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「なかなかにインパクトのある言葉だ。何かに掛かっているんじゃないのか?」
「可能性はありますね。最悪寄生虫など」
「ニオス、それは俺への侮辱も入っていないか?」
「言葉が過ぎました。お許しを。苦手なもので」
「ンフ (了承)」
「寄生虫の可能性なんてないわよ! リーケン様、リーウィアの愛は本物です。伝わったかと」
祈るように手を合わせ、目を輝かせながら見つめてくるリーウィア。
「いい意味でも悪い意味でも、確かに伝わった。以前に会った事はあるのだよな?」
「勿論です!」
「それは、互いに良い関係だったという事か?」
「あぁん……私も長い眠りから覚めたばかりですので…その辺の記憶はまだ曖昧と言いますか…その…」
「最良の関係を築くのに、嘘から始まっては、師も困るでしょう?」
「ふむ」
「あんたに言われなくても分かってるわよ」歯を食いしばり言葉を放つリーウィア「んんっ、リーケン様、嘘をつくつもりなんて、微塵もありませんでした。ただ少し…愛故に心が揺れ、動揺してしまっただけです」
「時には嘘も必要だからな」
「はい! 理解して下さると思っていました。ああ♡」
「それで、結局どうなんだ?」
顔を背けるリーウィア「んっ……その…私を…酷く毛嫌い為さっていました」
「そうか。理解はできる」
「うっ……」
「お前の先の言動を見てれば、普通はそう思うだろう。思わない方がおかしい。そう思うだろう?」
「は、はい……」
「だがそれなのに、さっきは俺と再会して随分と嬉しそうだったな」
「も、勿論です……。リーウィアはリーケン様の事を愛していますので……」
容姿や魂にはまったく興味を惹かれないが、随分と長い間、俺の事を想ってくれていた。
その事にはどこか…心揺さぶられるものがある。しかも蔑まれていたにも拘らず。
これほどの愛を見せられては、何も感じずにはいられないな。
この感情は黙っておくべきか。正直に伝えておくべきか。
だがここで期待を持たせ、後で悲しませる事になってしまった場合、あまりにも残酷だ。だが伝えないのは、もどかしい。
新たな視点で、もう一度リーウィアと向き合うのもいいかもしれない。
立ち止まる。
【⇄】共感♡、拒絶✕。
「リーウィア、嬉しいぞ」
すぐに振り向くリーウィア。
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。だが、俺には想い人がいたようなんだ。今はお前に惹かれているが、これから記憶が戻った時に、どう変化するかは自分ですら分からない。それらしきものは青い瞳に……」
リーウィアは口を開けたまま、あまり動揺はしていないようだ。
「私の事をリーケン様が……う、嘘!? うそうそうそうそうそ、アァーーーーー!!!!」
狂喜乱舞なリーウィア。
「まだ話は……」
「アァン♡ ウゥーーーー!! キャーーーー!!!!」
翼を生やし、両手で頬を押さえ、全身から青黒い血を垂れ流すリーウィア。
「師よ。本当に良かったのですか?」
「ニオス。良いも悪いも、本心を伝えただけだ」
「佐用で」
「それに、よく見ると可愛いだろ?」
リーウィアの溜め込んだ血飛沫が飛び散ってくる。
「感情豊かな者がお好みで」
「お前は違うのか?」
「私はどちらかと申しますと、対照的な者が」
「ほお。ではエスティナはどうだ?」
「彼女はとても聡明で、魅力溢れる者です。多くの者に好意を抱かれるでしょう。ですが、やはり感情に流される部分があります」
「ふむ。お前の好みは難しいな」
「私は困難な使命を成し遂げる事に幸福を見いだしていますので。それに、太古の時代から、如何なる者も恋という呪いに悩まされると言いますから。あまり近寄りたくはないのです」
「太古の呪いという困難を、克服しようとは思わないんだな?」
「今は手一杯ですので、申し上げられる事はありません」
「フフ、そうだな。リーウィア、もう落ち着け」
「ハァハァ♡ リーケン様♡ 私…いえ、リーウィアは…魂が破裂しそうです」
「それは困る。お前には成し遂げてもらいたい事がある」
「ハァハァ。な、なんなりと」
「一先ず落ち着いてたから今後の事を伝える」
「師よ。先程の話で思い出したのですが」
「聞こう」
「4人の内、1人に含まれる者に、その手の専門家がおりまして」
「それは冗談か?」
「いいえ」
「ほお、そいつは今どこに?」
「リーケン様、それはよした方が宜しいかと」
「リーウィアも知っているのか?」
「勿論です。嫌な記憶は悔しいですが、鮮明です」
「私は早期に迎え入れるべきかと」
「裏切り者!」ニオスを強く指差すリーウィア「仲悪かったじゃない!」
「勿論。お前と同じ考えだ」
「だったら…」
「だが大局を見据えるのに、私情を挟むべきではない」
「ホント、何も変わってない。魂までカチコチなんだから」
「どこかに閉じ込められてでもいるのか?」
「ある意味では。恐らく、我々と同じでしょう。強い力の気配は付近にあり、そう遠くはありません。確証はまだですが」
「ここへ来る途中、強大な力を持ったドラゴンに会った」
「はい。把握しております」
「ああ…すまないなニオス。本調子ではないんだ。こうも小出しだとお前も困るだろう」
「いえ、予定外は付き物ですから」リーウィアをじっと見つめるニオス「行きましょう」
「良い付き物もあるわよね」
「程度による」
「ンフフ、それは分からんでもないな」
「うぅ……リ、リーケン様まで」涙目になるリーウィア。
「冗談だ」
「吸血鬼の身でも、私も1人の女です。うぅ……」
「俺は強い女の方が好きだ」
顔を上げるリーウィア「リーウィアは気にしていません! いえ、少し気にしていますけど、今は平気です!」
「リーウィア、眷属はいるのか?」
「勿論です!」
「ならいつでも戦えるように、連れて来ておいてくれ」
「分かりました!」
リーウィアが眷属を呼びに向かう。
「ベースの場所は……」
リーウィアは一瞬で行ってしまった。
「ふー」
「リーウィアは強力な吸血鬼です。きっと師の役に立つ事でしょう」
「そうだな。でなければ困る。アガレスは今までで、最も手強い相手になるだろう」
──ロクスソルス郊外、洞窟。
「師よ、こちらです」
「ああ」
「リーケン、話がある」
エスティナが腕を組み、壁にもたれ掛かっている。
「後だ」
「おい! 早くここから出してくれ!」
「マーラ、手伝って」
「任せて」
「メトゥス、これを持っていってやれ」
「キュル」
ハイエルフの男と戦ったフロアへ。
様々な格好をした数多くの異なる種族達が集い、それぞれのグループごとに談笑していた。
「おお、ようやくお出ましか」
一番近くにいた黒いローブを着たグループが見てくる。
「普通のリッヂじゃない」
「それはまだ分からんだろう。用心しなくては」
「分かるでしょ。異様よ。ああ、なんて素晴らしい」
先へ進む。
種族達の談笑が聞こえてくる。
茶色い重装鎧に身を包んだドワーフの男2人が談笑をしている。
「レイエス、俺は膝の調子が悪いんだ。
「ハチミツ酒を飲め! すぐに元気になるぞ!」
「まったくお前はいつもそれだ」
弓を背負ったウッドエルフの女と男が談笑をしている。
「フリーカンパニーのノーム連中が、お前の弓を見て笑ってたぞ。この間のグリフィン狩りで潤ってるだろ。何故クロスボウに変えない?」
「オーレン、それはあんたに「魔法の訓練をしないの」っていうのと同じよ」




