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ヴォイドの呼び声Ⅰ虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


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「なかなかにインパクトのある言葉だ。何かに掛かっているんじゃないのか?」

「可能性はありますね。最悪寄生虫など」

「ニオス、それは俺への侮辱も入っていないか?」

「言葉が過ぎました。お許しを。苦手なもので」

「ンフ (了承)」

「寄生虫の可能性なんてないわよ! リーケン様、リーウィアの愛は本物です。伝わったかと」

祈るように手を合わせ、目を輝かせながら見つめてくるリーウィア。

「いい意味でも悪い意味でも、確かに伝わった。以前に会った事はあるのだよな?」

「勿論です!」

「それは、互いに良い関係だったという事か?」

「あぁん……私も長い眠りから覚めたばかりですので…その辺の記憶はまだ曖昧と言いますか…その…」

「最良の関係を築くのに、嘘から始まっては、師も困るでしょう?」

「ふむ」

「あんたに言われなくても分かってるわよ」歯を食いしばり言葉を放つリーウィア「んんっ、リーケン様、嘘をつくつもりなんて、微塵もありませんでした。ただ少し…愛故に心が揺れ、動揺してしまっただけです」

「時には嘘も必要だからな」

「はい! 理解して下さると思っていました。ああ♡」

「それで、結局どうなんだ?」

顔を背けるリーウィア「んっ……その…私を…酷く毛嫌い為さっていました」

「そうか。理解はできる」

「うっ……」

「お前の先の言動を見てれば、普通はそう思うだろう。思わない方がおかしい。そう思うだろう?」

「は、はい……」

「だがそれなのに、さっきは俺と再会して随分と嬉しそうだったな」

「も、勿論です……。リーウィアはリーケン様の事を愛していますので……」


容姿や魂にはまったく興味を惹かれないが、随分と長い間、俺の事を想ってくれていた。

その事にはどこか…心揺さぶられるものがある。しかも蔑まれていたにも拘らず。

これほどの愛を見せられては、何も感じずにはいられないな。


この感情は黙っておくべきか。正直に伝えておくべきか。

だがここで期待を持たせ、後で悲しませる事になってしまった場合、あまりにも残酷だ。だが伝えないのは、もどかしい。

新たな視点で、もう一度リーウィアと向き合うのもいいかもしれない。

立ち止まる。


【⇄】共感♡、拒絶✕。


「リーウィア、嬉しいぞ」

すぐに振り向くリーウィア。

「ほ、本当ですか!?」

「ああ。だが、俺には想い人がいたようなんだ。今はお前に惹かれているが、これから記憶が戻った時に、どう変化するかは自分ですら分からない。それらしきものは青い瞳に……」

リーウィアは口を開けたまま、あまり動揺はしていないようだ。

「私の事をリーケン様が……う、嘘!? うそうそうそうそうそ、アァーーーーー!!!!」

狂喜乱舞なリーウィア。

「まだ話は……」

「アァン♡ ウゥーーーー!! キャーーーー!!!!」

翼を生やし、両手で頬を押さえ、全身から青黒い血を垂れ流すリーウィア。


「師よ。本当に良かったのですか?」

「ニオス。良いも悪いも、本心を伝えただけだ」

「佐用で」

「それに、よく見ると可愛いだろ?」

リーウィアの溜め込んだ血飛沫が飛び散ってくる。

「感情豊かな者がお好みで」

「お前は違うのか?」

「私はどちらかと申しますと、対照的な者が」

「ほお。ではエスティナはどうだ?」

「彼女はとても聡明で、魅力溢れる者です。多くの者に好意を抱かれるでしょう。ですが、やはり感情に流される部分があります」

「ふむ。お前の好みは難しいな」

「私は困難な使命を成し遂げる事に幸福を見いだしていますので。それに、太古の時代から、如何なる者も恋という呪いに悩まされると言いますから。あまり近寄りたくはないのです」

「太古の呪いという困難を、克服しようとは思わないんだな?」

「今は手一杯ですので、申し上げられる事はありません」

「フフ、そうだな。リーウィア、もう落ち着け」

「ハァハァ♡ リーケン様♡ 私…いえ、リーウィアは…魂が破裂しそうです」

「それは困る。お前には成し遂げてもらいたい事がある」

「ハァハァ。な、なんなりと」

「一先ず落ち着いてたから今後の事を伝える」


「師よ。先程の話で思い出したのですが」

「聞こう」

「4人の内、1人に含まれる者に、その手の専門家がおりまして」

「それは冗談か?」

「いいえ」

「ほお、そいつは今どこに?」

「リーケン様、それはよした方が宜しいかと」

「リーウィアも知っているのか?」

「勿論です。嫌な記憶は悔しいですが、鮮明です」

「私は早期に迎え入れるべきかと」

「裏切り者!」ニオスを強く指差すリーウィア「仲悪かったじゃない!」

「勿論。お前と同じ考えだ」

「だったら…」

「だが大局を見据えるのに、私情を挟むべきではない」

「ホント、何も変わってない。魂までカチコチなんだから」

「どこかに閉じ込められてでもいるのか?」

「ある意味では。恐らく、我々と同じでしょう。強い力の気配は付近にあり、そう遠くはありません。確証はまだですが」

「ここへ来る途中、強大な力を持ったドラゴンに会った」

「はい。把握しております」

「ああ…すまないなニオス。本調子ではないんだ。こうも小出しだとお前も困るだろう」

「いえ、予定外は付き物ですから」リーウィアをじっと見つめるニオス「行きましょう」

「良い付き物もあるわよね」

「程度による」

「ンフフ、それは分からんでもないな」

「うぅ……リ、リーケン様まで」涙目になるリーウィア。

「冗談だ」

「吸血鬼の身でも、私も1人の女です。うぅ……」

「俺は強い女の方が好きだ」

顔を上げるリーウィア「リーウィアは気にしていません! いえ、少し気にしていますけど、今は平気です!」

「リーウィア、眷属はいるのか?」

「勿論です!」

「ならいつでも戦えるように、連れて来ておいてくれ」

「分かりました!」

リーウィアが眷属を呼びに向かう。

「ベースの場所は……」

リーウィアは一瞬で行ってしまった。

「ふー」

「リーウィアは強力な吸血鬼です。きっと師の役に立つ事でしょう」

「そうだな。でなければ困る。アガレスは今までで、最も手強い相手になるだろう」



──ロクスソルス郊外、洞窟。


「師よ、こちらです」

「ああ」

「リーケン、話がある」

エスティナが腕を組み、壁にもたれ掛かっている。

「後だ」


「おい! 早くここから出してくれ!」

「マーラ、手伝って」

「任せて」

「メトゥス、これを持っていってやれ」

「キュル」


ハイエルフの男と戦ったフロアへ。


様々な格好をした数多くの異なる種族達が集い、それぞれのグループごとに談笑していた。

「おお、ようやくお出ましか」

一番近くにいた黒いローブを着たグループが見てくる。

「普通のリッヂじゃない」

「それはまだ分からんだろう。用心しなくては」

「分かるでしょ。異様よ。ああ、なんて素晴らしい」


先へ進む。

種族達の談笑が聞こえてくる。


茶色い重装鎧に身を包んだドワーフの男2人が談笑をしている。

「レイエス、俺は膝の調子が悪いんだ。

「ハチミツ酒を飲め! すぐに元気になるぞ!」

「まったくお前はいつもそれだ」


弓を背負ったウッドエルフの女と男が談笑をしている。

「フリーカンパニーのノーム連中が、お前の弓を見て笑ってたぞ。この間のグリフィン狩りで潤ってるだろ。何故クロスボウに変えない?」

「オーレン、それはあんたに「魔法の訓練をしないの」っていうのと同じよ」


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