異世界で酔っ払いに絡まれるのはお約束(?)
緊急事態宣言が解除され、着々と元の生活を取り戻していく人々。第二波が懸念される中、それに対応出来るように備える人達もいますが、私はコロナウイルスの感染拡大が終息しつつある事を心から喜んでおります。
しかし、その喜びと同時に悲しみも一つ。
元の生活に戻るということはそう、つまり忙しくなって小説を書く時間が短縮されるということ…ッ!
忙殺されて過労死しないかオラ、ドキドキすっぞ!(涙)
……はい、長文失礼しましたが端的に言うと投稿する期間が長くなってしまった事への言い訳ですね。すみませんm(_ _)m
今後も投稿する間隔が週に一回あるかなぁ…ってくらいなので今のうちにムーンサルトジャンピング土下座の練習でもしておこうかな…。
「そんな事してる暇あるなら書け」って言われそうだけどねw
無事、時間内に全員集合出来た俺たちは、エネナギ草を預かっているギルドへと足を向けた。
「おぉ…すごい、これがこの国のギルドかぁ…!」
想像していたものよりも大きな石造りの建物に圧倒された俺は思わず感嘆した。扉は驚くことにガラスで製造されており、中の様子がよく見える。いくつか小窓も設置されていてそれも扉と同じくガラス製。
結構な人数の人間がギルドの扉を出入りする中、たまにドワーフや竜人といった人間以外の種族が混じっていて、やはり実物を見てみるとここが本当に異世界なんだと今更ながらに再認識させられる。
ギルドがあるのは集合場所になっていた中央広場から徒歩数分のところにある大通りだ。この辺ですれ違う人々は誰もが剣や弓などの武器や鎧やローブといった防具を装備している。
「ここはギルドの中でも一番の大きさを誇るギルド本部なんですよ。建物の大きさだけでなく、支部よりも依頼がくる量が多いんです」
だから出入りする人数が多いのか…。他のやつを見たことないからこれが多いのか普通なのかわからないけど。
「ざっと三階建てに見えるけど内部構造とかはどうなってるの?」
「一階は冒険者の依頼の受付をする場所ですね。冒険者同士での情報交換も頻繁に行われたりするそうです」
「大方予想通りだな…」
MMORPGアルザストルーナではギルドでメインクエストとサブクエスト、イベントクエストという風に判別され、それぞれ違うカウンターでクエストを受注することが出来る。
(あ、そういやイベント装備アイテムボックスに入れっぱなしにして放置してたな…)
イベント関連で思い出したが、街の大通りでアイテムボックスの整理をする訳にはいかない。ましてやクロナがいる前では絶対に出来ない。
ミーナとアルティナはアイテムボックスの存在を知ってはいるものの、初めて見たときのあの二人の反応を見ればクロナがどんな反応をするのかなんて火を見るより明らかだ。
根掘り葉掘り聞かれた挙げ句、俺の正体がバレる可能性が非常に高い。なんとしてでもそれだけは阻止しなくては。
「それで、二階なんですけど―――って、マナさん聞いてますか?」
「え、あ、うん。聞いてるよ」
少し歯切れが悪かっけどなんとか答えられた。ミーナは怪訝そうな表情で「本当ですか?」と言っていたが、一応、納得してくれた。
「二階は応接室になっていて主に指名の依頼の時や国の重要人物が訪問した時に使われたりします」
「依頼って指名とか出来るのか…?」
気になった点を率直に訊いてみる。すると近くで聞いていたクロナが俺に呆れた目線を送ってきた。
「あんた、そんな事も知らないの? いったいどんな辺境に住んでたのよ…」
「人が少ない小さな村だから指名の依頼なんて存在してなかったんだよ。こればっかりは仕方ないだろ?」
咄嗟に嘘を吐いてみたが、クロナは「ふーん…そうだったのね…」と納得した様に呟いた。やっぱりごく僅かに目線がズレている事にクロナは気付いていない様子。これが普通なんだよなと俺は感慨深くなった。
一方でミーナは苦笑していて、アルティナは「お前は何故そんなにさらっと嘘を吐けるんだ…」とクロナに聞かれないよう小声で呆れたように言っていた。こればっかりは長年の賜物としか言い様がない。
「指名の依頼はかなり少ないんですがこのギルドにもありますよ」
「そうなのか?」
「ええ、ですが通常の依頼と違って発注する時に発生する料金が増えます。指名されるほとんどが高ランクの冒険者だからというのが最もな理由ですから」
どうやら通常の依頼でも発注するには少量の料金が発生するらしい。それでその依頼の報酬も用意しなければならないため依頼人も結構大変なんじゃないかと思う。
「ちなみにランクってなに?」
「ランクとは冒険者の総合的な強さを表すものだ。ランクは下から順にF~Sまであり、登録したばかりの初心者は皆、Fランクから始まる。そして依頼やクエストを一定量こなすことでそれぞれのランクに適した試験が実施され、その試験に合格することでランクが上げられるんだ」
ミーナの隣にいたアルティナが詳しく説明してくれた。心なしか若干気分が高揚しているように見える。
ランクについてはゲームと一緒だったので少し安心した。出来ればクエストの内容も同じであってほしいと願うばかりだ。
「なるほど。分かりやすい解説ありがとアルティナ」
「うむ、わからない事があったらまた聞いてくれ」
「なんだか私の出番がとられた気がします…」
アルティナに感謝の言葉を伝えると彼女は自信満々で胸を張って言った。その一方でミーナは何故か気落ちしているような様子だった。なんだか対照的な二人だなと改めて思ってしまう。
「そういや王立魔法聖女学院の生徒って皆ギルドカード持ってるんだよな? ならミーナ達ってどれくらいのランクなの?」
持っていれば色々と便利なため、王立魔法聖女学院の生徒は全員が必ず持っていると俺は学院長から説明を受けている。
学院長にクエストや依頼の内容を伝えて申請すると、個々で受けるのはもちろん、何人かのパーティで受けることも出来る。ただし1日以上掛かるクエストや依頼は受けてはいけないなどの制限があるためなかなかランクは上がらないと思う。
それでも一応知っておこうと思った俺はこうしてミーナ達に訊くことにした。
「私ですか…? えと、私のランクは恥ずかしながらFです…」
「私はDランクだな」
「私はEランクよ」
意外にもアルティナが一番ランクが高かった。ミーナは魔法が使えないから仕方ないとしてクロナがEランクとは…。研究費のためにてっきりクエストこなしまくってると思っていたけど、そうでもないようだ。……いや、研究している時間が圧倒的に多いからランクが低いのかしれない。
「この中だとアルティナが一番高いんだな」
「たまに魔物の討伐依頼などを受けているからな。レベルを上げるのに丁度いいし報酬も貰えるからまさに一石二鳥だ」
「なんというか、アルティナらしいな…」
彼女らしい理由に俺は思わず苦笑した。そうやって自分らしさが明確に出ているのが少し羨ましいくらいだ。
そんな事を思いつつ、俺達は扉を開けてギルドの内部に入ると依頼の詳細を聞きにカウンターへ向かった。
カウンターにはそれぞれ色の違った仕事服を着用している受付嬢が冒険者達に対応しており、しばらく待っていた方がよさそうだ。
いつまでも出入口付近にいては他の冒険者の迷惑になるので隅に設置されてあるテーブル席にそれぞれ座ると、俺は周囲の様子を観察することにした。
ここ一階ではミーナが説明してくれた通り、冒険者同士による情報交換が行われている。しかしそれとは別にギルドは酒場も兼用しているらしく、飲み食いしに来た冒険者も少なくない。
「なぁ、ミーナ。ギルドって酒場も兼用してたのか?」
説明になかった情報を目の当たりにした俺は何故説明しなかったのだろうと疑問に思い、なんとなく訊いてみることにした。
「えぇと、私がギルドに行ったことがあるのは数ヶ月前でして……その時には酒場はなかったんです」
「私も数週間前に行ったきりだが、その時も酒場は無かったから出来たのは最近だろうな」
「あぁ、道理で真新しそうな感じがしたのか…」
受付嬢のいるカウンターやここらへんのテーブル席は長年使われ続けたため所々に劣化や亀裂などの形跡があるのに対し、その反対側に設置されている注文口やその付近のテーブル席などは傷もなければ汚れてもいない。
俺は素直にいいチョイスだな、と思った。ギルドに酒場のような飲食コーナーを付け足せば、クエスト帰りの冒険者はすぐに飯にありつける。
ここから10分ほど歩けば飲食店などがあるが、ギルド自体に飲食コーナーを増設すれば手間が省ける上に、酒を飲みながら冒険者同士での情報交換も出来るので利用する者は多いだろう。
現に、今も大勢の冒険者が飲食コーナーの席に着いて情報交換やただの雑談などを繰り広げている。しかも人数分の席以上に客がいるのでそれらの客は朝食をトレイに乗せて、ここのような通常のテーブルで食事をしていたりする。
「そろそろ空きそうだから並んでくるよ。皆はここで待っててくれ」
受付にいる冒険者の減り具合を見計らいながらミーナ達に一言いうと俺は席を立った。するとそれに反応したミーナが同行の許可を貰うため、俺に尋ねてきた。
「あ、私もついて行っていいですか?」
「ん? 別に同行しなくてもいいぞ? もともと俺のために用意された依頼のようなもんだし。それに、依頼書は俺が持ってるからミーナ達はゆっくり寛いでいてくれ」
「そ……そうですか…」
気を遣ったつもりだったんだけどなんかションボリされた。ミーナの隣に座っていたアルティナはちょっと呆れたような目でこちらを見ると大きくため息を吐いた。
……え? なんで俺が悪いみたいな雰囲気になってんの…?
「え、えーっとじゃあ、行ってくるよ…!」
少し気まずい空気が漂う中、俺は強引に話題を終わらせるとポケットに入れていた依頼書を取り出すと受付嬢のいるカウンターへと向かった。途中、アルティナが静止の声を掛けてきた気がしたのだがあまりよく聞こえなかった。
さっそく冒険者の行列の最後尾に並び、しばらく待っていると「次の方ー」と受付嬢の呼び声が聞こえた。
考え込んでいた俺は自分が呼ばれていることに気付いて「あ、はーい!」と返事して急いで空いたカウンターへと駆け出す。
「ご用件はなんですかー?」
「これの確認をお願いします」
受付嬢の質問に俺はポケットから取り出した依頼書を手渡す。学院長は依頼書を取ってきたのだが正式に依頼を受けるにはこうして依頼書が本物かどうかの確認と依頼を受ける本人が来なくてはならないという規則などがある。
「あぁ、エネナギ草の運搬依頼ですねー。ギルドカードはお持ちですかー?」
受付嬢は間延びした口調でニコニコしながら問い掛けてくる。なんというか、本当にMMORPGにいた受付嬢とそっくりだな…。容姿だけでなく声や特徴なんかも一致していてドッペルゲンガーを疑ってしまうくらいだ。
そんな事を考えながら学院長から常に持っておけと言われていたギルドカードを財布から取り出して受付嬢に手渡した。
受付嬢は俺からギルドカードを受け取るとカウンターに置かれていた小さい台座のような物の上に乗せた。
するとその瞬間、ギルドカードを乗せた台座の表面から幾何学的模様が浮かび上がり淡い水色に光った。
「はい、オッケーですー」
台座から光がなくなると受付嬢はギルドカードを持ち主である俺へと返却する。
今のはギルドカードが本物かどうか確認するための行為だ。ごく稀に偽造される事があると学院長も言っていた。
ちなみにだがギルドの受付嬢は皆、片眼鏡をしていてその片眼鏡で相手の基本的なステータスを見ることが出来る。
これはギルドカードに登録されているものとその持ち主が一致するかどうかを検査するためで、犯罪者がたまに身分を偽って変装していることもあるのでそれ用の対策だとか。
「依頼の確認は終わりましたー。エネナギ草の入った箱を2つ渡すので少々お待ち下さいー」
そう言うと受付嬢は席を立ちカウンターの奥へと引っ込んでいった。
「さて、どうしようかな…」
大人しく待っている方がいいんだろうけど、生憎と俺はそういうのに向いてないので手持ち無沙汰になる。幼い頃、学校以外ではほとんど外出した事もなかった……というより一種の軟禁状態のようなものだったからその反動かもしれない。
そんなことを思いながらカウンターの隅で突っ立っていると後ろからドンっと誰かがぶつかってきた。
突然の事だったので転けそうになったけどなんとか踏みとどまる。
「うー、ヒック…! あ"あ"ー頭イテー…」
後ろへ振り返ってみれば足取りの覚束ない冒険者姿のドワーフがいた。
顔は真っ赤になっており、頭痛がするのか頭を手で押さえている。フラフラと千鳥足になっている事から二日酔いの症状と判断して間違いないだろう。
「えと、大丈夫か…?」
「んあ…?」
心配になったので一応、声を掛けてみる。すると冒険者らしきドワーフはじーっと俺の顔を見つめた後、グヘヘ……とだらしない笑みを浮かべた。何故だろう? 寒気がする。
「よぉ、可愛い嬢ちゃんじゃねぇか…! どうだぁ? おれとヒック……一杯、やらねぇかぁ?」
「………」
なんというか、酔ったら面倒な人に絡まれた。しかも二日酔いしてもなお飲み続けているのかとてつもなく酒臭い。
(うん、まぁなんとなく予想はしてたけどさ…)
こういう時の対処方法はあまり詳しくはないので、どうしたものかと俺は心の中でため息吐いた。
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