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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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120/125

120.

 カニの残骸が散乱するホールで、人間形態(少女の姿)に戻ったキャンピーに対し、へたり込んでいた冒険者たちが深々と頭を下げた。


「ああ、聖女様! お助けいただき、本当にありがとうございました!」


「コクッ!」


 キャンピーは照れくさそうにえへへと微笑み、純真無垢な笑顔で頷いた。

 その光景を見て、テンコがギリッと牙を鳴らす。


「むきーっ! 助けたのは我が主であるスミコーーもがもがっ!?」


「いいの! 言わなくていいの!」


 私は慌ててテンコの口を両手で塞いだ。

 ふんすふんすと鼻息を荒くするテンコを羽交い締めにしながら、私は冷や汗を拭う。


 よみがえる、過去の面倒事の数々。

 人を救うと、こうやって変に感謝されて信者化し、町に残ってくれと引き留められるのがオチなのだ。

 だから、キャンピーが身代わりに聖女として祭り上げられている今の状況は、ぶっちゃけ私にとって好都合だった。


「ていうか、ちょっと待って」


 私は虚空に向かってジト目を向けた。


「真理。あんた、自分が神様として崇められるのが面倒になったからって、その役割をキャンピーに押し付けてない?」


『シャラップ! 細かいこと気にする女子はモテないよぉ!?』


 図星だったらしく、ウザいギャル神がものすごい勢いで誤魔化してきた。


「うっ、痛てぇっ」


 突然、冒険者の一人が呻き声を上げた。

 見ると、腕や足から血を流している。さっきのカニのハサミでやられたらしい。


「誰か、回復魔法を使える者はいないか!?」


「ダメだ、神官はさっき気絶しちまって!」


 冒険者たちが顔を青くして騒ぎ始めた。

 回復かぁ。できるだろうか。


 私は自分のステータス画面を思い浮かべるが、私の固有スキルは【野外活動】だ。

 火を起こしたりテントを張ったりはできても、他者の傷を治すような高等魔法は使えない。

 テンコは言わずもがな。食べるか蹴るかしかできないし、ソーちゃんに至っては私の腕の中でヘソ天になって爆睡している。


「どうしよう、ポーションの持ち合わせもないし」


 私が焦っていると、少女姿のキャンピーがスッと前へ出た。

 心配そうに眉を下げ、怪我人を助けたいと必死に願うようにお祈りのポーズをする。


 カチッ。


 キャンピーが両手を頭の横に掲げた。


 チッカ、チッカ、チッカ、チッカ。


 なんと、キャンピーの両手と、頭のアホ毛が、オレンジ色の光を放って点滅し始めたのだ。

 ハザードランプだ。


 なぜ少女の姿で路上駐車の合図を焚くのかと思った瞬間、そのオレンジ色の光が、温かな波動となって冒険者たちを包み込んだ。


「な、なんだこれ!?」


「おおお! 傷が、傷が塞がっていくぞ!」


 驚くべきことに、オレンジの光を浴びた冒険者たちの怪我が、みるみるうちに完治していくではないか。

 私は目を限界まで見開き、盛大にのけぞった。


「おおー! ハザードランプにそんな力が!」


「って、ないから! 絶対ないから!」


 自分でボケて自分でツッコむという、高度な一人芝居をかましてしまう。

 すると、スピーカーから真理の得意げなボイスが響いた。


『ジャジャーン! これぞ、キャンピーちゃんの新機能! |死の危険を退ける聖なるハザード・ランプだよぉ! すごっ、マジ尊い!』


「もー! なんでもありだな!」


 私はガックリと項垂れ、そのまま床に崩れ落ちた。

 キャンピングカーの概念が、音を立てて崩れ去っていくのを感じていた。

【おしらせ】

※4/20


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― 新着の感想 ―
>キャンピングカーの概念が、音を立てて崩れ去っていくのを感じていた。 ハイビームの時点から絶賛崩壊中でしたがなにか?
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