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ざんねんむねんまた来週!!

ギシギシと木々同士がひずむ音が響かせながら宿屋の階段を登っているとサンタンデールは疑問を感じた


私が先歩くスピカを見て可愛いと感じてしまうこの情は何処から湧いてくるのだろうと


例えばスピカが笑う時口に手をあてる仕草を見てそう思うのか

それとも彼女のいつも強がる表情が一変して虚ろな表情になる時にそう思うのか

道に迷った時に「ここの道で本当に合ってるの?」と困惑した顔で私に尋ねる時なのか

その彼女に私が先に進もうとすると私の服の背中の部分を摘んではぐれないようにする時なのか



「………」


それとも彼女の小さな背中を見て守りたいと思う時なのか


まだ階段を登りきらぬうちに、サンタンデールの分からない事がまた一つ増えていた


そもそもこうなってしまったのは一体誰のせいなのだろうか



「いやあすまんねぇ今日はこのまま二人で泊まるしかないねぇ」


いつものこの宿屋だったら、全部屋空いているのだが、おっさんは今日この日に限って上の二階の一部屋しか空いていないと言うのだ。私が「大丈夫ですおじさん。私はあそこのソファで一眠りしますから」

と言うと

「い、いやあそこは急なお客さんが来た時の為のものでそんな日雇いぐらしの小僧のものじゃねえよ」

と返してくる

分からない急なお客さんとは私の事じゃないのか?


流石にに年頃の女性と一緒の部屋に寝るのは、よからぬ噂が流れるとサンタンデールは心配するも


当のスピカは疲れたのか眠たそうに瞼を擦りながら「どこでもいいからゆっくり休みたい」と言う始末だ


仕方なしといえば、仕方なしなのだがこのままでは私は何かの間違いを犯してしまいそうだ





「あの大きなベットは私が貰う、お前は床で寝ろ」


寝室に着いたそうそうベットに腰を下ろして佇んみながらサンタンデールに威圧たっぷりに命令する


「あとサンタンデール眠る時私の手を握っていてくれ誰かの手を握っていないと私は眠れん」


嘘をつけ


「昨日お前一人でグウグウいびきかきながら熟睡してたじゃねえか」


「サンタンデールお願い」


だから上目ずかいでものを頼むな


そうやって頼めば何でも解決できると思ってやがる


私は騙されない


絶対に騙されない


「……」



「分かった分かった」


スピカの手は

小さな手だったそれでいて白くてツルツルしていて造形のようだと思うも


握った感触がとても柔らかくてスピカも矢張り女の体何だとサンタンデールに思いだしてくれた


「震えてるスピカ寒いのか?」


「分からない」


「そうか」


スピカは無理していないだろうか


「室内だから暗くて見えないな、星の光さえあればお前の腑抜け顔をよく見えたのにな」


「まあ私は見えなくともスピカの顔を見えるけどな」


「それは何故だ?サンタンデール?」


「思い出してる、スピカの笑っている顔とか」


「想像か。サンタンデールは宗教家みたいだな。」


「……」


ちょっとの間無言でいると

スピカはサンタンデールへ蠱惑的に笑いかけた


「こんな話を知っているかサンタンデール。冷たい手を持つ人間は心は温かいらしい。だがサンタンデールお前の手を握ってみるとどうやらその話は間違いだと気づかされたよ、お前は心も冷たいからな」



「へ、手前よりはマシさ」


スピカの握る力が強くなった

その時スピカはまたサンタンデールへ微笑みかける


「嘘 嘘だよサンタンデール、お前は優しいよ。凄く優しいでもなサンタンデール、優しさは嫌われることを恐れる臆病者だと父がおしゃっていたよ。そうやって臆病になって気づいた時は周りから舐められる、それでもお前は臆病者だからその事実を甘んじて受け入れるのさ」


「何が言いたいんだスピカ」


「弱い人間に女は寄り付かないぞ、臆病なお前を愛してくれる女は凄く少ない。だからだからもしそんなお前を愛してくれる女がいれば奇跡としてその愛を受け入れなくちゃいけない。サンタンデール分かったか?」


「…分かった考えとくよ」


スピカは益々笑顔になった

サンタンデールは私の事をこんなにも心配してくれていたのかとスピカを見直した


「そうか良かった。なあサンタンデール。話題が変わるがガンドラのあの事件がなければ私達はどうなっていたと思う?」


「ん?」


「お前の母親があの事件を起こさなければお前の家は燃やされる事はなかった。でも私達はこうやって」


サンタンデールはスピカの話を途中で遮った


「……スピカいくらお前でも私の母を侮辱する事は許さない」


母か


スピカはサンタンデールの事を残念に思った


実の息子を牢獄に入れ奴隷として売った人間を母と言うのだから


そしてスピカはサンタンデールが握り返してこない事を少しだけムカついた


「人は皆が臆病だから世界は優しさで満ちている」


「唐突に何を言うんだサンタンデール?」


「いや何、お前の言っている事と私の友人が言っている事をまとめただけだよ」


「それは…それはとても弱々しい世界だな…、悲しくなる現実だ」


「でもよそうは言っても、嫌いではなかろう」


「……」


臆病者のサンタンデールは

何も言わずもう一方の手を重ねた

それはスピカがゆっくりとそして安心して眠れるようにと


「……」

スピカはそのサンタンデールの優しさに何も言えなかった


この暗い部屋は互いの顔が見えにくい

だがサンタンデールにはスピカが眠りについた事が分かった


「……」



皆が皆同じように1日が過ぎていく


それは生まれてくる赤ん坊や年老いていく者たちも皆同じようにして1日は過ぎていくのだ


スピカは目を瞑る

スピカは幸せだった。こうして大好きな人と手を握ったまま寝むる事が出来たのだから


私は特別


スピカはそう思う


好きな人がこうして手を握ってくれる

この日この時間それが出来る人はどのくらいいるのだろうか



だんだんと両方の手が暖かくなるのを感じると

自然に笑みがこぼれる


「フフ」



スピカの心は手を握るだけで満たされた


私は特別とスピカは思う



皆が皆同じように1日が過ぎていく

そして同じように1日が過ぎながら今日この日この時間はスピカにとって特別なひとときになった


ブブゼブラの街中には簡素な作りの宿屋がある

東の端にあるこの小さな宿屋の二階には、星と月の光は届かない、ブブゼブラに来るであろう、春の息吹きは夜までには消え失せる。


それでも薄い寒い闇の世界であっても、冬の名残ある季節であったとしても


人は笑顔と温もりを忘れない


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