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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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118/126

118.

『はーい注目ぅ! この海のダンジョンちゃんにはねぇ、最下層にダンジョン・コアって呼ばれる核があるの! それをドカーンとぶっ壊せば、この迷宮ごとバーンって消滅しちゃうんだからっ!』


 車内スピーカーから、真理がやたらと高いテンションで解説を始めた。


「なるほど。最下層を目指して進めばいいんだね」


『そゆこと! ちなみにアタシもぉ、その最下層に封印されちゃってるわけ!』


「目的がばらけてなくて、すごく楽だね」


『大人の事情、もとい、物語上の都合ってやつでーす! キャハッ!』


「お前は何を言っているの!?」


 私は激しく背中のけぞり、渾身のツッコミを入れた。

 相変わらず、この自称神様はメタ発言が多い上にめちゃくちゃウザい。


 ふと後部座席を見ると、テンコがぷくっと両頬を膨らませて不服そうな顔をしていた。

 ふさふさの尻尾も、床にだらんと力なく落ちている。


「どったの? 急に機嫌悪くして」


「解説役は、この妾のポジションだったはずなのです」


「は? いつあんたがそんなことしてたし!」


 私は呆れ果てて、ガックリと項垂れた。


「あんたのポジションは、どっちかというとグルメ担当でしょ。食べる専門の」


「む。たしかに。食レポならば、妾の右に出る者はおりません。リポーター向きですかね、妾。ふふん」


 テンコはあっさりと機嫌を直し、ふんすっと胸を張ってドヤ顔を決めた。

 パタパタと尻尾を嬉しそうに揺らしている。


 その割には「美味!」とか「馳走!」しか言わない貧困な語彙力だけどね。

 私は心の中で密かに毒を吐いた。


 ぷっぷー!


 突然、キャンピーが鋭いクラクションを鳴らした。


「どったの、キャンピー?」


 私がフロントパネルを見ると、カーナビの暗い画面に赤い点が一つ、ポツンと点滅していた。


「なにこれ?」


『あーっ! それね! 前方に人の気配があるみたいだよぉ! いやん、アタシってばマジ優秀なナビ!』


 真理が車内スピーカーから、ギャルのようなウザい声で即座に答える。


「キャンピー殿の通訳も、妾の仕事だったのに! このウザい女が出てきてから、妾の仕事が取られっぱなしなのです!」


 テンコが再びふさふさの尻尾を逆立て、スピーカーに向かって牙を剥いた。

 悔しそうに後部座席で地団駄を踏んでいる。


 そもそも、あんた最初からまともに仕事してたかな。

 私は再びガックリと膝から崩れ落ち、この騒がしい車内で頭を抱えるのだった。


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