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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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119/124

119.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 スモールモードになったキャンピーは、まるでおもちゃのチョロQのような軽快さで、湿った石造りの迷宮を爆走していた。

 車内は相変わらず、高級ホテルのラウンジのような快適さだ。


『ハイハイハーイ! この先、右に曲がるとぉ、お目当ての「赤い点」ちゃんがいまーす! マジでアタシのナビ、神すぎてウケるんだけど!』


 車内スピーカーから、真理のキンキン響く高い声が流れる。

 私はハンドルを握りしめ、眉間を押さえてガックリと項垂れた。


「うるさい……。耳元でマカロンとか食べながら喋ってそうなテンションやめて……」


「スミコ、やはりこのウザい女を口封じすべきです! 妾の通訳ポジションを返せなのです!」


 後部座席でテンコがふさふさの尻尾をブワッと膨らませ、地団駄を踏んでいる。

 もはや誰と戦っているのかわからない。


 キャンピーが角を曲がると、急に視界が開けた。

 そこは、天井の高い広大なホールになっていた。


「あ、いた!」


 ホールの中心、禍々しい石像が並ぶエリアで、数人の冒険者たちが絶体絶命のピンチに陥っていた。

 足元からは無数の槍が飛び出すトラップが作動し、周囲を巨大なカニの化け物——「シザーズ・クラブ」の群れに囲まれている。


「ひ、ひぃぃぃ! もうダメだ、食われるぅ!」

「聖女様、助けてくれぇぇぇ!」


 昨日ギルドでキャンピーを拝んでいたおじさんたちだ。

 必死に剣を振るっているが、カニの硬い殻に弾き返され、涙目で腰を抜かしている。


「よし、キャンピー! 助けるよ! えーと、スキル……ぶっ殺し光線はガソリン代が高いから、ええい、そのまま突っ込め!」


「…………ビシィッ!」


 キャンピーは力強くクラクションを鳴らし、一気にアクセルを全開にした。

 スモールサイズとはいえ、その馬力はチート級だ。


 ブロロロロロロロロ……ッ!!


「ちょ、ちょ待っ、スミコ!? ひき逃げ……いや、ひき殺しスタイルですか!?」


 テンコの驚愕の声を置き去りにして、キャンピーは猛スピードでカニの群れへと突っ込んでいった。


 バキバキッ! メキメキィッ!


「ぎゃああああああああ!?」


 悲鳴を上げたのはカニの方だった。

 キャンピーの頑丈なフロントバンパーが、岩石のようなカニの甲羅を、まるでお煎餅でも砕くかのように粉砕していく。


 ドゴォッ! バシャッ!


 一匹、また一匹と、高級食材カニが次々とキャンピーのタイヤに踏み潰され、綺麗なカニミソをブチ撒けながら吹っ飛んでいく。

 もはや戦闘というより、ただの「交通災害」である。


『アハハッ! マジウケる! カニさんたちがペシャンコだよぉ! はい、右から来たカニ、バイバーイ!』


 真理がノリノリで実況を始める中、キャンピーはさらに華麗なドリフトを決め、残ったカニたちを次々と撥ね飛ばしていった。


「ウォッシャー液、噴射ぁ!」


 私がボタンを押すと、フロントガラスから聖水混じりの洗浄液が勢いよく噴き出した。

 それがカニの目に染みたのか、魔物たちは「アブブブブッ!?」と泡を吹いて悶絶し、そこをキャンピーのタイヤが容赦なく通過する。


「……キャンピー、お前、意外とえげつないな」


「…………(ドヤァ)」


 キャンピーは誇らしげにワイパーを動かし、フロントガラスについたカニミソをサッと拭き取った。


 ようやく静かになったホール。

 そこには、呆然と立ち尽くす冒険者たちと、ひき肉ならぬ「ひきカニ」の山が残されていた。


「た、助かった……のか?」

「聖女様の……馬車? 馬車が魔物を轢き殺したぞ……」


 冒険者たちがガクガクと震えながら、スモールキャンピーを仰ぎ見る。


「ほら、テンコ。カニだよ。食べ放題だよ」


 私が声をかけると、テンコは引きつった笑顔で、潰れたカニの足を拾い上げた。


「……スミコ。妾、これほど食欲のわかない馳走は初めてなのです。ひき逃げはいけません、ひき逃げは」


「倒せばよかろうなのだ!」


 私は勢いよくガバッと背中のけぞり、勝利のポーズを決めた。


『いやー、マジで最高! アタシもあんな風に轢かれてみたいかもぉ! ……あ、嘘。それは痛いからパス! キャハッ!』


 真理のウザい笑い声が、静まり返ったダンジョンに虚しく響き渡っていた。


【おしらせ】

※4/20


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