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ヌーブラヒャッホイ

間違いだった

火の玉がサンタンデールに直撃した際

地面に仰臥し

頭を釘に打ちつけられた蛇のように輾転して低く怯えの混じる雄叫びをあげながら、サンタンデールは間違いだったと悟った



気がつけば幾つもの怪しい点があった


どうして私は気づかないのだろうと

例えばベナの声が大きくなっていった時だ

あれは私に魔法のための詠唱を聞かせなかったからではないか?


身を乗り出したのも自分に私の視線を外れさせないようにとか


もしかすると

ベナが人の目につくオープンカフェに私の手を引いて「ここに入りましょう」と誘った頃から私がこうなる事が決まっていたのかもしれない


年端もそう変わらぬ女からここまで手のひらで転がされたのは初めての事だ


この危機の中で私がこんなにも頭が動くものだろうか


ベナは私の心を見透かしていたのだろうか

コレは自惚れだと思う

私とすれ違うたびに女性達の燦然と輝く笑みを見て

俯きつつ上目でジロジロと私の顔を見ていく女性達を見て自分という存在が存在というだけで誉れであるかのように感じ甘く柔らかく広い沼に浸かりながら道を私は歩いていたのだ。




「…」

言葉が出なかった。肺が燃えたのだろうか、


私は今呼吸が出来ないでいる



彼女のまるで男の肌を知らぬ乙女のような態度から一変して熟年のマダムのように反応が移り変わったのを私は注意深く裏を探していれば、このような惨事にはならなかったのではないのか、いやそんな口調が変わったと言うだけで死に直結出来るものは少ないだろうに


薄い内容とコレまでの出来事の談話を知り合いの女性としている中

死という高尚なものを認識しなければと

サンタンデールと考えなかった自分と厳しさに憎悪した


「…」

私の目線には黒く濁りジューと湯気をたたせながら所々から緑色の液を垂れ流している自分の腕が見えた

腕がこうなら私の胴体はどんな姿になっているのだろうか


腕を動かそとしても金縛りにあったかのようにピクリとも反応しない


そしてその腕も周りの景色と私の意識と共に薄い赤に覆われていく



苦しいとは思わないといば嘘になる。苦しみから逃れるため、私はここで眠りたいと考えていた例えそれが最後になろうとも。今意識があるのは、私のやり残したスピカとの約束や令嬢への告白が繋ぎとめているからだろうか


「…」


いやただ単に今の私には瞼がないからなのだろう


彼女の事を良く思い出してみて

私はマーズの助言を良く聞いておけばと思っていた


手を出さない事を進めるわ殺されたいなら別でしょうけど


「…」

そうか私はここで死ぬのか


「サンタンデール貴方まだ死んでないでしょ、ねえ聞いてる?あきれるという字を漢字で書いたらどうなると思う?魂に消えるって書くのよ」


「それはたまげるです。マーズ」


「中々お利口さんねベナ、私は私以外と二人っきりで話してたベナにも少々キレてるんだけど」


「続けさせて貰うわ。コレは推察何だけどアナタあの時私の攻撃防げたでしょうよ、顔を覆うように背広を着ればね、少なくとも私のファイヤーボールを真っ正面から直撃する前にベナに自分のスーツを脱いで被せる時間があるのなら、サンタンデール貴方はそれぐらいの事屁でもなかった筈よね、ベナにも私のヤキモチを共感してほしかったのだけど貴方のせいでおじゃんになったわ、まあベナはあとから治療させようと思ってたんだけど」


「…」


「ご自分の容姿を確認なさいな、煤になるまで溶けた肌を見てみなさいな黒いドクロから飛び出てる眼球が仕切りに動いているわよ、グルグル動いてきもち悪いくらい」


「マーズこの人はサンタンデールではありませんわフランツなる貴公子」


「ベナちょいと黙ってて貰える?私はこの男と話してるの」


「…」


「返事がないけどただの屍にはまだ遠いわね、そのまま私の話しを聞いて、貴方は身を挺してベナを庇った。何故なのかしら?賢い貴方は微笑していたベナを見て全てがこの女の仕業だとはっきり分かっていたわよね?それなのにベナを守ろうとした、貴方はどれだけ自分の命というものに低きを置いているのかしら、とっても卑屈な男ねサンタンデール」

 

「…」


「…今回限りは許して上げるサンタンデール貴方のお陰で金貨を余分に貰えたからね、でも次私のベナに恋人のように接してきたら…分かるわよね?」


「…」


「ーーーー玉音を響けばーーーーー精緻なるーーーーー夜の朧気ーーーーー母なる頂きとーーーーー朋として麾下としてー明瞭となってーーー汝は躍るーー」


マーズは詠唱に入った

体が宙に浮くサンタンデールは耳が遠くなってその詠唱をよく聞き取れなかったが、最後だけははっきりと耳に残った


「ヌーブラヒャッホイ!」



途端にサンタンデールの体が大きな球体の緑の光に包まれ、サンタンデールは癒やしの中に身を置いた


「ゴハッ」


呼吸が出来るようになる

あんなに黒々としていた腕がものの見事に肌の色を取り戻している。生きれるという事にマーズに感謝したいくらいだ


「ベナ…分かった?私以外と親しくしたら貴女もこうなるわよ」


「マーズあの人の下半身が心配です。頑丈だったズボンのせいで無事みたいに思えますが一度脱がしてみて様子を見ましょう。」


「……却下。……さあ、その服を返してあいつが治りかけで万全じゃないうちに早く遠くへ行きましょう」


「店員さん修理をかねてお代ここに置いていくわね」


「待ってくれ」


「あら?もう立ち上がれるの?驚いたわ半日はそのままだと思ったのにサンタンデール、貴方以外と頑丈なのね、それはそうと私は忙しいの一張羅がどうして゛いっちょうら゛と呼べるのか今でも分かんないくらい、ねえ考えてみて普通に゛う゛なんてどこをどうやったら付いているのか分かんないでしょ?」


「いっちょじゃない、いっちょうだ」

まだ呼吸が整ってない続けて話すのは限界があるようだ


「そうでももう一つあってね白痴と痴愚と魯鈍ってちょっとおかしくない?痴愚を愚鈍にすればしりとりになるのにコレも魯魚の誤りなのかしらん」


「はぐらかすなそして誤解するなマーズ、ベナトシュに声をかけたのは理由がある」


「私あんまり言い訳する男好きじゃないの」



「とある事に手伝ってほしいが為ベナに声をかけたのだそれに私はその女を其処まで好きじゃない、年頃の女なら私は誰でも良かったのだ」


私の声を聞き「あんなに体に触れあったのに」と憤懣するベナを指でさし示してマーズの次の言葉と向背に目を注ぐ


「それは私の女への侮辱と捉えても?」


「プレゼント」


「プレゼント?」


「そう私は分からないのだよ一体全体年頃の女というものは何を貰えば喜ぶのだ?」


女はどうすれば喜ぶか

男の永遠の宿題をサンタンデールは口にした


「」



「着いて来てもらって恐縮だがお花屋さん何てありきたりじゃないか?」


「女はベタに弱いのよ、ベタにベタを重ねてベターになってベタベタになるの、ところでサンタンデールこれ何てどう?ラハスランの花束、花言葉は「殺意」」



「真面目に選んでくれないか?」


「コレ何てどうですか!?ヘナカタの花、花言葉は「お前のピーをピーにしてピーながらピーしちまう」」


「どうしてそんなものを置いているのだ」


いやどうしてそんな花言葉を付けたのだ

ピーながらピーしちまうだと?ほとんど反則じゃないか

いや最初のピーをピーにしてしまうなんて苛烈過ぎじゃないか



「花なんてありきたりなもの捨てて観葉植物にしては?見てサボテンがあるわ」


「マーズお前がベタがいいと言ったんだぞ、ついさっきのセリフとま逆ではないか」


「両手に花と言いますいっそのことわたくし達をあなた様の見惚れ人に紹介すれば」



「おいお前たちはただ自分達が花屋に行きたいからこの場所に私を連れて来たのではなかろうな」



「あなた様何をいいますの?わたくしとても怒ってます。いらぬ誤解を受けてわたくしとても怒ってます。わたくしただあなた様の隣りを歩くだけで周りの女共から嫉妬の目を向けられる事に快感を感じるだけなのに、さあ次はアクセサリーを見に行きましょ」


「もういいベナ、お前に声をかけたのは私の人生最大の誤謬だったよ」


「ベナはしたない真似はよして頂戴。サンタンデールを焼き殺そうとした償いのために私達はここにいるの、ねえ見てサンタンデールあの花とても卑猥な形してるわ、あの花渡せば貴方は見惚れ人と一夜を逢瀬する事が出来ると思うの」



「真面目に考えてほしいんだけど」


「あら?女に任せて自分は何もやらないの?ベナこういう男どう思う?」


「最低ですね」


「「ねー!!」」


「分かった、じゃあこの花なんてどうだ?茎にトゲがあって持ちにくいが綺麗な真紅の花びらが魅力的だと思うんだが」


「バラねありきたりね」


「ありきたりですね」


「ありきたりな事しか考えない男ってどう思う?」


「最高ですね」


「ねー!っえベナ正気?」


「店員さーん!!」

コイツらに相談したのが間違いだった


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