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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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114/118

114.

「スミコ、ご飯を。早く妾にご飯を……」


 テンコが私の足元にすがりつき、腹を空かせてジタバタと暴れている。

 あんまりうるさいと、口にハイオクを突っ込んでやろうか。


 私は大きなため息を吐き、虚空にKAmizonの画面を呼び出した。

 ポチッと注文を済ませ、足元に届いた段ボールから商品を取り出す。


「ほら、おにぎり」

「おにぎり……? はぁああああ……」


 テンコは露骨に肩を落とし、ぷくっと両頬を膨らませた。


「はいはい。妾は美食家、なんでしょ。でもどうせこれ食べて『美味』って言うんでしょ」

「そんな安っぽい舌はしていません。早くちゃんとした馳走を……」


 ぶつぶつと文句を言うテンコを放置して、私は相棒に声をかけた。


「キャンピー、キャンピングカーモードに戻って。反重力機能で、海面を走ってダンジョンまで行くよ」

「…………ビシィッ!」


 キャンピー(少女形態)が力強く敬礼をした。

 直後、眩い光と共に彼女の姿が巨大な白い車体へと変化する。


「おおお! 聖女様が変身なされたぞ!」

「なんという白さ! 神々しいお姿だ!」


 背後で、冒険者たちが一斉に地面に平伏して祈り始めた。

 キャンピングカーのどこが神々しいのだろうか。

 私は呆れてガックリと項垂れた。


「むー! スミコー! 馳走をー!」


 横でテンコがふさふさの尻尾を振り回し、騒ぎ続けている。

 私はおにぎりのフィルムを手早く剥がした。

 パリッという小気味良い音と共に、香ばしい磯の香りと、ほかほかの銀シャリの匂いが広がる。


「はい、食べて」

「むぐっ!」


 私は大きく口を開けているテンコの鼻先に、おにぎりを差し出した。

 テンコは器用に直接口で咥え込み、モグモグと咀嚼する。

 次の瞬間、テンコの動きがピタリと止まった。


「び、美味ー!」


 テンコはあまりの衝撃にガバッと背中のけぞり、目をキラキラと輝かせた。

 ほら見ろ。どうせそうなると思った。


「はいはい。じゃあ、しゅっぱつしんこー!」


 私は満足げな神獣たちを後部座席に押し込み、運転席に乗り込んだ。

 アクセルを踏み込むと、キャンピーはふわりと宙に浮き、荒波の立つ海面を滑るように走り出した。

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※4/6(月)


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