検家やトレジャーハンター、野盗などの死体を利用しました。一定の警戒感を促すと共に、体制が整うまでの警報代わりにも役立つ事でしょ」
「構わないさ。お前の好きにしていい」
「感謝します。以上が現状までに得た情報の大部分です。不明点など他になければ、傭兵とコルンナティモラスに関しての報告に移ります」
「頼む」
「こちらへ」
「コルンナティモラスの件、すっかり忘れてしまっていた」
「師はお忙しい身でしたから。事態が収束した時、少し休まれては?」
「それもいいな。だが道のりは長いぞ。街の再建計画では、賭博場や闘技場が欲しいところだ。お前も一緒に付き合ってくれよ」
「楽しみです」
「他にも為し得たい事が数多く思い浮かんでいる」
「そうですか。では街の再建計画に関して、人員などの手筈を整えておきましょうか。師の素晴らしいアイディアが損なわれぬ内に用意致します」
「お前は優秀過ぎる。俺を腑抜けするつもりか?」
「それは大変名誉な言葉ですね」
「ンフフ、俺も早く力を取り戻し、お前やリーウィアの期待に見合わねばな」
「すぐに叶いますとも」
傭兵達のいるフロアへ着く。
集まっている傭兵達を見る。
「やはりただの傭兵ではないな」
「戦争や諸外問題で国を離れていた、一種のネクロマンサー達です。有効利用できそうな者達に金を握らせ集めました」
「ほお」
「師よ、悪い予感がするのです」ニオスは正面を向いたまま話しを続ける。
「ただの勘か? それとも」
「街の周囲に気になる予兆がいくつか」
「それで、こいつらが役に立つと?」
「時間稼ぎ程度にはなるかと」
「一応気に留めておこう」
ハイオークの男とダークエルフの女がこちらを見る。
「あれが親玉ね」
「その言い方やめろと言ってるだろ。おい、聞こえたようだぞ。おい、見るな」
「この中でも有力な者達を2つ紹介しておきます。あいつらを」
アンデッドタロンが頷き、傭兵2人を連れて来る。
赤い帽子を被ったレッドキャップが苔の生えた珍しいゴーレムを連れている。
「どうも、ジイシイだ。よろしく。アンデッドキング」
「ああ、リーケンだ」
「ご想像通りあれだが、レッドキャップでも、ちゃんと報酬に見合った働きをするよ。まあ、わがままを言えば救う姫がいれば嬉しいんだが…」
「さっさと俺を紹介させろ」
「コティスか?」
「こいつがドルイドに見えたってのか? お前の目はまんま節穴だな。ハッハッハッ」片手で胸を何度か叩くコティス「俺様はドラミングキングだ」
「随分と親しいようだな。そいつとの関係は?」
「俺様は以前悪に染まっていたんだが、まあこいつの」ジイシイの背中を叩くドラミングキング。
「おい、痛いだろ…お前のデカイ拳は凶器なんだぞ」
「悪い悪い。とにかくこいつのおかげで道を正せたんだ。こいつがあんたらアンデッドに協力するってんなら、俺様も喜んで手を貸すって訳だ」
ジイシイを見る。
「色々と複雑でね」
「歓迎しよう。ようこそアンデッド王国へ。必要な時に呼ぶ」
「腕がなるぜぇ〜」
「さっさと行くぞ」
2人が去っていく。
「次だ」
アンデッドタロンがニオスに頷き、グループを連れて来る。
銀色の中装鎧を身に着けた、リーダー格の灰色ウルフの純血獣人の男が前へ出てくる。
「招いて貰って感謝している。私はゲルマン。狼の牙を率いている」
「リーケンだ」
「こっちはへシイラ、偵察チームを指揮している」緑のレンジャーの格好をしたウッドエルフの女が軽く頭を下げる「こいつはトロン。俺が不在の時はこいつが代理を務めてくれる」
「宜しく」銀色の中装鎧に身を包んだ人間の男が腕を組み、愛想よく挨拶してくる。
「クレリックか?」
「ああ、あんたの言いたい事は分かる。だが今は世知辛い世の中でね」
「ふむ」
「そして……」
黒い革装備を身に着けたダークエルフの女が前へ出てくる「イネーラよ。コンジュラーのチームを指揮しているわ」
「要か」
「いいえ、私達は後方支援が主。あ〜! そんなことより貴方には会いたかったわ」
「俺と面識でもあるのか?」
「そうじゃない。そこのアークリッヂが頭を下げる相手がいるって聞いたから、是非会ってみたくて」
「それで感想は?」
「はぁん。どうやら買い被り過ぎたみたいね。出藍の誉っていうの。まさか貧弱なホワイトリッヂだったなんて」
「期待とはそんな物だ。ゲルマン、お前の傭兵団の規模は?」
「40人ほど。今は未来の領主の為に、飲み食いで貢献しているところだ」
「分かった。必要な時に声をかけよう」
「それでは。シーラセライ」
狼の牙の者達が去っていく。
「あの女は調べておけ」
「はい。コルンナティモラスの件ですが、実は」
ニオスが天井を見上げる。
天井には緑色に変色したコルンナティモラスが張り付いていた。
「おお…。やるな〜」
「気付いている者はおりません」
「お前以外な」
「それはさておき、この者たちの処遇をお聞きしたいのです」
「どういう意味だ?」
「コルンナティモラスの能力をご覧になりたいかと思いまして」
【⇄】能力を見る。見ない。
「そのためだけに集めたのか?」
「決めるのは師ですから。選択肢が多い方がよろしいかと思いまして」
「見る必要はない」
「畏まりました」
記憶を取り戻すのが少し恐ろしくなったな。
「準備をするに当たり、何か助言はあるか?」
「街に妙な装置の気配を感じます。どこにあるかまではまだ掴めておりませんが。それと、キングロブスター亭という酒場には、妙な噂があります」
「助かった」
「御気を付けて」
「お前もな」




