116.
神殿の入り口を潜ろうとしたところで、私はふと足を止めた。
隣を歩くキャンピーの人間形態を見る。
「いや、ちょっと待って。まさかキャンピングカーの姿でダンジョン探索は無理ゲーだよね」
私は腕を組み、薄暗い石造りの通路を見つめた。
いくらチートなキャンピーとはいえ、ここは入り組んだ迷宮だ。車幅的にどう考えてもつっかえる。
ドンッっ!
突然、キャンピーが力強く自分の胸を叩いた。
そして、眩い光に包まれたかと思うと、一瞬にして巨大な真っ白のキャンピングカーへと変身したのだ。
任せておけと言わんばかりの堂々としたフォルムである。
「おお! いけるの!? よし、信じて乗るよ。しゅっぱーつ!」
私は運転席に飛び乗り、神獣たちも後部座席に乗り込んだ。
ブロロロロロッ!
キャンピーは滑るように通路を進み始めた。
車内は冷房が効いていて、揺れも一切ない。
ソファに深く腰掛けたテンコが、ふさふさの尻尾をパタパタと振りながらおにぎりを頬張っている。
「ふむ。極めて快適です。これならいくらでも探索できそうですね」
「おいしー!」
ソーちゃんも短い手足をバタバタさせて喜んでいる。
ダンジョン探索とは思えないリラックス空間だ。
ピタッ。
突然、タイヤが止まり、キャンピーが停止した。
「どったの? 急に止まって」
私はフロントガラス越しに前方を確認した。
そこには、徐々に狭まっていく通路の突き当たりがあった。
どう見ても、キャンピングカーの車幅では通り抜けられないサイズだ。
「ありゃま。物理的に狭くて通れないね」
私はガックリと項垂れた。
「まーしゃーないね。やっぱり車でダンジョン探索なんて無茶だったんだよ。一旦外に出て、徒歩で」
ブルブルブルブルッ!
言いかけた私の言葉を遮るように、キャンピーの車体が激しく震え出した。
マッサージチェアの最大モードでも食らっているかのような激しい振動だ。
「おや? キャンピーの様子が?」
私は車内のモニターに目をやった。
外に飛ばしているドローンからの映像が映し出されている。
そこには、信じられない光景が広がっていた。
巨大なキャンピングカーが、ぐんぐんと小さくなっているのだっ!
「ええー!? ど、どないなっとんねん!?」
あまりの怪奇現象に、私は椅子からのけぞって絶叫した。
みるみるうちに壁との隙間が広がり、最終的には軽自動車よりも一回り小さいサイズにまで凝縮されていく。
『ふははは! おめでとう! キャンピーは今、スモールキャンピーにしんかしたよ!』
車内スピーカーから、真理の得意げな声が響き渡った。
「なんなんそれ!?」
私はハンドルを握りしめたまま、信じられない思いでツッコミを入れたのだった。
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