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ヴォイドの呼び声Ⅰ虚無の跫音  作者: 逆立ちハムスター


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103

抑制できなくなった新たな力を解き放つ。

「ア゙ァ゙!」

自身を軸に、領空を突き抜ける死の火柱立つ。火の色がおかしい。死霊色の緑ではなく、光輝色のように黄色く光り輝いている。

「ギュル!?」

メトゥスが光を避け俺の背後に身を隠す。

「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!」

シャドウウォーカー達が悲鳴を上げ遠ざかっていく。

マーラ達に合流する。

マーラは険しい表情を浮かべていたが、すぐに消し去った。

「無事で良かった」

静かに頷く。

シャドウウォーカーに毒液を放ち遠ざけていたイエナが振り向く。

「早く行きましょう!」

「ああ」

俺をじっと見つめるマーラの側を通り過ぎ、先へ進む。

「キュル……(負傷)」側に来たメトゥスの触手が少し焦げていた。死の活力を放ち、メトゥスの触手を治癒する。


シャドウウォーカーの群衆を抜け、キノコの群生地帯まで戻ってきた。

体色の薄いシャドウウォーカー達がキノコの影から静かに見つめてくる。


「何か、におうな」

「血のにおい?」

「いいや。これは焦土の……待ち伏せだ!」

だが気付くのが遅かった。

身構える暇もなく、顔面を地面に打ち付けられた。煮えたぎる熱を帯びた手が頭部を掴み、何度も地面に打ち付けられる。鈍痛と共にテネブラエの闇の土が視界を覆っていく。


マーラの悶える声やイエナの叫び声。ボーンゴーレム、メトゥス、セバスティアンらの咆哮も聞こえてくる。

「何を手間取っている!リッチごときさっさと潰せ!」

「聞いていた話と違うぞ!こいつはただのリッヂじゃない! まるで……ヌァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!」

死の抱擁を放ち、抑えつけているデーモンを遠ざける。魔力を頭部へ集約し、怯みたじろいでいたデーモンに死の光線を放つ。

死の光線がデーモンの体を焼き切り引き裂いた。

デーモンの腸と共に溶岩血が周囲へ飛び散っていく。飛び散った溶岩血が地面を焦がし、焦土へ変えていく。

驚愕した表情を浮かべていた側のデーモン2体が燃え盛る手で掴み掛かろうと襲い掛かってくる。透かさず2体のデーモンの胸を拳で突き破り、念動で動きを封じ燃え滾る心臓を握り潰す。

「「グハァァ!」」

痛みに悶えるデーモン達。

「よせぇぇ!!」

枯れた声で叫び散らすデーモン。

ソウルクラッシュを放ち、2体のデーモンの魂を握り潰す。

魂を潰すとデーモンの体が破裂し、粉々に飛び散っていく。

粉砕したデーモンの死霊魔力と魂を吸収する。

「あぁ! 力が漲る」


「はぁ…ディスコルディアよ…我に…永遠の炎を」

赤い半透明の霊魂が消滅していく。


死の活力を放ち治癒する。


「ヌア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!」

マーラがデーモンの腕に短剣を刺し、デーモンが叫び声を上げながら赤い土へと変わり果てていく。

透かさずマーラが別のデーモンの攻撃を躱し、腹へ短剣を突き刺していく。

「くそぉ゙ぉ゙!! 小娘がぁぁ!!」

短剣が刺さった部分が腐り、赤い土に変わり地面に落ちていく。

マーラはデーモンに周囲を取り囲まれつつも、酷く冷静に立ち回り対処している。

妙だな。それにあの短剣。


デーモンが赤く燃え滾る炎が宿る曲刀を振り降ろしてくる。

デーモンの攻撃を避け、顔面に死の火球を放つと同時に、念動で吹き飛ばす。


体がヘルファイアに包まれているデーモンが、炎を撒き散らしながら、マーラに絶えず攻撃を浴びせている。だがマーラは手練れているように容易に避け、デーモンの腕を斬り落とした。火の粉でマーラの腕に炎が燃え移ってしまったが、マーラは慌てる事なく自身の手を氷付けにし、上手く鎮火させていた。


マーラと目が合う。

今まで見た事のない目つきをしているマーラ。

互いに迫りくるデーモンの対処に戻る。


両手を掲げ、デーモンのヘルファイアを帯びた拳を障壁で防いでいたマーティン。

「うっ、くっ」

マーティンの障壁は溶岩が滴り覆い、亀裂が入り始めていた。

イエナが自然の報復を放つが焼き切られた。同時にデーモンの頭上から毒液を降らせていく。だがデーモンはワイルドファイアを上空へ放ち、毒液を蒸発させ消し飛ばした。


「ヌアァァァァ!!」

漲る力を両手に集約させ、念動でデーモンの首をへし折る。

「グハァァァァ!!」

へし折り切れたデーモンの頭部の目、鼻、口から溶岩血が飛び散り、胴体からは大量の溶岩液が垂れ流れ出る。

「イエナ!」

イエナがマーティンと共に転移する。

デーモンが死に際に放った炎の自爆でデーモンの胴体が爆発する。

飛散する火の粉を振り払う。


イエナが召喚したデススポアとアイスイエナがデーモンにやられ消滅していく。


死の光線で焼き切ったデーモンの肉体の再生が始まっていた。だがシャドウウォーカー達が群がり、こちらに気が付くと死体を運び逃げ出していく。周囲のあちこちでデーモンの死体に群がり始めるシャドウウォーカー。肉を貪る音を立てながらデーモンの肉体を食っていく。

ヘルへ帰還しようとするデーモンの魂を集約させ、ヘルクラッシュを放ち握り潰し死霊魔力と共に吸収していく

デーモンの死体が赤い土に変わると、シャドウウォーカー達は我に返ったようにキノコの群生帯へ姿を消していく。


離れた場所ではメトゥスが複数のデーモンをバラバラに片し終えていた。メトゥスは触手が燃えているが、地面に触手を叩きつけ鎮火させている。

ボーンゴーレムは1体しか確認できなかった。デーモンにやられたようだ。セバスティアの姿も見当たらない。

デーモンの奇襲を無事に凌げたようだ。


全身が酷く汚れたマーラが側まで来る。

マーラが周囲を軽く見渡している。

「はぁ、はぁ」

「平気か?」

「まあ、はぁ〜、なんとかね。あなたは?」

「見ての通り、問題ない」

「ふぅ〜、良かった。はぁ〜!」

「何か俺に、言ってない事はないか?」

周囲を何度も見回しているマーラの横顔は、どこか不満げに殺気立っていた。

マーラが勢いよく振り向いて目を合わせてくる。

「はん、別に」

マーラは離れ、残ったデーモンの死体へ向かって歩いていく。


ボーンゴーレムに指示を出し周囲を警戒させる。

「イエナ、マーティン大丈夫か?」

「大丈夫です」

「なんとか無事だよ。まったく生きた心地がしなかった。デーモンに捕まってたら今頃……あぁ、考えたくもない」

体を震わせる、両手で肩を擦るマーティン。


「ねえ!」小丘に立つマーラの元へ向かう。イエナとメトゥスも追従する「あれ見て」マーラが腕を組み頭で示す。


丘下の大地の先に、縁が赤い炎で燃え滾る2つのヘルゲートがテネブラエへと開かれていた。

ヘルゲートから3本角の大きなデーモンが全身を燃え滾らせ、盾、剣、鎧と黒い重装備の轟音を立て、ゲートを潜り抜けて来る。

3本角のデーモンに続き、全身を燃え滾らせた多数の黒い重装のデーモン達が次々と赤く燃える剣を両手に持ち、ゲートを抜けて来る。

「戦争でも始めるつもりか」

「軍隊なんて相手にできない」

「同感だ」

イエナとマーティンは顔を引きつらせ怯えているようだ。

恐らくあの3本角はバロルだな。どうやら奴を怒らせてしまったようだ。だがテネブラエなら好都合だ。奴だけはここで必ず始末しなければ。


「グア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!」

バロルがヘルバーストを放ち、巨大な爆発が起きる。

守護の障壁を放つ。

バロルの恐怖の咆哮を聞き、たじろぐイエナとマーティン。

衝撃波の突風が駆け抜けていき、群生するキノコを次々と吹き飛ばしていく。

突風がこちらの側を駆け抜けていき、地面の土を抉り、巻き上げていく。

バロルの周囲一帯がヘルの赤い炎で包まれ、一帯をヘルの環境に変えた。


燃え滾る炎を全身に浴び続け、活性化し始めたデーモン達は両手に持つ曲刀を頭上で弾き鳴らし始めた。

だがデーモン達の一部がこちらとは別の方角を向き、たじろいでいた。

デーモン達の視線の先に目をやると、黒い靄に包まれ、黒い稲妻が走る巨大な物体が足音で大地を揺らし、デーモンの方へ向かってゆっくりと歩いていく。

靄が薄まり始め、頭部が次第に見えてくる。

巨大な四足の巨影が遠方の丘を越え、姿を現した。

グレイトシャドウウォーカーか。

グレイトシャドウウォーカーが咆哮を上げ、大きく開いた口にエネルギー集約させていき、青黒いブレスを放った。


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