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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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115/118

115.

 キャンピーは反重力機能で海面を滑るように進み、あっという間に海の神殿——『海のダンジョン』の入り口へと到達した。

 ザザーッ、と波が神殿の基部にぶつかり、真っ白な飛沫が舞い上がる。

 潮の香りが一段と濃くなり、古い石造りの建物特有の、湿り気を帯びた冷たい空気が流れ込んできた。


 入り口の大きな石門の前には、うっすらと青白い光の膜が張られている。


「普通のダンジョンは、不法侵入を防ぐために出入り口にバリアが張ってあるらしいけど。ここも御多分に洩れず、って感じだね」


 私がハンドルを握りながら独り言を漏らした、その時だった。


『ふはははは! よくぞ参った、導かれし者たちよ!』


 突然、車内全体に響き渡るような、やけに尊大な声が聞こえてきた。

 どこから聞こえるのか、スピーカーを通したような、それでいて直接脳内に響くような不思議な感覚。


「な、何この声!?」

「きゅいきゅいーっ!」


 ソーちゃんが驚いて私の頭にしがみつき、テンコもふさふさの尻尾を逆立てて周囲を警戒する。


『ふははは、驚くことはない。我こそは「真理」。この地の守り神的サムシングであーる!』


「真理……? 守り神的サムシング?」


 私は露骨に嫌そうな顔をして、ガックリと項垂れた。

 名前からして胡散臭いし、語尾の「あーる」が絶望的に怪しさを加速させている。


『はぁ……。それで、そのサムシング様が私たちに何の用?』


『ふむ。殊勝な態度ではないか。特別に任務を与えよう。実はな、我はこのダンジョンの最奥に閉じ込められておるのだ。我を解放してほしい。その暁には、攻略のアドバイスを色々してあげまっする!』


「……あやしすぎでしょ。誰が助けるか」


 私は即座にアクセルを踏み込もうとした。

 見ず知らずの、自称神様なんてろくなもんじゃない。

 だいたい「アドバイスしてあげまっする」とか言っている奴が、まともな神のわけがない。


『わわわっ、ちょっと待て! ガイド、ガイド欲しくねーすか!? このダンジョン、結構複雑だぞ!?』


「いらん。私には【鑑定】スキルがあるから、道順もギミックも全部自分でわかるし」


『わわわわ……まってー! お願い助けてー! もう何百年も一人で寂しいのー! 誰も来てくれないのー!』


 さっきまでの尊大な態度はどこへやら、声の主は泣き落としにかかってきた。

 必死すぎて、もはや威厳の欠片もない。


「…………」


 ふと隣を見ると、人間姿のキャンピーが、潤んだ瞳でじーっと私を見つめていた。

 小首を傾げ、服の裾をギュッと掴んでくる。

 どうやら、あまりの必死さに同情してしまったらしい。


「……わかった、わかったよ。そんな目で見ないで」


 私は観念して、大きく両手を挙げてのけぞった。

 相棒にこんな顔をされては、断れるわけがない。


『わーい! 話がわかるではないか! 恩に着るぞ、キャンピングカー聖女!』


「キャンピングカー聖女って言うな! ……はぁ、行くよ、野郎ども!」


 私の号令と共に、キャンピーがバリアを突き抜けて神殿の中へと走り出した。

 謎の自称神様「真理」を救出するため、私たちは得体の知れないダンジョンへと足を踏み入れたのだった。


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※4/6(月)


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>『ふははは、驚くことはない。我こそは「真理」。この地の守り神的サムシングであーる!』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 何やっとんじゃこのポン…
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