118.
『はーい注目ぅ! この海のダンジョンちゃんにはねぇ、最下層にダンジョン・コアって呼ばれる核があるの! それをドカーンとぶっ壊せば、この迷宮ごとバーンって消滅しちゃうんだからっ!』
車内スピーカーから、真理がやたらと高いテンションで解説を始めた。
「なるほど。最下層を目指して進めばいいんだね」
『そゆこと! ちなみにアタシもぉ、その最下層に封印されちゃってるわけ!』
「目的がばらけてなくて、すごく楽だね」
『大人の事情、もとい、物語上の都合ってやつでーす! キャハッ!』
「お前は何を言っているの!?」
私は激しく背中のけぞり、渾身のツッコミを入れた。
相変わらず、この自称神様はメタ発言が多い上にめちゃくちゃウザい。
ふと後部座席を見ると、テンコがぷくっと両頬を膨らませて不服そうな顔をしていた。
ふさふさの尻尾も、床にだらんと力なく落ちている。
「どったの? 急に機嫌悪くして」
「解説役は、この妾のポジションだったはずなのです」
「は? いつあんたがそんなことしてたし!」
私は呆れ果てて、ガックリと項垂れた。
「あんたのポジションは、どっちかというとグルメ担当でしょ。食べる専門の」
「む。たしかに。食レポならば、妾の右に出る者はおりません。リポーター向きですかね、妾。ふふん」
テンコはあっさりと機嫌を直し、ふんすっと胸を張ってドヤ顔を決めた。
パタパタと尻尾を嬉しそうに揺らしている。
その割には「美味!」とか「馳走!」しか言わない貧困な語彙力だけどね。
私は心の中で密かに毒を吐いた。
ぷっぷー!
突然、キャンピーが鋭いクラクションを鳴らした。
「どったの、キャンピー?」
私がフロントパネルを見ると、カーナビの暗い画面に赤い点が一つ、ポツンと点滅していた。
「なにこれ?」
『あーっ! それね! 前方に人の気配があるみたいだよぉ! いやん、アタシってばマジ優秀なナビ!』
真理が車内スピーカーから、ギャルのようなウザい声で即座に答える。
「キャンピー殿の通訳も、妾の仕事だったのに! このウザい女が出てきてから、妾の仕事が取られっぱなしなのです!」
テンコが再びふさふさの尻尾を逆立て、スピーカーに向かって牙を剥いた。
悔しそうに後部座席で地団駄を踏んでいる。
そもそも、あんた最初からまともに仕事してたかな。
私は再びガックリと膝から崩れ落ち、この騒がしい車内で頭を抱えるのだった。
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