おどおど!。
アオサギの笑顔は醜く有りました
ドラゴンの最後の瞳の色がアオサギの目に映って見えるからです
村の人々がアオサギの笑顔を見る度に戦慄しました
ドラゴンが村に襲ってきた時の恐怖の思い出が蘇ってくるからです
ですが誰もアオサギの笑顔を止める事が出来ませんでした
何故ならアオサギが怖かったからです
アオサギの手は醜く有りました
外道の術に手を出した際、薄黒いケロイド状の瘡ずんだ皮膚がアオサギの手の甲から肘の辺りまで覆っていたからです。
アオサギの長い服の袖からその手がふとした拍子に見える時村の人々は目を逸らします
アオサギ一人に大罪を押しつけた自分達の弱さ、汚さがアオサギの手に表れているかのようでしたから
アオサギはそれに気づき、顔をしかめます
ですが誰もその手に関して、醜くいとも私は気にしないとも言ってくれませんでした。否定も肯定もしませんでした
アオサギの手の話題をしただけで殺されると思ったからです。
何故ならアオサギが怖かったからです
月日が流れてアオサギはとうとう一人ぼっちになりました
アオサギは遠くから村の人々の談笑を羨ましく眺めます。アオサギが笑顔で人の輪に入って行こうとすると人々は用事を思い出したと言い一人また一人とその場から散っていきます
アオサギが村の近くから魔獣を狩り毛皮を持って行こうと得意の肉料理を持って行こうと人々はアオサギから離れていきました
アオサギには村の居場所がありませんでした
アオサギは村を出て山へ行きます
山の梺にたどり着いた時そこにいるドラゴンにアオサギは話し掛けます
「お前は僕にどんな呪いをかけたんだ!!」
声変わりが終わっていない少し甲高い声で何度も喚きますですが
ドラゴンに返事は有りませんただの屍のようでした
「ウオオオオ、オオオオ」
アオサギは大きな声で泣き出しました
それは
いつまでも
いつまでも
悲鳴は続きました
高い山でした
中腹からでも近くの村が一望出来るくらい高い山でした。しくしくと雪が降り注ぐその山の峠からの景色はアオサギにとってこの世界がこのうえなく広い事を実感するには、充分でした
孤独とは不思議な言葉です。他者という存在がなければその概念は生まれないのですから
アオサギはこの世界で一人ぼっちでした
ドラゴンを倒した際に呪いが掛かったので御座います
その呪いが何なのかアオサギには分かりませんでした
「」
悲しみにくれている内に
アオサギがこの山に来てから10日が過ぎました
そこからまた幾つかの時が過ぎますとアオサギに変化がありました
手の甲から徐々に鱗が生えて来たのす
アオサギはこれから先自身に待ち受ける運命に絶望しました
大きな声で泣き出しました。それはとても大きな声でした
その悲しみは絶望は村にまで届きました
「ウオーン、ウオーン」
アオサギの泣き声はドラゴンの鳴き声と非常に酷似していたのですから
村の人々はおののきます
人々は憂慮と煩慮を混ぜて村の未来に危険視します
村の人々は苦悩に耐える覚悟はあっても幸福を手放す観念はありませんでした
村は王に要請を出しました
王は多額の税の約束の代わりに騎士団を派遣しました
「貴様がドラゴンか!」
騎士団が山の梺に到着すると
そこには一人の泣き叫ぶ男の姿がありました
アオサギは、全てを理解し少しほんの少しだけ幸福な気持ちになれました。村の人間が私を私とは思わずドラゴンと認識していたからです
一方騎士団の中では困惑した者もおります
アオサギの容姿は村で聞いていたドラゴンとは全然違いましたから
しかしてその後アオサギの泣き叫ぶ声を聞き、騎士達はあの男こそがドラゴンなのだろうと判断しアオサギの周りを取り囲むようにして刃を向けます
「騙されるな、あやつはドラゴンの仮の姿見た目に惑わされるでないぞ!!」
騎士達は次々とアオサギに斬りかかりました
四方から八方から容赦なく
苛烈に攻めます
騎士達は頑張ります
ですがそれも束の間の出来事でした
アオサギの魔導の前にはほとんどの騎士達は立ち上がる事も出来なくなりました
アオサギはまた泣きそうになりました
騎士達の忠義の高さにです
「おい!化け物!俺から先に食え!」
「いや俺からだ俺の肉は奴より美味しい」
騎士達は自分達に目がいくようにアオサギに挑発していきます。残った一人の男の子にアオサギが気付かせないようにしながらです
それは逆効果だったのかも知れません。一目見てアオサギは分かってしまいました
そしてまた泣いてしまいました
自分がその立場にいれば、どんなに頼れる人間に甘える事が出来るだろうと思います
環境の違い、境遇の違いその差がアオサギを泣かせます
王子がいました
アオサギの目線の先に王子がいました
アオサギはその王子の元へ涙を流しながら歩いていきます
何故王子の元へ行こうと思ったのでしょう?
トドメを刺そうとしたからからでしょうかそれとも
騎士達の見ている前で王子をいたぶろうと思ったからでしょうか
それとも…
アオサギは王子の足元まで近寄り力を無くしたように膝をつきました
「どうして?どうして?どうして誰も僕と一緒にいてくれないの?」
ドラゴンと呼ばれた男は、孤独に憂いを悲しみを表しました。
アオサギはその小さな背中を又小さく丸め、頭は雪で覆われた地面につきそうになる程低くなり、しくしくとその小さな背中を震わせました
その弱々しいアオサギを見て、何とか立ち上がるまで回復できた騎士団の一人がその首を切り落とそうとしました。
「待て」
騎士が剣を振る直前、王子に制止されました
王子は微笑みこう言いました
「良いことを思いついた。貴様」
王子はしゃがみこみ手をさしのべます
「朕と友達となれ」
また、微笑みかけます
王子のこの言葉でアオサギに掛けられた呪いは解けました。
王子の目の前には、最初からドラゴンなぞいなかったのでしょう
そこには、村の英雄はいませんでした。ドラゴンの化身もいませんでした。在るのはただ王子の膝の元で泣き叫ぶ一人の少年の姿なのでした。
うんうんと首をゆっくりと振り、今も尚震えるアオサギの背中を優しくさすりながら王子は続けます
「良いな朕の友達となれ、これは国の命令じゃぞ絶対に従わなければならぬのぞ」
騎士達は顔を見合わせ剣をしまいます
雪山の峠にはすすり泣く一人の少年の声が響いていました。かの声が笑い声に変わるのはいつになることでしょう
「」
その後の事を少しだけ
彼の笑顔は醜く有りませんでした
ドラゴンの瞳が映って見えるのは、彼が優し過ぎる
からです。ドラゴンの命の灯火を感じてしまうからこそ生の最後を重く受け止めて、いたからです
彼の手は醜く有りませんでした
黒ずんだ腕は彼の住む村を救った証なのです
とても素晴らしい物です
彼は醜くありませんでした
彼は王子の友達です
彼は
この国の貴き未来の光となったので御座います
「」
「……お前さんがあのアオサギか」
サンタンデールは幼い頃に母からこの話を聞かされた、サンタンデールの母親はこの話には徳と力と人の美意識が含まれているのよと、サンタンデールの頭を優しく撫でながら語り掛けていたのだが
今のサンタンデールは、母の顔を朧気にしか思い出せなかった
「……失礼かもしれんですが」
「サインくれ」
そう言うとサンタンデールは内ポケットからハンカチを取り出した
アオサギはこの不潔を具現化したような男からハンカチなる清廉な物を持ち合わせている事に疑問を置いた
有り得ない、目の前の男は服の袖で鼻水を拭くタイプの男だ
ズズッ
引きずる音が聞こえて
ふとサンタンデールは顔を上げると
サンタンデールから席を少し離して眉を顰めるアオサギの姿があった
糞ヤロー俺を何だと思ってやがる
「誤解するなこれは妹のものだ、旅の途中にアオサギに会ったら。これにサインをしてくれと」
「ああなる程」
奴はもう筆を取り出してる
何か手慣れてるって感じだ矢張りSランクってのはこういう輩がまとわりついて行くのか
「妹はんのお名前は」
「ジュピタって言うんだ。あっあっちょっと待ってくれ、最後にハートマークを、そうそれ、そしてお兄様が帰ってくる時に鍵をかけないように、とお兄様の事を不潔とか汚物とか言わないようにとか」
「最後は了承できませんなあ」
「ですがあんま吟遊詩人の話を信じんといて下さいね。ほら人の話て語る毎にどんどん大袈裟になっていくもんでしょ?」
ハンカチに自分の名前とサンタンデールの願望を書きながらアオサギは言った
ほれ出来やした
と続けてハンカチをサンタンデールに返した
「済まねえこの恩は必ず返すわ」
「いえいえ兄さんとわての仲やないですか」
盗っ人のような目つきで見てたけどな
「そういうもんかねぇ」
「そういうもんです」
流石は高名なアオサギだ謙虚な心をお持ちの方だ
そう思いながらサンタンデールは椅子にもたれかかった
ちょっと間を置いてアオサギは
「そいでなホンマはこいがわてが兄さんに言いたかった本題やったんやけど」
と、サンタンデールに話をふった
「おう何でもじゃんじゃん聞いてくれお前と俺の仲じゃないか!」
ヤロー俺が肩を組もうととしたら丁重に断りやがった
「シオト村ってご存じやろか」
「シオト村?それ俺の地元だぞ、そのシオト村が何か変な事とかあったのか?」
変な事
そうアオサギは呟き意味ありげにサンタンデールに笑いかけた
「変な事ではないんよ、そこの村にな、おる人間が変やねん。Cランクが13人、Bランクが5人、Aランクが 1人。町にはな普通でも専属Bランクが2~ 4人程やんか、何もない小さな村にコレは怪しいぞと思うてた中で今度は"アルバの怪物"が出没するゆう話でんな」
出没って本当に怪物扱いかよ
「うーんそれが変って言われてもなー俺としちゃ何も怪しくないんだけどな」
でも話さないと信じちゃくれんだろうな
「まず俺らの村には最初ギルド何か無かったんだよ」
「ほうそげな事があるんかいな、アソコの村周辺には高ランクモンスターが山ほどおるゆう話や」
「そんなんだよ、村の倉庫にな魔獣が出ても討伐を依頼するのに2日かかるギルドの人間が来るのに早くて3日魔獣を倒すまでの日数を入れると一週間。とてもじゃあねえが不便過ぎる、前までは村の若い連中が頑張ってやってくれてたらしいんだが、ほら街道がこの周辺まで整備されたろ?その時に若い連中のほとんどが村から飛び出しちまって」
「ほうそれで」
「冒険ギルドってのは言ってみれば旅人の駄賃稼ぎ所だろ?俺らの村の近くにどでかい町があれば旅人は此処まで来る事はない、つまり村は衰退の危機に立たされたわけだ。でシオト村を救う為シオト村を主点とする新たなギルドをAランクの元騎士団長が発足したわけ。コレで村にAランクの人間が居るのが分かったな、次にBランクとCランクの多さについてだがコレは単純な話で元騎士団長が才能ある天才的な奴隷達を中央市場から探してシオト村に連れて来た訳だ」
天才的というのを強調してみた
「ほうその奴隷達が兄さんらと?」
正確に云えば元奴隷だけどな
「そうだなそれでその才能に満ち満ちた奴隷をAランクの俺らの親父が育てて今に至る訳だ」
こんなもんだろ、フランツとゴロウはちょいと違うが其処まで話す事はないし
と割り切って考え豪快にビールを飲むサンタンデールに対して少々困惑した顔でアオサギは見つめていた
「まあ詳しい事は行けば分かります」
「…うーそうやなどうせ護衛の人数足らんからソロソロその村にも行かんといけんし」
アオサギは手に持ったグラスをクルクルと回していた
「あお代は個々に置いときます。 では4日後にまたここでお会いしましょうで」
おどおどと急いでそう言ってアオサギはゆっくりと立ち上がる
その動作はサンタンデールから見て何か落胆した様子だった。自分が探し求めていたものとは違うものを手にしたような、そんな虚しい顔をして酒場から出ようとするアオサギに対して
サンタンデールは呼び止めようと手を上げたが途中で下ろした。気持ちの整理がついて無かったからだ
「………」
俺が何かを言えた義理か
第一俺が知っている情報はシオト村皆の命が懸かってるかもしれねえんだぞ
サンタンデールが人知れず葛藤している時に
アオサギは矢張り虚しい顔つきで扉付近で立ち止まった
言い残した事が在るかもしれない
やっぱり
そうアオサギは口に出した
「何も喰ってへんのにお代出したのまずりましたわ」
「うっせはよ行け」
「」
データ消えて今必死で
アオサギの逸話の元ネタは五位鷺です
描写で説明しようと思ったのですが
自分の文才の無さが原因で無理だと悟り
ギルドのランクについてちょっとだけ説明します
Fランク……初心者クラス。記念にとる人が多い、いっぱいいっぱいいるそしていっぱい死ぬ
Eランク……初心者じゃないクラス。けっこういっぱいいる空気が読めなくてよく死ぬ
【プロの壁】
Dランク……村で自慢できるレベル。少々天狗になるクラス。それなりにいる調子に乗ってよく死ぬ
Cランク……中堅クラス。それなりにいる
Bランク……エリートクラス。全世界で5000人ぐらいもっといるかも
【超えられない壁】
Aランク……超エリートクラス。全世界で600人ぐらい。殆どがどこかの国の王直属の騎士団所属か騎士団の長
Sランク……人外。全世界で15人 国と国が争奪しあってます
AランクからSランクを含めた順位表が配られます
上位の人達はファーストナンバーズとか呼ばれてます




