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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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113/117

113.

 案内されてやってきたのは、港のすぐ外れにある海岸だった。

 ざざーっと波の音が鳴り響き、濃密な潮の香りが鼻腔をくすぐる。


「あそこが海のダンジョンです!」


 町長が震える指で海の彼方を指差した。

 私は目を丸くした。

 なんと海の上に、禍々しい石造りの神殿がポツンと浮かんでいるのだ。


「海の上にあるのね。あらま」


 私が呑気に呟いていると、背後から凄まじい怒号が聞こえてきた。


「我らが聖女、キャンピー様をお守りしろ!」

「ウオオオオオオオッ!」


 振り返ると、町中の冒険者や野次馬たちが大挙して押し寄せていた。

 完全武装した屈強な男たちが、キャンピーの周囲をぎっしりと取り囲んでいる。

 男たちの熱気とむさ苦しい汗の匂いが、むわっと押し寄せてきた。


「うーん、邪魔」


 私は露骨に顔をしかめた。

 ただでさえ目立ちたくないのに、これでは大名行列である。


 ざばぁぁぁぁぁぁっ!


 突然、鼓膜を劈く轟音と共に海面が爆発したように弾け飛んだ。

 冷たい水しぶきがザザーッと降り注ぎ、肌を粟立たせる。

 波の間から姿を現したのは、青く輝く鱗に覆われた巨大な海蛇だった。


「ひぃぃぃっ! 海魔蛇リヴァイアサンだぁぁぁっ!」


 冒険者たちが悲鳴を上げて腰を抜かす。


「コクッ!」


 キャンピー(少女形態)が無言で鋭く頷き、一歩前に出た。

 手に青白い光をチャージし始める。


「まてまてまてーいっ!」


 私は慌ててキャンピーに飛びつき、砲塔を力ずくで下ろさせた。


「ガソリン、また使う気でしょ! ハイオク満タンいくらすると思ってるの!」


 そう。

 キャンピーの規格外の必殺技は、発動するたびに凄まじい量の燃料を消費するのだ。

 つまり、莫大な金がかかるのである。

 私は家計のピンチを思って、ガックリと膝から崩れ落ちた。


「スミコ、ここは妾にお任せを!」


 テンコがふさふさの尻尾をブワッと膨らませ、海面に向けて一気に跳躍した。

 そのまま空中から、狐火を纏った強烈な前蹴りをリヴァイアサンの脳天に叩き込む。


 ドゴォォォォォォンッ!


 凄まじい衝撃音が響き渡る。

 海魔蛇は一撃で白目を剥き、ドゴボォッと情けない音を立てて海中へ沈んでいった。


「ふぅ。他愛もない相手でした」


 砂浜にスマートに着地したテンコが、ふんす、と得意げに鼻を鳴らす。

 そして、くるりとこちらを振り向いた。


「さて、見事討ち取ったことですし。さっそく馳走を用意するのです!」


 テンコは目を爛々と輝かせ、大きな口から滝のような涎を垂らしている。

 ふさふさの尻尾をちぎれんばかりに激しくパタパタと振っていた。


「お前も金かかるんかーいっ!」


 私は激しく背中のけぞりながら、今日一番のツッコミを放ったのだった。


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>「さて、見事討ち取ったことですし。さっそく馳走を用意するのです!」 >「お前も金かかるんかーいっ!」 >私は激しく背中のけぞりながら、今日一番のツッコミを放ったのだった。 草 まあまあわざわざ買い物…
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