第六章:帝国の改革と、最高の幸せ
その後、事態は劇的に動いた。
私とカイルは、私の開発した特殊な「魔導転送陣」を使い、極秘裏に帝都へ潜入。
カイルを支持する潜伏勢力と合流し、クーデターを起こした悪徳公爵(カイルの叔父)の不正証拠を【構造解析】で暴き出し、一晩で鎮圧してしまった。
私の規格外の魔法力と、前世の近代的な経営・行政ノウハウは、帝国の重臣たちを驚愕させた。
「レティシア様……あなた様は一体何者なのですか!?」
「不毛な領地の開拓案、税制改革のシステム化、さらには魔導具の量産化まで……これほどまでの頭脳をお持ちとは!」
帝国の重臣たちは、私を「至高の賢者」「勝利の女神」と崇め奉った。
かつて王国で「無能な悪役令嬢」と蔑まれていた自分が嘘のようだ。
一方、私を追い出した王国はどうなったかというと――。
後日届いた情報によると、ローゼンベルク公爵家をはじめとする主要貴族が、愚かなジルベール殿下に愛想を尽かして一斉に離反。財政破綻と内乱状態に陥った王国は、自滅の道を辿ったという。
ジルベール殿下は廃嫡され、平民に落とされて開拓地での過酷な労働に従事させられ、自称・聖女のアリアは欺瞞が暴かれて詐欺罪で幽閉されたそうだ。
自業自得、という言葉以外に見当たらない。
そして――。
帝国が平定されてから一年後。
帝都の大聖堂にて、盛大な結婚式が執り行われていた。
絢爛豪華な純白のドレスに身を包んだ私。
その隣には、皇帝として即位したカイルが、眩しいばかりの笑顔で立っている。
「レティシア。ついに、この日を迎えることができたな」
「ええ、カイル様。……でも、一つ条件があります」
「条件?」
カイルが首を傾げた。
「皇妃としての執務も頑張りますが、休日はあの『黒の平原』の別荘で、ポチたちと一緒に野菜を作ってのんびり過ごす時間をくださいね」
カイルは一瞬呆けた顔をし、それから声を上げて笑った。
「もちろんだ! 君が望むなら、帝国全土を君の庭にして見せるよ」
大聖堂を包む、割れんばかりの拍手と祝福の声。
指輪を交換し、誓いのキスを交わす。
前世では過労死し、今生では悪役令嬢として追放された私。
けれど、無能な王子を捨て、自分の力で道を切り開いた先に待っていたのは、大好きな人と、モフモフの従魔たちと、最高の自由と幸せに満ちた未来だった。
(悪役令嬢も、悪くないじゃない?)
私は最高の笑顔で、集まった人々へと手を振ったのだった。




