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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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107.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 手に入れた銀貨を握りしめ、私たちは港の市場へと繰り出した。


 石畳の道には、威勢の良い売り声が飛び交い、磯の香りが一段と濃くなる。

 店先には、朝揚げされたばかりの新鮮な魚介類が所狭しと並べられていた。


「おいしそう!」

「ごはーん!」


 テンコとソーちゃんが目を輝かせ、陳列棚にへばりつく。


「すいませーん、これとこれ、あとこれもください!」


 私は片っぱしから、安くて美味しそうな海鮮を指差していった。

 丸々と太ったイカ、手のひらよりも大きなホタテ、身の詰まったカニ。

 アイテムボックスがあるから、持ち運びの心配はいらない。


「お、おいおい、嬢ちゃん。そんなにたくさん買い込んで、食べきれるのかい?」


 魚屋の親父さんが、呆れた顔で私を見た。

 木箱には、ゆうに十人前はある魚介類が山盛りになっている。


「ええ、問題ありません。うちには大食らいがいますから」


 私は苦笑いしながら、背後の神獣たちを指差した。


「じゅるり……。スミコ、あのイカ、生唾ものです」


 テンコが涎を垂らしながら、店先に並ぶ生のイカをじっと見つめている。

 そのふさふさの尻尾が、期待にパタパタと揺れていた。


「あ、これ、ちょっと味見しても……」


 テンコが大きな口を開け、生のイカにそのまま齧りつこうとした。


「もー! だめでしょうが! これ陳列品!」


 私は慌ててテンコの首根っこを掴み、力任せに引き剥がした。


「むぎゅ……! ケチなのです!」

「ケチじゃない! マナー! あとでキャンピーで焼いてあげるから!」


 これ以上店先に置くと被害が出ると判断し、私は足早に市場を後にした。


    ◇


 買った海鮮をアイテムボックスにしまい、私たちは街外れの海岸へと向かった。


 水平線に沈みかける夕日が、海面をオレンジ色に染めている。

 打ち寄せる波の音が、静かに響いていた。


「よし、ここなら目立たないし、海を見ながら浜焼きができるね」


 私は【キャンピングカー】スキルを使い、キャンピーを召喚した。

 ブルルンッ、と頼もしいエンジン音が響き、真っ白な車体が出現する。


「……あれ?」


 私は周囲を見渡し、首を傾げた。


 港町ウォズはあんなに賑やかだったのに、この海岸には人っ子一人いない。

 不自然なほど、静まり返っている。


「なんか、海岸人少なくね?」


 私が呟いた、その時だ。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!


 不気味な地鳴りと共に、海面が激しく盛り上がった。

 次の瞬間、巨大な水柱が立ち上り、空を覆い尽くすほどの影が出現する。


「きゅ、きゅいきゅいーっ!」

「ソーちゃん、私の後ろに!」


 私はソーちゃんを抱き上げ、キャンピーの後ろへと隠れた。


 そこにいたのは、家一軒ほどもある巨大な頭部と、無数にうねる触手を持った魔物だった。


「クラーケン……!」


 港町でクラーケンが出現したなら、海岸に人がいないのも当然だ。

 みんな避難していたのだ。


「なんと……!」


 だが、テンコは怯えるどころか、目を爛々と輝かせた。

 大きな口から涎が滝のように流れ落ちる。


「特大の馳走が、向こうからやってくるとは! これぞ女神スミコの加護なのです!」


「女神じゃないし、加護でもない! 食材が自分で歩いてきただけ!」


 私が突っ込む間にも、クラーケンは巨大な触手を振り上げ、こちらへと振り下ろそうとしていた。


「…………!」


 すると、キャンピー(少女アバター)が無言でコクンと頷き、前に進み出た。

 その瞳には、並々ならぬやる気が満ち溢れている。


「キャンピー、やるの?」


「コクッ!」


 キャンピーはグッと親指を立てると、ととと、と海岸へ歩いていく。

 そして、なんちゃら波のポーズをとる。


「え、ちょっと、キャンピー?」


「…………」はー!


 キャンピーは無言で手をクラーケンに向け、エネルギーをチャージし始めた。

 青白く輝き、周囲の空気がビリビリと震える。


「あ、これ、絶対ヤバいやつだ」


「スミコ! 早く焼くのです! 特大イカ焼きなのです!」


「テンコ、落ち着いて! キャンピー、それは——!」


 私の静止も虚しく、キャンピーは波ぁ!を繰り出す。


 魔物ぶっ殺し光線!


 ドドォォォォォォォォォォォォォンッ!!


 極太の青白いビームが放たれ、夕暮れの空を一瞬にして真っ白に染め上げた。

 爆音と衝撃波が駆け抜け、鼓膜が破れそうになる。


「いや、目立つぅっ!!」


 私の絶叫が、轟音の中に掻き消された。


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※4/6(月)


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