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クロナ達が慎重過ぎる件

会話の量はだいたいこのくらいで書いていければいいかなぁ~っと思ってます。




 あれから数分後、傷の手当てを終えた俺は失意に満ちたままギルド本部を出た。建物には亀裂(きれつ)や焦げ跡があり、その周囲で冒険者とギルド員達がその建物の修復作業を行っていた。



「なぁ、こういうことってよくあるのか?」



 俺はずっと気になっていた事をミーナに聞いてみることにした。


 もしこういうことが日常茶飯事だとしたら今後俺はここに来るのを控えるつもりだ。ギルド本部へ行く度に何かしら巻き込まれていたら命がいくつあっても足りやしない。


 そういう事を考慮しながら俺は質問したが、ミーナは軽く首を横に振った。



「いえ、滅多にありません。ギルドは協定がありますからそれを破ろうとする人自体いませんので」


「……協定?」



 聞き慣れない単語に疑問符を浮かべる。



「はい。ギルドではいくつかの協定があって、そのうちの一つが《両者の承認なしに冒険者同士で争ってはいけない》というものがあるんです。ギルド協定を破った者は敵と見なされて冒険者やギルド員によって捕縛され、違反レベルによってギルドから罰を受ける……という感じの流れですね」


「へぇ~、そうだったんだ…。そりゃ違反する人が滅多にいないわけだ」


「違反者を捕縛した人にはギルドから一定の報酬が出るので余計に…」



 説明をしているミーナは思わずといった感じで苦笑した。


 さっきみたいに突然殴りかかってくる(やから)がギルドに沢山いては目も当てられない。


 なるほど、冒険者とギルド員による連携を強化するという思惑もあるだろうがなかなか考えられている。しかも報酬も出るので犯罪防止により磨きがかかるってことか。


 ―――でも、だからこそおかしいと思った。


 そこまで身を危険に晒してまであの3人になんの得がある? あの時ギルド内にいる冒険者から逃げ切ったことから彼らが実力のあるベテランの冒険者だという事が分かる。決して新米冒険者などではない。



「それよりあんたってギルド協定のこと知らなかったの?」


「え、あ、ああ。知らなかったけど……それがどうかしたか?」


「いえ、それにしては協定のこと知ってたような口振りだったじゃない」



 クロナに指摘されたのは俺が彼らに脅しをかけた時のことだ。



「あれはただのハッタリだって。周りの冒険者達がチラチラとこっち見てくるからそれを利用しただけ」


「にしては随分と真に迫っていたわね」


「そうでもしないと(だま)せないからな。それに俺はこれでも昔、演劇のスペシャリスト『無面(むめん)の夜刀神』と呼ばれ―――」


「―――あー、はいはい。いちいちそういう情報はいらないから」


「うちの部長が冷たい…」



 せっかく俺の活躍した時の話でもしようかと思っていたのに少し不服だ。別にこういうの慣れてるからいいけどさ。



「マナさんは演劇をやっていたんですか?」


「少しだけな。高校一年のときは色んな部活をやってみたかったから全部の部活に入部してたよ。もちろん、短期間だけだったけどね」



 大会やイベントを一つの部活につき一つやって退部していたので他の部員からはあまり良い印象ではなかったが。


 掛け持ちせず一つずつやって半数の部活を終えた頃には、すっかり俺の噂が広まっていた。噂の内容はおいておくとして、まだやったことのない部活に入部する時、顧問の先生に渋られたのは新鮮だった。


 その顧問の先生は普段から元気がよく、部員の勧誘も積極的にしていたので余計にそう感じた。もちろん、部員である生徒もあまり歓迎していなかった。



「ふむ、ひょっとしてマナは今もそうするつもりなのか?」



 アルティナの質問に俺は苦笑する。



「いや、もうするつもりはないかな。学院の部活ってほとんどが魔力を使うだろ? そんなところに行っても足手まといになるだけだし入るつもりはないよ」



 魔力のない俺に何が出来るというのか。そんなことをやってみようものなら今度は渋られるだけじゃ済まないだろう。


 しかも、ここは女学院なので部活をするにしろ着替えなど色々と問題がある。ここは大人しく今の部活に専念するのが賢明な判断だ。



「それに、俺は今の部活で満足してるし」


「そういえば魔導工学研究部ってどんなことをしてるんですか?」


「掃除」


「「……え?」」



 予想外だったのかミーナとアルティナが困惑した表情でこちらを見てきた。なので俺は分かるようにもう一度言う。



「掃除」


「二度言わなくても良い」



 アルティナに軽くチョップされた。


 俺からの話じゃ深く理解できないと思ったのか二人とも今度はクロナの方に視線を移した。



「はぁ…。正確にはこいつ一人で部室の掃除をしているわ。うちの部室って結構資料とか散らかってるからね」


「じゃあクロナさんは何をしているんですか?」


「予想はついてるかもしんないけど《魔導銃(マギ・ガン)》の製作。まぁ、今は知っての通りいいオリハルコンがなくて途中で止まってるから設計図の見直しをしてるわ」


「ちなみに俺は部員といっても素人(しろうと)だから製作には関わってないぞ。たまにアイディアとか出したりするくらい」


「そうなんですか。ではマナさんもいつか製作に関われるよう頑張らないといけませんね♪」


「あはは、まぁぼちぼちやるよ…」



 自分が魔導具を製作するなんて考えたこともなかったな。


 そもそも先代勇者が魔導具の製作及び発展に大きく関わっていたため、現在では洗濯機や冷蔵庫などの電化製品が魔導具として存在しているのだ。


 生活水準はあっちの世界より少々劣るものの、この世界では魔法技術が発達している。だがその代わりと言ってはなんだが科学技術はほとんど発展していない。



「それで、話を戻すけどこれからどうするつもり?」



 クロナが面倒そうに言った。その言葉を切っ掛けにミーナが「うっ…」気まずそうな顔をする。



「さて、どうしたものか。輸送品を全焼させてしまったから依頼は失敗になるが…」


「なら直接取りに行けばいいんじゃないか?」



 ここ、王都【オルティア】はゲームでは始まりの街と言われていた。冒険者の出発地点でここに集まるプレイヤーは4(けた)を超え、更にはイベントもこの王都で数多く行われてきた。


 そんな王都の周辺にある草原には序盤で入手出来るエネナギ草が沢山生えているはずだ。そこへ採取しに行けばあっという間に終わる。


 そう思って提案してみたのだが、他の3人の顔色はあまりよろしくない。



「どうしたんだ?」


「いや、うむ、その……だな…」



 言い淀むアルティナに俺はどうしたのかと頭に疑問符を浮かべる。そんな様子を見ていられなくなったのか、彼女に変わってクロナがはっきりと告げた。



「エネナギ草がほとんどないのよ」


「……?」



 クロナの言った意味が分からず小首を傾げた。それを見た彼女は呆れたように言う。



「そのままの意味よ。最近、近くの草原で採れるはずのエネナギ草が全くと言っていいほどないの」


「マジで?」


「マジもマジ。大マジよ。王都の調査隊によれば誰かに根こそぎ持っていかれたって話だけど、信憑性(しんぴょうせい)は薄いわ…」


「根こそぎって…………そんなこと出来るやつがいるのか?」



 収納限界がないアイテムボックスを持っている俺ならともかく、他の人がそんな芸当を出来る可能性はかなり低い。



「少なくともこの王都にはいないんじゃない? いたらいたで有名になってるはずだし…」


「力を隠しているという可能性もあるが…」


「もしその仮定が本当だとしたら犯人は一般人ってことになるわ。冒険者はギルドで受付嬢にステータスを全部見られるんだから隠しようがない。でもだからといって一般人が犯人だという線も薄い。その理由はあんたが一番よく知ってるんじゃないの?」



 そう言ってクロナは俺の方へと視線を向けた。俺は(あご)に軽く手を当ててしばらく考える素振りをした後、ボソリと呟いた。



「……レベルか」


「そ。ご名答。近くの草原といっても必ず魔物が出る。しかもその草原の奥にある【深緑の森】には一般人では到底太刀打(たちう)ちできない魔物も生息してるわ。時々その森から出てくることもあるから草原も安全とは言い切れない」


「実際、年に数人ほど商隊から犠牲者が出てますから」



 レベル1の俺が行って万が一にもその強力な魔物に遭遇したら生き残れる確率はゼロに等しいだろう。



「【深緑の森】にならあるかもしれないけど、さっきも言った通りそれは自殺行為よ。そんなことをするくらいなら学院長にこのことを報告した方が100倍マシね」



 「報酬がなくなるのは痛いけど…」とクロナは歯がゆそうに小さく呟いた。



「ちなみにその強力な魔物のレベルってどれくらいなんだ?」


「うーん………一番強いのでざっと40くらいね」


「低ッ!?」



 序盤中の中間に出てくるボスモンスターくらいじゃないか。


 雑魚狩りでそこそこレベリングしてちゃんと装備を揃えたら余裕で倒せる。まさに初心者のために用意されたチュートリアルのようなものだ。


 だが俺の発言を不審に思ったのか、クロナは怪訝そうな眼差しを向けてきた。



「…なに言ってるの? 十分脅威になるレベルでしょ?」



(え、レベル40が…?)



 クロナの言葉に俺は思わず困惑した。きっと信じられないといった表情をしているに違いない。


 だがそんな俺の様子にクロナだけでなくアルティナとミーナも不思議そうな顔をしていた。



「……一応聞くけどクロナのレベルはいくつなんだ?」


「私…? 62よ」



 ……………え? 高くない? 普通は装備をきちんと整えた場合、レベル40前後で強力な魔物(?)を倒せるはずなんだけど…。



「……………………………………ミーナは…?」


「え、えっとぉ……38、です…」



 ミーナが不安そうに答えたけど、俺はそれを聞いてホッと胸を撫で下ろした。


 うん、普通だ。俺が聞きたかったのはこういう平均的なレベルなんだ。むしろ魔法を使えない魔法使いなのによくレベル38まで上げられたものだと感心する。



「ちなみにアルティナは?」


「む、私か…? 私は85だっ!」


「いやそんだけレベルあったら余裕で勝てるだろぉぉおおおッ!?」



 自慢げに自分のレベルを告げるアルティナ(ミーナとクロナも含む)に俺は大声でツッコミを入れた。



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